映画よりウソっぽい?賛否両論のコメント

サンフランシスコに住む映画監督ブレア・エリクソン(Blair Erickson)は、昨年公開したホラー映画『The Banshee Chapter』(2013年)のオキュラスリフト(Oculus Rift)」(※1)バージョンを制作した。

映画『The Banshee Chapter』予告編

1960年代に政府が行っていたという「MKウルトラプロジェクト」(※2)の存在を大統領が公表するところから、物語は始まる。プロジェクトの調査を始めた青年ジェームスは、実験に使われていたとされるDMT-19というドラッグの存在を知り、友人が撮影する前で接種してみることに。特に変化が無いように見えたジェームスだったが、突然映像が乱れ、一瞬白目がなくなり血まみれになった姿が映し出され、そこで動画は終わってしまった。その後ジェームズと撮影をしていた友人は行方不明になり、死体も発見されていない。2人と同じ大学に通っていたアンは卒業してジャーナリストになり、失踪の真相について調査を始める…といったあらすじ。構造としてはフェイクドキュメンタリーになっている。

オキュラスリフト版では、冒頭のPOV的な視点で撮影された部分が見物らしく、既に体験したオーディエンスからも「最高!通常の映画より恐怖倍増だ!」というコメントが寄せられている一方、「申し訳ないけど、オキュラスリフト版にしなくても良かったんじゃないか?映画そのものは面白いけど、不完全なイメージを見せられてるようで、全く恐怖を感じない」といった厳しい声も上がっている。映画で恐怖を演出するために使われてきたPOVも、オキュラス・リフトには適用出来ないのかもしれない。

ヴァーチャルとリアルの見分けがつかなくなる瞬間

リアルな恐怖を感じさせた良い例として、同じくPOVを使った映画『The Blair Witch Project』(1999年)が挙げられる。「魔女伝説を題材としたドキュメンタリー映画を撮影するため森に入った三人の学生が消息を断った1年後、彼らの撮影したカメラが発見され、その中に残されていた映像をそのまま編集し、映画化した」という設定のフェイクドキュメンタリー映画だ。アメリカで1999年7月に公開され、超低予算ながら全米で1億4000万ドル(当時約168億円),全世界で2億4050万ドル(当時約288億)の興行収入を記録した。

成功の鍵は、物語がフィクションなのかノンフィクションなのか分からないよう、テレビ番組などのメディアを使って演出したことにある。「現実にあったことなのかもしれない」という錯覚こそが、恐怖を引き起こすのだろう。

オキュラス・リフトがもたらす未来

enter the void

映画『Enter the Void』(2009年)

『The Banshee Chapter』の製作を担当したJawmixのチームは、この技術を他の映画にも使っていきたいと語っているが、個人的には『Enter the Void』(2009年)のオキュラス・リフト版を期待している。小池桂一が描いた『ウルトラヘヴン』の世界にどんどん近づいているようだ…

それにしても、装着している本人はヴァーチャルの世界を旅しているからいいけれど、外から見るととにかくダサい。

bloggif_5462c7e492026

映画『The Banshee Chapter』オキュラス・リフト版