クリーヴランドが生んだリビングレジェンドであり、暗黒メタル・ハードコア・キングであり、現在も止まることを知らない超重量級師範といえば、INTEGRITYに間違いなし。気付いたら来年で結成30周年。もう大ベテランという今日この頃にビックリ。確かに指折り数えてみたらそうなのだが、良い意味でそこまで深い歴史観を匂わせないのは、やはり音楽的進化をずっと続けているからであろう。結成当初のパワフルなメタルコア感は保ちつつ、活動を重ねる毎に、音楽はどんどん深くなる。エクスペリメンタル、サイケデリック、ゴス、トラッド、フォーク、プログレ…様々なエッセンスがナチュラルに聯立していった。だからといって、〈武器が増えた〉とか〈カラフルになった〉なんてコタァまったくない。そんなのはスポーツメタルバンドに任せておけばいい。INTEGRITYはいつでも真っ黒、どブラックのまま、己の血肉、魂を鍛え、精進し、ヴィクトリーを掴んできたのである。

創始者のドゥイド・ヘリオン(Dwid Hellion)は、あと数年で五十路を迎えるが、現場から離れる素振りもヘッタクレもない。最新作『Howling, For The Nightmare Shall Consume』を聴けば誰にでもわかる。この男が奏でる進化型ハードコアと進化型ヘヴィメタルは、偽りなく響き渡る。Man In the Man(男のなかの男)の雄叫びと、Man In the Man(男の中野男)が愛するギターソロは世界中を駆け巡っているのである。

ジャパンツアー目の前。ドゥイド・ヘリオンが答えてくれた。

キッズの頃は、どんな音楽が好きでしたか? また、パンク/ハードコアシーンとの出会いも教えてください。


幼い頃からヘヴィメタルを楽しんでいたね。でも1984年頃にスケートボードを通じてパンクミュージックに出会ったんだ。初めて買ったパンクのレコードは、『P.E.A.C.E.(International P.E.A.C.E. Benefit Compilation)』だった。

DEAD KENNEDYS、CRASS、SEPTIC DEATH、MDC、BUTTHOLE SURFERS、CONFLICT、そしてG.I.S.M.など、世界各国のパンクバンドが収録されたコンピレーションですね。

そう。特にG.I.S.M.は特別だった。彼らの曲を聴いて、音楽の捉え方が変わったからね。G.I.S.M.からは本当に大きな刺激を受けた。

あなたがパンクキッズだった頃のクリーヴランドシーンはどんな感じでしたか?

クリーヴランドにはあとになって移ったんだ。キッズの頃はケンタッキー州ルイビルにいた。シーンはすごく盛り上がっていたよ。MAURICEというバンドがいてね、SAMHAINなんかと全米中をツアーしていたな。MAURICEは解散したあと、SLINTとKINGHORSEになった。ちなみに今はベルギーに住んでいる。もう大体15年になるね。この国の音楽シーンも最高だ。AMENRAのようなバンドがシーンに大量のクリエイティビティをもたらしているんだ。

INTEGRITYは、どのようにしてスタートしたのですか?

始めたのは16歳のときだった。まずはTシャツをつくったんだ。最初は完全な思いつきだった。そんなスタートだったのに、30年経った現在も人生の重要な部分を占めているんだから不思議だ。これまでの人生でもっとも長く続いているものだし、もっとも個人的なものでもある。

どんなバンドにしたいと考えていましたか?

自分が受けた影響やインスピレーションを混ぜ合わせた音楽をつくりたかった。例えば…SAMHAIN、SLAYER、BLACK SABBATH、MOTÖRHEAD、そしてもちろんG.I.S.M.だ。基本的には、自分が楽しく聴けるような音楽をつくりたかった。現在もジャンルの制約なんて関係なく、自由な創造性を認める音楽に挑戦しているつもりだ。
…ああ、あと80年代のヘヴィメタルを忘れていたな。初期のMÖTLEY CRÜE、VAN HALEN、DIO、TWISTED SISTER、QUIET RIOT、そしてオジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)。80年代には素晴らしいヘヴィメタル・ミュージックがたくさんあった。

INTEGRITYにもヘヴィメタルの要素は強く感じられます。

そうだね。特にギターソロは、俺たちに欠かせない要素だ。ギターソロは奥底にある感情を呼び起こし、言葉はなくても豊かな表現力をもっている。感情で心を打つんだ。

目標としていたバンド、憧れていたバンドはいました?

ひとつのバンドに憧れたというわけではないが、やはり、G.I.S.M.、SAMHAIN、SEPTIC DEATHかな。若い頃の自分にとって、とても重要なバンドだったからね。

SEPTIC DEATHといえば、PUSHEADですが、INTEGRITYのアートワークにも彼の作品がありますよね。PUSHEADとはどのようないきさつで出会ったのですか?

PUSHEADは偉大なアーティストだ。彼の作品は音楽シーンを定義づけたからね。また、彼のバンド、SEPTIC DEATHも時代を先取りしていた。俺は若い頃、PUSHEADのファンクラブに入っていたから、それ以降、彼とは何度かやり取りをしていた。アルバム『Humanity Is The Devil』のレコーディングのときに、「アートワークをつくってくれないか?」と頼んだら、幸運にも引き受けてくれた。このバンドで俺が達成した成果のひとつだ。

Humanity Is The Devil(1995)

INTEGRITYが結成された1988年といえば、YOUTH OF TODAYを代表とするユースクルー・ムーヴメントが起こっていましたよね。

そのとおり。当時のYOUTH OF TODAYやJUDGEは、積極的に活動していた。アンダーグラウンドなシーンだったけれど、たくさんのファンがいた。俺も彼らのライブに何度も行ったけれど、期待を裏切られたことは1度もなかったな。

そして90年代に入ると、STRIFEやEARTH CRISIS、MORNING AGAINなどに代表されるNEW SCHOOL HARDCORE勢が活躍していましたが、ご自身はあのシーンをどう捉えていましたか?

それほど熱心に追っていたわけではなかった。それよりも悪霊とかオカルト、そしてやはり当時のメタルシーンに興味があった。もちろん、NEW SCHOOL系バンドの友達もいたし、素晴らしい音楽をつくっていたバンドもいた。

21世紀を迎える時期になると、INTEGRITYのサウンドは、メタルコアなんてワードだけでは括れないほどカオスさを増し、完全に孤高の存在になったように思います。ノイズ、エクスペリメンタル、ゴス、そしてアコースティクサウンドまで、ナチュラルに展開するようになりましたが、どうしてこのようなアプローチを進めたのですか?

とにかくINTEGRITYは、どんなときでも俺の興味を反映しているんだ。良くも悪くも、このバンドはそうやってずっと活動している。例えば、『The Blackest Curse』(2010)は、ベルギーの画家、フェリシアン・ロップス(Félicien Rops)と、彼のオカルトへの関わりについて、俺流に解釈したコンセプトアルバムだ。

では最新作の『Howling, For The Nightmare Shall Consume』では、どんなあなたの興味が反映されているのでしょうか?

コンセプトはいくつかあるんだが、メインは、これも画家のフランシス・ベーコン(Francis Bacon)による〈この世にあるかもしれない事象(a possible reality)〉に基づいている。彼は1961年に降霊術の会を開き、そこで彼の精神は、人類の歴史における様々なオカルト現象へと運ばれた。そのあと彼は、人間に隠れる悪魔が見えてしまう能力に悩まされるが、それをキャンバスに描いて記録するようになったんだ。

その『Howling, For The Nightmare Shall Consume』は、RELAPSE RECORDSからのリリースですね。その経緯を教えてください。

2~3年前に、RELAPSEから連絡があってね。彼らがアルバム制作の話を持ちかけてくれたのは、本当にラッキーだった。彼らが支えてくれたおかげで、たくさんの新しいリスナーにINTEGRITYを知ってもらうことができたわけだからね。彼らと仕事ができて光栄だ。

『Howling, For The Nightmare Shall Consume』では、更にダークな世界観を築きつつ、耽美で、叙情的な面も強く感じました。この意見についてはいかがですか? 「まったくわかってない!」的な文句でもいいですよ。

そのとおりだよ。ダークなテーマをもつアルバムだが、それと同様のダークなサウンドに仕上がり、とても嬉しく思っている。

さらにどんどんパワフルになっている気がします。若々しくなっている気も。

ああ、ありがとう。このバンドにはヴァンパイアのようないち面があってほしいと思っている。でも、すでにそうなっているのかな(笑)
。

INTEGRITYは、来年で結成30周年を迎えます。たくさんのバンドが活動をストップしていくなか、どうしてここまで長く活動を続けられたと考えていますか?

INTEGRITYは、俺の個人的な捌け口だからね。俺が辞めない限りバンドを解散する理由は何もない。まぁ、たまに休止期間もあるけれど、今のところは、やる気に満ち溢れている。次のアルバム制作もすでに始めているんだ。

ソロアルバムなどを出す予定はありませんか? NEUROSISのスコット・ケリー(Scott Kelly)やスティーヴ・ヴォン・ティル(Steve Von Till)のような、ヴォーカルアルバムを聞いてみたいのですが。

まぁ、そうだな。機会があれば考えてみたい。

R.U.G.(ランディ内田グループ)の「Deathly Fighter」をカバーしていますが、なぜこの曲を選んだのですか?

ランディ内田は、G.I.S.M.の活動でも、ソロでも豊かな才能を発揮していた。特にこの7インチの曲が大好きだったんだ。

きっちりと日本語で歌われていますね。

友達のケミーが手伝ってくれたんだ。彼がいなければできなかっただろう。

本当にG.I.S.M.がお好きなんですね。

ああ。G.I.S.M.は、いつでももっとも大切なバンドだ。彼らの音楽は、何度聴いても全く飽きない。

日本のパンク/ハードコアシーンにも詳しいようですね。

日本には素晴らしいバンドがたくさんいる。世界でもっとも攻撃的で、クリエイティブな音楽シーンのひとつだ。CREEPOUT、DÖRAID、ZOUO、WARHEADとかね。最高のバンドばかりだ。

そして来日です。日本のファンには、INTEGRITYのどんな部分を見て欲しいですか?

日本のファンには、想像力を広げ、INTEGRITYを新たなクリエイティビティとして解釈してほしい。彼らの想像力を広げて、音楽と融合させ、彼らの精神をどこかへ連れていきたい。とにかく、また日本に行けるのをとても楽しみにしている。日本でパフォーマンスをするのが大好きなんだ。今回のツアーを組んでくれたCREEPOUTのKunihydeには本当に感謝しているよ。

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INTEGRITY with CREEPOUT JAPAN TOUR 2017

10月6日(金)新宿 ANTIKNOCK
10月7日(土)四日市 CLUB CHAOS
10月8日(日)大阪 火影
10月9日(月)新大久保 EARTHDOM

日本ツアー詳細はコチラ

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