スワーヴドライヴァーはかく語りき 新作 クリエーション スロウダイヴ ダイナソー 再結成ブーム 契約解除 そしてシューゲイズ (1)

本文中にあるように、スワーヴドライヴァーは英国ではかなり浮いた存在のシューゲイザー・バンドでした。ファースト・シングルの時も「わ、クリエーションがUSのバンドを出した!」って勘違いしたほど。しかしその勘違いも、驚愕の展開も、ビジネスも、再結成も、そしてもちろん新作のことも、このインタビューでパーっと明らかに。かなり濃く、興味深いエピソードをポンポン出してくれています。すべてのシューをゲイズするマニア必読!

 すべてのシューゲイザー・バンドにとって、オックスフォードのスワーヴドライヴァーは間違いなく浮いた存在であった。それは彼らが何かをしたからではなく「しなかった」からだ。実際コミュニティの一員でさえなかった。スロウダイヴやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ラッシュといったバンドが、エフェクトペダルやハーモニーを重ねることで靄のかかった包み込むようなサウンドを作っていたのに対し、スワーヴドライヴァーはペダルを使ってラウドなロック・ミュージックを展開していた。アラン・マッギーのクリエーションと契約したことや、初期のライブでチャプターハウスやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ムースといったバンドのサポートを行ったことで、バンドは早々にシューゲイザーのジャンルに括られた。しかしシューゲイザーのいくつかのバンドとの付き合いのほかは、彼らはそれらしい行動をとっていない。その代わり、サウンドガーデンやスマッシング・パンプキンスといったUSのオルタナティヴ・バンドと北米をツアーし、ソニック・ユースやダイナソーJr、ハスカー・デュといったノイズ・ギターバンドと比較されるようなアルバムをリリースした。そしてスロウダイヴやライドといった面々とは違い、スワーヴドライヴァーはブリットポップの余波を受けたシューゲイズの終焉には屈しなかった。4枚目のアルバムとなった98年の『99th Dream』は爆音ノイズポップ作としてかなり過小評価されてはいるが、ほとんどの「シューゲイザー」よりも遥かに長く、10年間も生き延びることに成功した。

スワーヴドライヴァーが他のバンドと一線を画する理由のひとつが、吐き気がするような金儲けの手段として、再結成がブームになる以前にそれを行ったことにある。スワーヴドライヴァーは2007年に復帰し、新たな音楽を作る機会を得た。多くのファンが期待したよりも長くかかったが、新作『I Wasn’t Born to Lose You』はこのバンドがいかに素晴らしかったかを思い出させるものであり、また現在も素晴らしいバンドであることの証明ともなっている。音は大きくは変わっておらず、ギターサウンドが不可思議でメロディックな相乗効果を生み、アダム・フランクリンのヴォーカルは非常に落ち着いている。楽曲は「Space Travel Rock ‘n’ Roll」と称するにふさわしい仕上がりで、かつての栄光を思い起こさせる、カムバックアルバムとしては稀有なものとなっている。

フロントマンのアダムに電話し、17年ぶりのアルバムについて、古いバンドが再結成するのはアリか、何故ラスベガスの連中が最後のアルバムを廃盤にしているのか等について語ってもらった。

ニューアルバムのリリースおめでとうございます。スワーヴドライヴァーの前作以降はトシャック・ハイウェイやボルツ・オブ・メロディ、マグネティック・モーニング、そしてソロとしても活動をしていましたね。やはりスワーヴドライヴァーでアルバムをリリースするというのは他のプロジェクトとは違いますか?

うん。素晴らしい経験だと言うべきだろうね。異なる名前で音楽をリリースしてきたのは確かだけど、結局はいまだにスワーヴドライヴァーのメンバーとして知られている。それがいつも基準点になる。長い年月を経てジミーとスティーヴとまたアルバムをつくるのはグレートなことさ。とてもハッピーだよ。

25年前と比べていかがですか?

避けられないことのひとつとして、レコーディングの方法は変わったね。デモの段階でお互いにメールで曲をやりとりしていたけど、昔では考えられないよ。今回のアルバムでは、できる限りインスピレーションの段階まで遡るべきだと感じたんだ。だからある意味では、バンドのごく初期のような感覚になっている。アルバムが完成する前、まだリリースされていない段階では、まっさらなキャンバスの前でワクワクしている感じだった。1989年当時は「アルバムを出したらどうなるんだ? どんなジャケットになるんだ?」って感じだったけど、今回はその時代に戻ったような感じだったね。

I Wasn’t Born To Love You』の一部は、サード・アルバム『Ejector Seat Reservation』を録音したレイ・デイヴィスのKonkでレコーディングされましたね。あのスタジオに戻った理由は?

友人がそこでレコーディングしていて、ちょっとギターを演奏してくれないかって言ってきたんだ。それで「Konkだって?」となった。レイ・デイヴィスが売りに出すって噂が結構あったから、まだスタジオがあったとは知らなくて。素晴らしいコンソールと明るい部屋があるから、あそこでもう一度録音できたのは本当に良かった。廊下には、メトロトンとかキンクスの貴重な楽器もたくさんあるしね。本当にファンタスティックなスタジオさ。それに僕たちがロンドンでいつも溜まっていた場所だからね。

他にもオーストラリアのメルボルンにあるBirdlandでもレコーディングしたよ。そこも素晴らしいスタジオだった。ロンドンのKonkで録った分と、きれいな釣り合いがとれた。ちょうどオーストラリアをツアー中だったんだけど、曲のアイデアは持っていたので、これは録音すべきだと思った。ライブもやっていたからエネルギーに溢れていたしね。実際、1日で5曲も録ることが出来たよ。

スワーヴドライヴァーが再結成してから8年経ちます。なぜアルバム制作にこれほど時間がかかったのでしょう?

僕よりも他の2人に多くの原因があると思うよ。ジミーだったかスティーヴだったかが「もしこのままのペースでライブをやっていくのであれば、やはり新しいものを出そうか」と、やっと言い出したのが2、3年前だったかな。さっきも話に出たけど、スワーヴドライヴァーの再結成と同時に僕は別プロジェクトで何枚かアルバムを出していた。だからそれらと同時にスワーヴドライヴァーも…って感じだったんだけど、今ではもっと良くなるって期待が出て来たんだ。だから最近のモットーは「昔みたいにやるけどレコーディングはストレートに」ってことになってね。でもこれがすごくいいんだ。だから新曲を書いて、もっとエキサイティングにしない手はなかったよ。

スワーヴドライヴァーの再結成後、以前レーベルが一緒だったマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやスロウダイヴ、そして最近ではライドが同じ道をたどっています。これらのバンドのカムバックについてはどう思われますか?

僕たちの前は、大物バンドの再結成と言えばピクシーズとストゥージズだったね。ある友人が「ピクシーズに行こうぜ」って誘ってきたんだけど、僕は「ああ…オッケー…」って感じで、ちょっと冷めていた。でも実際行ってみたら、ステージに登場する前の緊張感が半端なかった。確かに特別なことが起きていたんだ。次はストゥージズだったけど、もちろん時代がかなり前だから僕も観たことはなかった。でも本当にエキサイティングな体験だったよ。それで、バンドを以前観たことがある人たちだけじゃなくて、特に未体験のオーディエンスも盛り上がる出来事だということが分かったんだ。

なぜ若手バンドが昔のバンドの再結成に文句を言うのかは理解できるよ。フェスのラインナップが占領されてしまっているからね。僕たちが90年代にプレイしていた頃は、こういった70年代のバンドがフェスのヘッドライナーになるなんて想像できなかった。だから若手のバンドがムカついていたとしても、それは分かるよ。

でもクリスマス前にスロウダイヴを観て、先週はオックスフォードでレイチェル・ゴスウェルのソロも見た。合流して一杯やったんだけど、彼女もスロウダイヴの復活は良かったって言ってたよ。お客さんの反応も良かったからね。実際の音も、演奏の仕方を忘れてしまったという感じは全然なかったし、大きな包み込むようなサウンドだったしね。みんなすべてを取り戻すために戻ってきたんだよ。

90年代は、メディアがバンドのことを「シューゲイズ」と呼ぶのはバカにした意味合いがあったと思います。この言葉が反対の意味に使われるようになった現在の変化については気付いていましたか?

ああ、もちろん分かっていたよ。1989年当時は軽蔑的な言葉だった。でも今ではオープンに「シューゲイズ」って名乗っていて、本当におかしいね。ヘヴィーでメロディアスかつ憂鬱な音をギターペダルを使って演奏しているということがアピール出来ている。長年使われている間に本来の意味とは関係なくなる。1970年代に「クラウトロック」という言葉が生み出されて、ドイツのバンドがやっていることを説明しようとしたけど、これも本当に軽蔑的な言葉だった。でも今では「クラウトロック」って聞いても、実際は侮辱的な意味なのに、誰もそんなことは思わないからね。シューゲイズの再評価は突然来た感じがあるな。2006年に「MySpace」でシューゲイズのジャンルを選ぶことが出来るようになったんだ! 素晴らしい。

J.マスシスやソニック・ユースに自分たちのデモテープを渡す機会もあったわけですが、結局それはアラン・マッギーに渡りました。過去を振り返って「あの時J. マスシスやソニック・ユースに渡していれば…」と考えたことはありますか?

そうだったら、まったく違った受け止め方をされていたと思う。シューゲイズって呼ばれることもなかっただろうね。僕たちがいたのは、ライドやスロウダイヴ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインと一緒のクリエーションだったから。あの日は、ソニック・ユースとかダイナソーとかビッグ・ブラックなんかを出していたブラスト・ファースト・レコードのオフィスに向かって歩いていたら、クリエーションの関係者が通りをやって来たんで、思わず渡しちゃったんだよね。Jやソニック・ユースに聴かせていたらバンドの受け止めは違っていただろうから、興味深い話ではあるね。

スワーヴドライヴァーはアメリカのギター音楽…ダイナソーJr.やストゥージズの影響が大きいと考える人が多いと思います。イギリスのメディアよりもアメリカの方が理解しているとか、好意的であると感じたことはありますか?

うん、アメリカの方が多少好意的だと思う。最初のシングルはアメ車の墓場のジャケットだったし、イギリスの影響はあからさまには出していなかったと思うよ。実際にはT-レックスやブラック・サバス、キンクスといった影響もかなりあったけど。どこから来ていたかは分からないけど、旅心とでもいうようなものを出すべきだと常に思っていたんだ。いつも読んでいた「Love and Rockets」のような漫画や、その他にもたくさん影響は受けているしね。実際には当時はアメリカには行ったことがなかったんだけど。でもよく言うように「隣の芝はいつも青い」ってやつさ。で、そんな感じの方向性になって、人々に受け入れられたってわけ。

Swervedriver's new album, I Wasn't Born To Lose You, comes out March 3

Swervedriver’s new album,¬†I Wasn’t Born To Lose You, comes out March 3

三作目の『Ejector Seat Reservation』がきちんとした形でリリースされなかったのは残念でした。既にサウンドガーデンやスマッシング・パンプキンスといったバンドとアメリカ・ツアーしていたのに、アメリカでなかなかリリースされなかったのはダメージが大きかったのではないですか?

そうだね。アメリカ・ツアーは大きなイベントだった。ほとんどの人は僕たちのことは知らなかったから、そのツアーで知ったお客さんも多かったからね。だから当時はバンドに勢いがあって、あのアルバムでは英国のテイストを取り入れて、それをアメリカに紹介しようとしていたんだけど、チャンスは訪れなかった。それまでアメリカではA&Mから作品がリリースされていたんだけど、まず最初にA&Mが撤退を決めた。それに続いて、A&Mからのライセンス料という大金が手に入らなくなったクリエーションも僕たちとの契約を止めたんだ。それ以上僕たちを置いておけなくなったのさ。本当にがっかりしたけど、受け入れるしかなかった。でもその当時には初めてオーストラリアにも行った。ヨーロッパや北欧もたくさんツアーした。結局それまでやっていなかったことが出来たから良かったかな。

ファーストアルバムの『Raise』を全曲演奏したライブがありましたね。そんな風に過去を振り返るのはいかがでしたか?

実際のところ、すごく良かった。いつものセットリストじゃなくて、オーディエンスも「おお、アルバム完全再現かよ!」って盛り上がって良かったよ。アルバムの流れのダイナミクスを再確認できたから有意義だったしね。あのアルバムには盛り上がる部分と落ち着いた部分があって、本当にいい流れがあるのさ。それにライブでは初めて披露した部分もあったしね。「Sandblasted」の前奏と、最後の曲はそれまで一度もやったことがなかったから。本当に楽しい経験だったよ。

スワーヴドライヴァーのアルバムのレコードは数が少なく、eBayDiscogsでは高値が付いています。数年前に最初の2枚は再リリースされていますが、他の作品は予定ないのでしょうか?

あるよ。でもちょっと不運に見舞われてね。最初のレーベルにいくらか払わなければならなくなった。『Ejector Seat Reservation』は、イギリスではSonyから再発されたんだけど、まだアメリカではリリースされていない。Sonyはちょっと待て、って感じなんだ。更に今度は『99th Dream』が、馬鹿げた訴訟に巻き込まれている。すべてラスベガスとかギャンブルとか荒っぽいヤツらのせいさ。でもCDとレコードの再発に向けて動いていることは確かだよ。願わくは一年以内に出したいと思っている。