パヒューム・ジーニアス「クソったれ!どきなさいよ!私はお菓子を買いたいの!」 (1)

シアトル出身のシンガーソングライター、マイク・ハドレアスことパヒューム・ジーニアス。既に来日も二回していますから日本のみなさんにもお馴染みですよね。最新アルバム『トゥー・ブライト』も絶好調。繊細で、厳かで、力強く、優しく、哀愁たっぷりの美しい歌声は全世界に広がり続けております。そんな彼にサクサクっとQ & Aコーナーを。大好きなジャンクフードをほおばりながら答えてくれました。姉さん、ちょっと吠えます。

もしもキャット・パワーとライザ・ミネリにゲイのパパがいて、性別の分からないエモーショナルな神を生み出したとすれば、おそらくそれは見た目も声もマイク・ハドレアスことパヒューム・ジーニアスのこと。せつないピアノ・バラードを奏でるシアトル出身のシンガーは、悪趣味なジャンプスーツに身をまとったドラッグクイーン&デュードどもがミュージックビデオで活躍しまくる。サム・スミスのようなメランコリーな一対一の恋愛ソングを歌い、Grindr(ゲイ専用 チャット、出会い系アプリ)で匿名セックスを求めて物色している同輩を批判するゲイ・パフォーマーとは違い、きらびやかなコスチュームを恐れることなく身に付けたハドレアスは 、ドラッグクイーン盛りだくさんの「クイーン」のビデオを見て異性愛者たちがビビってくれれば…とリポーターに話す。更に大事なことは、彼がコーラス無しでカバーしたシャーデーの「バイ・ユア・サイド」を聴いたら、泣けると同時にイッてしまうということ。

パヒューム・ジーニアス「クソったれ!どきなさいよ!私はお菓子を買いたいの!」 (2)

ウィリアムズバーグ・ミュージックホールでのコンサート前にハドレアスと会う予定だったが、直前になってやむなくキャンセルになってしまった。彼は「絶対次の機会に」そして「一緒にジャンクフードを食べよ」と約束してくれた(ゲイの男たちは、なぜか質の悪いポップミュージックを好きなのと同様に、体に悪い食べものが大好きなのだ!)。数週間後、チーズケーキ・ファクトリーがブルックリンにはまだ進出していないので、ハドレアスとはダイナーで落ち合ってマドンナの話をし、しょうもない異性愛者をそこまでビビらせたいと思う理由を聞いてみた。

男の子たちに向けた切ない曲を歌うようになったきっかけは?

ピアノのレッスンを受けていて、いつも何かしら作ってたのよ。実際は“歌”っていうよりも、まだ断片的なものだったんだけど。5年前にようやく始めたんだけど、歌詞とか曲とか、まだ正式には書いていなかった。専門的な訓練は受けていないのよ。いつも歌手になりたいとは思っていたけど、自分の歌が好きじゃなかったの。最近まで自分の歌がうまいとは思ってなかったし。「歌とセックスが上手くなるって簡単!」って気がするんだけど、私にとっては「あーもう!」て感じー。

「クイーン」のアイデアはどんな風に思い付いたの?

いっつも用心深く人目を気にしてたの。人に言われたことをそのまま受け止めて、いっつもムキになってた。子供の頃からのそういった気持ちをいまだに持っていたことを恥ずかしく思ったし、嫌だなって思ってた。だってツアー中にガソリンスタンドに立ち寄るんだけど、マニキュアつけてドレスかなんかを着てる私を見て、人々がおののいて後退さる…なんてことがしょっちゅうあるワケ。だから言ってやるの。「クソったれ!どきなさいよ!私はお菓子を買いたいの!」ってね。私を恐れるんだったら、どうぞ。それどころか、後でもっと最悪のゲイになって、想像もつかないほど恐がらせて不愉快な気分にさせてやるんだから。

 プロとして歌手になる前はどこで働いていた?

ウォルマートみたいな…でももっといいデパートで働いてたわ。鍵を作ったり、ペンキを混ぜたりとかしてた。

パヒューム・ジーニアス「クソったれ!どきなさいよ!私はお菓子を買いたいの!」 (3)

アメリカは好き?

うん。だってモールがあって、チェーンのレストランも24時間空いているでしょ。ヨーロッパは煙草屋でしかタバコが買えないし、しかも7時に閉まっちゃうからイライラする。ブランケットとタバコ、夕飯、それと銃はみんな同じ場所で買えるべきよ。

 お気に入りのレストランチェーン店は?

チーズケーキ・ファクトリーにマジでハマってる!メニューなんて本みたいにブ厚いのよ!「シアトルでお勧めのレストランは?」と聞かれたら、大抵オリーブ・ガーデンを勧めるけどね。

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 なんで「体に悪い食べ物」が好きなの?

だっておいしいからよ。う~ん後は、分かんない…。ちゃんとした食べ物も好きよ。ただ濃厚なのが好きなんだよね。味が薄いのは好きじゃない。

マドンナやシャーデーとかをカバーしてるけど、なんでサビを歌わないの?

歌いたくないからよ。マドンナのアルバム『ライク・ア・プレーヤー』に入っている「オー・ファーザー」っていう曲をカバーしているんだけど、一番切なくて地味なの。変わった歌詞だけ全部使うの。

 「ゲイシンガー」のレッテルを貼られるのは嫌?

そうね。でも私はゲイシンガーだからそれはしようがないかな。あと、私が書く歌詞は一般的にはかなり害のあるものだけど、本気で言ってるのよね。結構強い目的意識を持ってやってる。でも時々音楽よりもそっちのほうが話題になることが多くて。まぁ、そういう立場だからね、どうだろう~わかんないけど、そこには義務もある気もして。その責任に関してはどんな小さなものでも負うのは構わないわ。

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 あなたに対する一番大きな誤解は何だと思う?

私の音楽には、弱さについての表現がかなりあるから、みんなからは傷ついて疲れ切っている人だと思われている気がする。でもね、自分の弱さを話すのって、私にとってはとても大変で、勇気のいることなの。自分の弱さについて話すことは気にならない。誰かが書いてたんだけど「彼の音楽を作る才能は、ドラマチックに陶酔した連中を従えた者が持つ才能だ」って。もう、勝手に言ってな!ってカンジ!!ジャック・ホワイトが熱くなっても「彼ってドラマチックよね」ってならないじゃない?バカ言ってんじゃないわよ!音楽にドラマがつきものだなんて当たり前のこと。音楽を作るなら誰でも、それがいい音楽だと思えるにはある程度のドラマが必要なんだからさ。