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大腸がん(結腸・直腸がん)が若者のあいだで増加傾向にある。大腸がんと診断される米国人のうち、55歳以上の患者数は着実に減少しているが、ミレニアルズ(1980年頃から2000年代初めに生まれた世代)と、1950年代生まれの20代を比べると、結腸がんのリスクが2倍、直腸がんのリスクは4倍にも上昇しており、その数字は、1890年当時の割合と同程度に高い。

2017年2月28日、『Journal of the National Cancer Institute』で、1974〜2013年の20歳以上の大腸がん患者およそ50万人分の既存データセットを分析し、患者の生まれた年、大腸がんと診断された当時の年齢を分類した結果が発表された。その内容は、80年代中頃から2013年までの期間、結腸がんの罹患率は20~29歳の年齢層でもっとも急激に増加しており、毎年2.4%の割合で増加しているのが明らかになった(同期間中、30~39歳のあいだでも罹患率は増加しており、90年代後半以降に限定すると、40代でも増加している)。直腸がんはさらに高い割合で、1974年以来、20代の罹患率は毎年4%ずつ増加している。

米国における大腸がん発生率が、俯瞰すれば、減少傾向にあるのは特筆すべきだろう。ダートマス研究所(Dartmouth Institute)のH・ギルバート・ウェルチ(H. Gilbert Welch)教授がCNNに語ったところによると、〈増加率〉をパーセンテージにすると高い印象を受けるが、実際の罹患者数であれば、そこまでではないことがわかるという。その数は、若い世代で毎年10万人に1~2人ずつの増加であり、それより上の世代における減少数(=10万人あたり約100件ずつ減少)に比べてかなり少ない。しかもウェルチ教授は、若い世代で大腸がんと診断される件数が伸びているのは確かだが、死亡率が増えているわけではない、とも述べている。

しかし、若い世代ほど検査を受けない傾向にあり、症状が進み、より危険な状態になってから、がんが発覚する危険性が懸念されている。そして、その世代は、高いリスクを負ったまま年齢を重ねる。2015年のとある研究によると、2030年までに結腸がんは10件につき1件、直腸がんは4件につき1件が50歳以下で発症するようになる、と予想されている。もしそれが本当であれば、大腸がん患者が今よりも増え、身体機能の衰えにより致死性も高くなる、ミレニアルズが50代になる頃には事態が悪化している怖れもある。

「水面下で、この世代における大腸がんの潜在的なリスクは増加しているようです」、そうNPRに語ったのはアメリカがん学会(American Cancer Society)で研究をしている疫学者のレベッカ・シーゲル(Rebecca Siegel)。前出論文の筆頭筆者である。

論文で具体的な原因は提示されていないが、研究者たちは明確な懸念を抱いている。「大腸がん罹患率の増加と肥満が蔓延するタイミングが一致している事実を鑑みれば、結果は驚くに値しない。なぜなら、不健康な食事パターンや運動不足など、体重増加につながるであろう多くの行動が、大腸がんのリスクを高めるからだ」と論じられている。米国人の食生活の変化に加え、若年層の生活スタイルにリスク要因があるとすれば、遺伝子レベルで何らかの変化が起こり、それが将来的にがん発症率を高める可能性がある、とも記されている。

しかし、肥満に関する要因だけが、大腸がんにつながるわけではないはずだ。専門家は、実情を明確にするためには、さらなる研究が必要だろうと述べている。また、直腸からの出血や、排便習慣の変化など、がんが疑われる症状が数日続く状況に気づいたならば、病院で検査を受けるべきだ、と若い世代に訴えている。

定期的な大腸がん検査の開始年齢引き下げ案を行政が検討できるように、当記事に登場した研究家たちはさらなる研究の必要性を強調している。