女性らしさを取り戻す人口乳首の可能性

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女性らしさを取り戻す人口乳首の可能性

ミシェル・コラス=アーベルは、2011年の終わり頃から、乳がん手術を受けた女性たちのために〈人工乳首〉の製造を始めた。彼女自身も乳がん手術を受け、現在は寛解期にある。がんでダメージを受けるのは肉体だけではない、と彼女は語る。身体は、手術や化学療法で回復するが、自尊心や自信が失われてしまうのだ。

ニュージャージー州を拠点に活動する起業家、ミシェル・コラス=アーベル(Michelle Kolath-Arbel)に会社の目的を尋ねると、彼女は「乳首づくり」と言明した。〈Pink Perfect〉の創業者/CEOであるコラス=アーベルは、2011年の終わり頃から、乳がん手術を受けた女性たちのために〈人工乳首〉の製造を始めた。彼女自身も乳がん手術を受け、現在は寛解期にある。がんでダメージを受けるのは肉体だけではない、と彼女は語る。身体は、手術や化学療法で回復するが、自尊心や自信が失われてしまう。

〈Pink Perfect〉は、傷ついた自尊心の問題への、コラス=アーベルからの回答である。彼女が率いるチームは、乳房を切除した女性が装着できる、カスタム・メイドのリアルな乳首を製造し、女性たちに喜びを提供している。がん治療の技術や研究分野からみると、主流ではないかもしれない。しかし人工乳首を装着した女性は術後、回復するにつれ、自分自身の肉体に自信を持てるようになるのだ。

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ミシェル・コラス=アーベル/Pink Perfect

乳がんにかかると、乳房の再建をしても元の乳房と同じ状態にするのは難しい、という事実を、世間は知らないようです。Pink Perfectを創業したのも、そういう現状を憂慮したからですか?

そうですね。治療中は、戦場にいるようなものです。とにかく戦った。そして戦いが終わると、負傷していました、自分自身でないような気分にもなります。ふと腰を下ろしたときに、これまでどんな戦いを切り抜けてきたかを思い出します。私にとって、あの時期は、ひどく負傷していた時期でした。私の生活は、まるでスノー・ドームのようでした。治療前の身体に戻ることだけにこだわっていたのですが、振り回されて、そのままテーブルに戻されたスノー・ドームのように、時間は思い通りに進みませんでした。

片方の乳房を失うこと、そして部分再建すること。それらはあなたのセルフイメージにどう影響しましたか?

手術後、初めて自分の身体を見る前、外科医の先生が「うまくできました」「きれいです」といってくれたんです。それでも怖くて直視できませんでした。そして、先生がいなくなったあと、ひとりで確認したんですが、私は崩れ落ちました。気を失いました。負傷した私はとても痛々しくて、私の身体はその視覚的な衝撃に対処できなかった。最初はキツかったです。

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人工乳首をつくろうと決めたのはいつ頃ですか?

手術の3ヶ月後、形成外科での診察のさい、乳首再建について訊いたんです。すると、「あなたの肌は薄くて張っている。残念ながら、私には何もできません」との返事でした。あの日が決定的でした。お風呂場に駆けこんで泣きじゃくりました。自分の身体を見るたびに泣いてしまうので、当時は、電気もつけずにシャワーを浴びていました。

でも、私はひらめきました。まず、ホームセンターで型取りキットを買い、残っている乳首の型を取り、そして色も塗りました。一体何をしているのか、自分でもよくわかりませんでしたが、それが打開策になったんです。夫がこのアイデアについてGoogleで調べ、人工乳首メーカーを見つけました。ひとつ注文してみたんですが、届いてみたら硬いし、自分の乳首とは似ても似つかない。そこで自分でつくろうと決めました。

自分のためだけではなく、他の女性たちにもつくろうと考え始めたのはいつ頃ですか?

数ヶ月経った頃、スーザン・G・コーメン(Susan G. Komen)財団主催のパレードにひと組持参し、両乳房を切除した友人にプレゼントしました。彼女がそれを胸につけてくれたんです。最初は趣味のつもりで、自分個人のためでした。これが私の天命だ、なんて思ってもみなかった。だけど、私のつくった乳首をつけた友人が、すごく満足そうにしているのを見たら、これはやめられないと感じたんです。

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人工乳首はどうやってつくるんですか?

顧客は2種類います。まず、片側の乳房だけ切除した顧客。その場合は、残った乳首の型取りから始めます。まず、型取り用キットを家に送ります。そのなかにはシリコン2種が入っていて、それを混ぜて乳首に乗せます。これで乳首の型取りができます。とても正確です。写真、測定データ、肌の色などのデータといっしょにそれを返送してもらいます。製作には1ヶ月かかります。そして色が少しずつ違う4~6種類の乳首を送って、100%正確なものを選んでもらいます。

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両乳房を切除した女性には、カスタムメイドを用意しています。切除手術の前に訪ねてくる女性もいて、そういう場合は、手術に先んじて彼女の乳首を型取ります。既に両乳房を切除した女性顧客は、カタログから選べます。全8色、型は3種類です。

乳首再建ではなく、人工乳首を選ぶ女性がいるのはなぜでしょうか?

手術前にオーダーする女性たちがいるのは、パニックになっているからですね。手術後すぐに装着できるよう、準備しておきたいのでしょう。再建のあとにオーダーする女性もいます。術後の経過がすぐれず、再建してもうまくいかない場合があるんです。ほとんどの女性は手術後すぐにオーダーします。でも、いろんな女性がいます。20年間乳首なしでやってきて、突然人工乳首を知った、という女性もいます。ひとそれぞれです。

乳首が立たないから、自分の乳首の上から人工乳首を着けるという顧客もいます。乳房縮小、豊胸手術のせいで、乳首がダメージを受けた女性もいます。自らのセクシャリティにあった乳首を欲するトランスジェンダーの男性/女性もいます。