1450467215r2d2_bad_music

スター・ウォーズの音楽といえば、ジョン・ウィリアムズ(John Williams)の素晴らしいスコアが誰の耳にも鳴り響くと思う。しかし世の中、そう甘いもんじゃない。いくらスター・ウォーズ・ブランドだからって、すべてが素晴らしく、すべてが完璧とは限らないのだ。便乗系アニメ・ミュージックから、ブラスターの発射音入りディスコ・ミックスまで、様々なスター・ウォーズ・ミュージックがあるのだから。

ジョン・ウィリアムズとリン-マニュエル・ミランダ(Lin-Manuel Miranda)は、新作『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』において新たなスコアを作曲した。相変わらず素晴らしい。しかしだからと言って、過去の失敗を忘れてはいけないと思う。失敗こそが成功のもと。これらがあったからこそ、『フォースの覚醒』は存在するのだ。

新たな伝説を祝し、スター・ウォーズ・シリーズで最もうんざりする音楽とその瞬間をまとめた。それぞれの曲の評価は5つのデス・スターで評価する。

ジェファーソン・スターシップ 「Light the Sky on Fire」 : 『スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル』(1978)

ジョージ・ルーカス(George Lucas)は、『スター・ウォーズ エピソード4 / 新たなる希望』(1977)と『スター・ウォーズ エピソード5 /帝国の逆襲 』(1980)の合間に、テレビドラマ版スター・ウォーズの制作にゴーサインを出した。しかし完成した番組を観たルーカスは、「こんなおぞましいものはすべて燃やしてしまいたい」と発言。それもあってか、このドラマは正式にソフト化されていない。そして恐ろしく不快な曲も流れる。ペニスみたいなマイクはライトセーバーの如く光るが、きりたんぽにしか見えない。
デス・スター採点:★★★★☆

 

キャリー・フィッシャー 「Life Day Song」 : 『スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル』(1978)

更にもう一発テレビドラマ版から。契約上、不参加は許されないから、みんながレイア姫のために渋々集まって来る。最強のグランド・フィナーレだ。勝利を祝う曲のハズだが、みんな死にたそうな顔をしている。しかしその中でもハリソン・フォード(Harrison Ford)だけは違う。相変わらずシレッとしている。立ったまま寝ているのかもしれない。結局、この場面で笑顔を見せているのはレイア姫だけだ。しかもその顔は磔にされた聖人のようだ。我々はこの場面を惑星タトゥイーンの砂の奥底に埋葬するべき。
デス・スター採点:★★★★★

 

ジョン・ウィリアムズ 「Ewok Celebration – Yub Nub」 : 『スターウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983年)

1983年当時、観客はこの壮大な物語の結末を迎えるまでに、あと6年も待たなければならなかった。そんな観客が映画のエンディングで目にしたのは、イウォークのキャンプファイヤー・ソングである。ジョン・ウィリアムズ特有の重厚かつ流れるような弦楽は身を潜め、聞こえてくるのは木琴とイウォークのコーラスのみ。タイトルの「Yub Nub」とは、イウォーク族の勝利の雄叫びで、「さあ、みんなで騒ごう!」という意味らしいが、そのセリフがうんざりするほど繰り返される。
ただデジタルリマスター版では、ジョージ・ルーカスの粋な計らいにより、このラストはカットされた。どうしても雄叫びが聞きたい方はオリジナル版を。
デス・スター採点:★★★★☆

 

ミーコ「STAR WARS THEME(スター・ウォーズのテーマ)」 : 『STAR WARS AND OTHER GALACTIC FUNK』(1977年)

1977年5月25日、スター・ウォーズ・シリーズ第一作目である『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』が公開されたとき、映画の成功を予想した者は誰一人いなかったが、スタジオ・ミュージシャン兼プロデューサーのミーコは速攻でハマったらしい。公開してから3日間で、5回も観たというのだから相当なもの。更に彼は、カサブランカ・レコードにスター・ウォーズのディスコカバーの制作を提案。アルバム『Star Wars and Other Galactic Funk』がリリースされ、そこからシングルカットされた「STAR WARS THEME(スター・ウォーズのテーマ)」は、1977年10月1日にビルボードチャートで見事1位を獲得。スター・ウォーズで踊ることもできたわけ。
では、なぜこの懐かしいディスコ・ソングがダメなのか? 理由は曲の間に挿入されている音響効果だ。ブラスターの発射音が100回超、チューバッカの呻き声が7回、更に数え切れないほどのR2-D2のピポピポ。ちょっとやり過ぎだと思う。
デス・スター採点:★★★☆☆

 

「イントロ・テーマ」 : 『スター・ウォーズ:イウォーク』 (1986年)

ジョージ・ルーカスは、『ジェダイの帰還』以降、スター・ウォーズの長期的フランチャイズ計画を視野に入れて、シリーズ拡大の構想を練っていた。その一つとして取り掛かったのが、アニメの『スター・ウォーズ:イウォーク』。子供たちをスター・ウォーズ人気に巻き込む狙いがあったのだが、このシリーズでファンになるキッズはほとんど皆無だった。まるでケアベアみたいなイウォークの風貌。スターの「ス」さえ感じられない内容。ここからどうやって、スター・ウォーズに繋げようとしたんだろう。主題歌には相変わらず「Yub Nub」という歌詞が紛れ込んでいるが、これは『ジェダイの帰還』のラストシーンを罵るファンたちへの恨みソングなのかもしれない。このアニメ放送はセカンド・シーズンで終了した。
デス・スター採点:★★★★

 

スチュアート・コープランド「In Trouble Again」 : 『スター・ウォーズ:ドロイドの大冒険』 (1985 – 1986年)

アニメ『スター・ウォーズ:ドロイドの大冒険』は、C-3POとR2-D2を軸にしたアドベンチャー・ストーリー。『スターウォーズ:イウォーク』の兄弟分と言えるだろう。即ち、このシリーズにも観る者の癪に障る主題歌が挿入されている。主題歌を担当したのは、ザ・ポリスのドラマー、スチュアート・コープランドだ。1983年にスティングが脱退してバンドが解散したあと、スチュアートはテレビや映画音楽の分野に乗り出した。『スターウォーズ:イウォーク』の主題歌とは違って、キャラクターの名前を1分間に9回も歌わせたりはしない。 「In Trouble Again」には、スター・ウォーズに関連するような歌詞は全く出て来ず、ドロイドたちのことは放ったらかしだ。このニューウェイヴ系のサウンドは、スター・ウォーズ・シリーズの主題歌というよりも、当時のフィットネスビデオのBGMにピッタリ。だが、曲中には “デンジャー・ゾーン” という歌詞も出てくる。おそらく『トップガン』の主題歌に影響されたのだろう。この曲で注目に値する箇所はそれくらいだ。
デス・スター採点:★★★☆☆

 

ジョン・ウィリアムズ 「Lapti Nek / Jedi Rocks」 : 『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983年) 『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還 特別篇』(2011年)

『帝国の逆襲』(1980年)のラストは肝心な場面で終わった。果たしてルークたちはあの恐ろしいジャバ・ザ・ハットの魔の手から、氷づけにされたハン・ソロを救い出すことができるのだろうか?そして続く『ジェダイの帰還』のオープニングは、その悪の巣窟からの救出作戦で幕を開ける。中でも最もゾッとするのが、ジャバ・ザ・ハットのディナーショーのシーン。オリジナル版のファンク・ナンバー「Lapti Nek」にはまだ我慢することができたが、それだけで飽き足らなかったジョージ・ルーカスは、新たにCGI技術を使って、「Jedi Rocks」を1997年の特別篇用に作り上げ、更に2011年に発売されたDVDでも手を加えている。
オリジナル版からのリメイクには毎回疑問が募るばかりだが、ここでもまた理解不能なシーンがある。なぜオリジナル版の時点で十分に耳障りだったヴォーカルをさらに酷いものにしてしまったのか? 説得力に欠けるだけでなく、全く気が散るような処刑シーンだとわかっていながら、なぜCGI処理を加えたのか? お決まりの味気ないジャズをBGMにジャバ・ザ・ハットの口から出る気味の悪い舌を見せるのは勘弁して欲しい。
『新たなる希望』に登場したカンティーナ・バンドのメンバーは、「おい、今度の演奏はジャズのBGMなんかとは違うぜ。観てろよ」と言わんばかりに堂々と振る舞っていたのに、この場面で「Jedi Rocks」を愉しんでいるのは、シンバルを叩いているヤツただ一人だ。
デス・スター採点:★★★★☆

 

ジョン・ウィリアムズ 「The Parade」 : 『スターウォーズ エピソード1 /ファントム・メナス』 (1999年)

『スターウォーズ エピソード1 /ファントム・メナス』のラストでは、惑星ナブーの市民とジェダイ評議会がグンガン族の勝利を祝う。しかしグンガン族の戦勝パレードは、並の映画ファンにとっても拷問に近い体験だっただろう。演奏曲はグンガン族のホーンから始まり、すぐにマーチングバンドの演奏が加わる。帰宅部のヤツらを尻目に演奏させられている学生マーチングバンドのようだ。何の工夫もないコーラスは、ジャー・ジャー・ビンクスやアナキン坊やにはウケているようだが、大人たちには退屈な代物。モジモジするアナキンの様子を伺うオビ・ワンは「お前、屁をこいただろ?」とでも言うような顔をしている。舞台上のジェダイたちも苦悶に満ちた顔をしていたが、幸いにもエンドロールが流れてこの映画は幕を閉じる。王女がグンガン族の勝利にプレゼントしたプラズマ・ボールは、現在トイザらスで2500円くらい出せば手に入る。
デス・スター採点:★★★☆☆

 

ジョン・ウィリアムズ 「Palpatine’s Teachings」 : 『スターウォーズ エピソード3 / シスの復讐』 (2005年)

『シスの復讐』では、戦いから戻ったアナキン・スカイウォーカーが問題を抱えていた。妻が妊娠し、悪夢にもうなされ、昇格を認めないジェダイ評議会にも腹が立っていた。苦悩するアナキンは、善人を装ったパルパティーン議長にオペラ・ハウスに誘われる。そこでこの音楽。宇宙空間の移動も可能にし、25,034年も続く洗練された文明の頂点に位置する音楽が、先住民アボリジニ族の金管楽器ディジュリドゥだったとは。球面に映るイメージは、水生生物の卵子がと泳ぎ回る精子が受精するシーンのようにも見える。その様子を二人で見ながら、パルパティーン議長はアナキンを暗黒面へと引き入れていく。
我々は、パルパティーン議長の巧妙な人心操作テクニックに意識を集中しようとしても、絶え間ないディジュリドゥの音に心をかき乱される。だが、スター・ウォーズで実験音楽を味わうのも悪くはない。
デス・スター採点:★★☆☆☆