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アジアを代表する女性現代美術作家イ・ブル(※1)は今年5月、ニューヨークの<Lehmann Maupin>ギャラリーにて4回目となる個展を開催し、新作『Via NegativiaⅡ』を発表した。本映像では、大規模なインスタレーションとして表現した新作について、イ・ブル本人に語ってもらった。

本作のテーマは「自己認識」だ。

「私たちは、鏡に映る自分の姿を見て、ためらいもなく自分だと認識しているけど、その意識が生まれる前は、どうだったのかしら?」
この作品を発表する際に彼女が投げかけていた疑問。ブル氏はこれまでにも建築的かつ理論的に人類の未来をイメージさせる作品を多数発表してきている。今回、より人間の本質的な部分をテーマとし、壮大なビジョンを『Via NegativiaⅡ』へと映し出している。

1 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

フランス人哲学者ジャック・ラカン(※2)は、幼児が鏡に映る自分の姿を自分だと認識するようになる段階を「ミラーステージ」と呼び、このとき幼児の中に自我が芽生え、自己と他者、主体と対象を区別するようになるのだと説明している。

ラカンが説明した「ミラーステージ」を、大人になった私たちが再び体験することは難しい。けれど、このブル氏の作品を通して、幻想とリアリティが錯乱し「自己認識」が崩れていく一瞬のゆらぎを体験することが出来るのではないか。

2 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

3 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

4 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

ブル氏の作品を人は「観るものをどこにもない世界=ユートピアへと誘う“引力”がある」と例える。本作品の持つ引力に身を任せた先で、どんな景色を見ることが出来るのだろうか。2012年、森美術館にて「イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに」を行っている。また日本に新作展示会を開いてくれることを期待したい。

5 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

Monster Black (1998-2011)

6 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

7 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

Untitled Sculpture

8 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

Sternbau No. 4, 2007

9 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

10 現代美術作家イ・ブルの新作『Via NegativiaⅡ』永遠に続く迷宮について語る

イ・ブル オフィシャルサイト

Text by Kana Inamura
Video Translation by Narumi Iyama