女二人の闘いはさらに二人を強くさせた VERUCA SALT復活物語

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女二人の闘いはさらに二人を強くさせた VERUCA SALT復活物語

「当時の私は、理屈や理由というものと無縁だったのよね。私を動かしていたのは怒りだった。苦しもうと決めてやったわけじゃないけれど、最も苦しいことだったかもしれない。それを認めて、冷静に見つめ、改めるには、長い時間がかかったわ」

見事に再結成を果たしたオルタナティヴ・ロック・バンドVERUCA SALT。そして彼女たちのニューアルバム『GHOST NOTES』には、「The Museum of Broken Relationships」という曲が収録されております。このミュージアムは、実際にクロアチアのザグレブにありまして、通称「失恋博物館」なんて言われているところ。恋人や家族など、大切な人と別れたあとに訪れるのがこの博物館。館内には、一般の人たちが寄贈した思い出の品々がズラリと並んでいるそうです。ここのコンセプトはとてもシンプル。「破れたハートはここに置いて、さぁ次に進もう!」ってこと。この15年もの長い間、VERUCA SALTのNina GordonとLouise Postは、お互いを完全に無視、そして拒絶。そんな状態が続いていただけに、この曲の意味することはとても深そう。要するに二人は、「The Museum of Broken Relationships」で、VERUCA SALTが再びくっついたことを、ユーモアを交えて歌っているのでした。

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VERUCA SALTは、「Seether」や「Volcano Girls」などのトップ10ヒットで、オルタナティヴ・シーンの歴史に名を残し、たちまち90年代を代表するバンドとなりました。フォーク・ミュージックからスタートし、やがてヘヴィーメタルのニュアンスさえ感じさせる強烈なポップとハーモニーの世界が爆発。ラジオでも熱烈に歓迎され、SONIC YOUTH、BUSH、HOLEなどのオープニングバンドに抜擢され、グランジが死にかけてポップスが忍び込んできた不毛な時代においても、確固たる地位をつかんだのであります。しかし『AMERICAN THIGHS』と『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』という2枚のパワフルなアルバムをリリースした後、ソロ活動を始めたいという理由でNinaがバンドを脱退。1998年のことでした。残ったLouiseは、なんとか新メンバーを迎えてバンドを存続させていましたが、結局その後のVERUCA SALTは新たなパワーを生むことは出来ず…。やっぱりあの頃のVERUCA SALTには戻れなかったのでありました。

何年もの間、二人はそれぞれ作品をリリースしていましたが、それでも「あの(Nina脱退の)ときVERUCA SALTには何が起こっていたのか?」と、シーンはゴシップ的な意味合いも抱えながら語り続けていました。陰口、悪口、根も葉もない噂が二人の間を飛び交います。さらに2000年発表のVERUCA SALTのアルバム『RESOLVER』では、音楽的方向性の違いということ以外にも解散理由があったことを匂わせ、Nina Gordonのソロアルバム『TONIGHT AND FOR THE REST OF MY LIFE』でも、それに関連するゴタゴタが述べられていて、恋人を盗られたとか、ドラッグの問題とか…すべてが90年代に起こったことばかりでした。しかし、VERUCA SALTのデビューから20年以上を経た今、ついに二人の争いは終焉を迎えました。二人は再び一緒にフロントに立つことになったのです!再結成に際して二人は、「もう終わったの、争いの期間は」という短いメッセージを発表。二人の間で起こった複雑な過去は、最高にパワフルなVERUCA SALTのニューアルバムの誕生へと繋がりました。自分たちの過ちを重く綴りつつ、身体はリズムに反応してしまう作品。それこそが『GHOST NOTES』。

このアルバムは、二人の声がお互いにハッキリ聞こえるように、語りかけるように進んでいきます。その中にはさまざまな二人のメモリーがだっぷり。二人は過去に起こったことを隠そうとはしていない。二人にとってそれは極めて大事なことだから。『GHOST NOTES』は、私たちのファンに届いた作品だけど、彼女たち自身が自分たちに届けたアルバムなんです。

「Seether」や「Volcano Girls」など初期のヒット曲は、あなたたちの世界、二人の関係をファンに垣間見させてくれていました。でも『GHOST NOTES』は、違う意味で自分たちのことを語っているように思います。あなたたちの決裂について、改めてお互いに語り合っているような気がします。

Nina Gordon(以下NG):私もそう思う。私たちの間に起こったすべてのことを一緒に乗り越えなければならなかったの。それは、精神が完全に浄化されるような体験だった。過去15年、私たちどちらもが背負ってきた重荷を投げ出さなくてはいけなかったからね。

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Louise Post(以下LP):それに、私たちの作品をアップデートする必要もあったわ。2015年のものにしよう、そしてそのことについて話そう、って。ファンがまだいるのはわかっていた。そしてみんなは何が起こったのか知りたがっている。興味津々な人たちがいるってね。私たちのストーリーとこのレコードを分かち合うのは、ある意味、一緒に癒されるような体験なの。そんな風に受け止めてくれて感謝するわ。とても鋭くて正確な意見だと思う。

意図的に事実を歌っているような気がしたんです。たとえば、「I remember that girl(あの子のことは覚えている)」とか、「That’s the sound of leaving(去りゆく音)」といった歌詞。

LP:その通りね。

1998年に、ちょっと時間を戻しましょう。Nina、あなたはソロのキャリアを築くためにVERUCA SALTを離れましたね。LouiseがVERUCA SALTの名前を引き続き使っていくということを、二人はどうやって決めたのですか?

LP:二人で決めたんじゃないのよ。私が決めたの。いろんな人から、バンドを辞めないよう勧められたの。私とNinaと他のメンバーが一緒にが生み出したブランドなのだから。正しい形でバンドが機能していなくても、これを手放したくない、殺したくない、ある種のプライドもあったわ。オリジナルのメンバーは、もう私だけで誰も残っていなかった。今振り返ってみると、続けたのは馬鹿らしかったようにも思えるけれど、当時の私は、理屈や理由というものと無縁だったのよね。私を動かしていたのは怒りだった。苦しもうと決めてやったわけじゃないけれど、最も苦しいことだったかもしれない。それを認めて、冷静に見つめ、改めるには、長い時間がかかったわ。

「Eyes On You」にも、「I lost the rights to you(あなたに権利を奪われた)」という歌詞がありますね。名前に関して、法的な争いになったりしたのでしょうか?それとも、私は歌詞を深読みしすぎていますか。

LP:あの歌詞は、法的な争いのことではなくて、Ninaがいなくなったことについて。彼女がどうしているのかわからないし、彼女に、「あなたはどうしているの」と聞くこともできない。彼女の人生や決定に自分が影響を与えることもできないし、彼女がどんな生活をしているのか想像もつかない。私たちは、完全に別々になっていた。長い間、ものすごく親しかっただけに、それはとても深刻なことだったの。

Nina、あなた抜きで続いていたバンドをどう感じていましたか。

NG:とても辛かった。でも、去ったのは私。まるで離婚のように、人から警告やアドバイスを受けたわ。去るのは、簡単でもあるし、複雑にもなりえる。私にとって、去って後ろを振り向かないのが、一番簡単な方法だったの。だから、振り向かなかった。LouiseがVERUCA SALTを続ける可能性があるのはなんとなくわかっていた。でも、何が起こるかわからなかった。私は去り、手放した。その後ずっと、辛い思いをしたわ。まるで親権争いみたいだったの。VERUCA SALTは、私たちの赤ちゃん。私たちが生み出したもの。私たちの子供。まるで、Louiseが完全に親権を持っているようで、そのことが嫌だったし、辛かった。とにかく、そういうこと全部だったの。最終的に、Louiseは謝ってくれた。私は心からホッとしたわ。そうして私たちは、次の段階に進み、VERUCA SALTを取り戻すことができたの。私たちは、再び共同親権を持つことになったのよ。

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LP:離れている間にも、私は何度か「仲直りしなきゃ」と思ったことがあった。メールのやりとりをしたり、音楽以外のことを通じて、私たちは時間をかけてそれをやっていったのよ。でも、「仲直りしようよ」と私が提案したのも覚えているわ。「私たちのどちらかに何かが起こって、そのとき、まだ仲直りをしていなかったら、どうなるんだろう?」といったようなことを、私は考えたの。それって、馬鹿馬鹿しいことじゃない?人生は予測がつかないものだから、そういうことも考えたのよ。仲直りできたこと、私たちが今の状態に落ち着けたこと、そしてこの勝利のアルバムをリリースできたことに、私は感謝している。

これは本当に勝利のアルバムですよね。このアルバムを聴いて、まず私の頭に浮かんだのが、その言葉でした。まさにリアルタイムで癒されていく様子が聴こえてくる気がします。

NG:そうね。カタルシスだけでなく、今回のプロセスはパワフルだった。過去、私とLouiseはそれぞれ別に歌を書いていたの。私は自分の個人的な経験について歌い、ルイーズは彼女の個人的な経験について歌っていた。でも、このアルバムでは、私たちはすべての歌を分かち合っている。だから、演奏するときも、聴くときも、私たち二人が同じ満足感を得れるの。両親の子供に対する愛情に似ている気がする。過去にも、私はLouiseの歌が好きだった。本当に好きで、彼女の曲に参加するが好きだった。でも、一緒に書いた内輪揉めの歌を除けば、Louiseの曲は完全にLouiseのものだったの。私が「Awesome」を書いたとき、それは私たち、そして私たちのバンドについてだった。でも、このアルバムでは、すべての段階において、私たちは分かち合っている。そこに大きな喜びを感じるの。

あなたたちは、3枚目のアルバムを創っている途中で決別したのですよね。そのため、その作品は完成しませんでした。『GHOST NOTES』の中には、当時の埋もれてしまった曲も入っているのでしょうか?

NG:ほとんどの曲は、私のソロアルバム、LouiseのVERUCA SALTのアルバムに使われたはず。だから、その頃の曲は、今回入っていない。でも、仲たがいしていた間に書かれた曲を、新しい目的のもとに使ったケースはある。たとえば「Triage」と「Prince of Wales」がそうよ。

それはとても興味深いです。たとえば「Empty Bottle」は、コラボレーションで生まれたのですか。歌詞の中にはNinaらしいパートと、コーラスにはLouiseらしいパートがありますね。分担して書いたのでしょうか。

LP:あれは、最初からコラボレーションだったのよ。私たちはNinaの地下室に座ってギターを弾き、コードを鳴らしたの。その音がとても美しかったから、私たちはお互いを見て、「今のは?」とびっくりしたわ。そうやって完成させたの。あともうひとつ別の歌があったわ。 Nina、タイトルは何だったっけ?「When Love Is Over」?

NG:だったかしら?

LP:Ninaが「When Love Is Over」を聴かせてくれたんだけど、ちょうど私は帰ろうとしていたの。でも、「ちょっと待って。これはやらなきゃ。今やらなければ永遠に何も起こらない」って焦ったの。この歌詞や、メロディ自体が、私たちが書いていた曲にハマるのがわかったの。それで私は、「Nina、これは一緒にやりましょう。この歌は、このパートに収まるハズ」って。それで、ニーナが「When Love Is Over」のために書いていた歌詞が、「Empty Bottle」の歌詞になったの。最後に彼女がアウトロを歌うけれど、それはもともと彼女が歌っていたものと同じなのよ。

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Still frame from the 1994 video for “All Hail Me.”

おもしろいですね。あれはとてもパワフルな曲ですが、あなたたちがシカゴのエンプティ・ボトルで、ライブをやっていた頃に立ち戻るものなのですよね?

LP:実際のところ、「Empty Bottle」のコーラス部分は、Ninaが元々書いていた曲と全然関係ないのよね。それで書き直しているうちに、私たちの再会や、シカゴ時代についての気持ちが蘇ってきたの。あの曲はとてもノスタルジックで、昔の雰囲気を捉えているわ。

NG:コードを一緒に鳴らしていたら、何か物悲しくて、ノスタルジックな気分になったの。そこにLouiseが、「When Love Is Over」とくっつけようと提案してきた。そうやって振り返り始めたら、取り憑かれたようになったわ。一晩中、寝ないで、歌を振り返って、小さな窓から過去を覗いて、シカゴのエンプティ・ボトルにいたときのことを見つめ直した。幸せな思い出だけど、ちょっとほろ苦くて、辛くもある。そんなふうに「Empty Bottle」は一曲になっていったのよ。

演奏するのが辛い曲はありますか。

NG:(笑)それはないわね。過去のインタビューでも答えたけれど、私とLouiseは、10代後半か20代のころ、いえ、子供の頃から、「辛さ」に惹かれてしまう共通点があって、絆を築いていったのよね。子供の頃、私たちが好きだった本や映画は、とても悲しいものだった。ソングライターとしても、私たちはいつも、生々しく、苦いフィーリングを重視するようになったの。生々しい気持ちを拾い上げて、それを曲にする。だから、このアルバムのために、私たちは、最も辛いところに行った。「Triage」は、私たちが決別した直後に書いたものだけど、Louiseはそれを受け入れてくれた。「これはレコーディングしなきゃ!」って前向きになってくれたの。ある意味、辛い思い出は、今はみんなカタルシスになり、良い気持ちにさせてくれる。それは大事なことだと思う。どの文化においても、出産した女性は、それがあまりに痛くて大きなトラウマになるので、出産の話をしたがるのだと、誰かに聞いたか、何かで読んだことがある。友達であれ、母親であれ、女性は、その話を分かち合いたいはずなの。「私は病院に行って、出産にこれだけ長いことかかったの」と語らなきゃいけない。すごく痛くて、辛くて、内側に秘めていられない体験だったから、細かいところまで人に伝えずにはいられないのね。次の段階に進み、母になり、その体験がすごく強烈だったからといって、倒れたままでいないために、女性はそのことを語らなければいけないのよ。Louiseも私も、そんな感じ。私たちは、辛いストーリーを、何度も、何度も味わってきた。Louiseは、「Eyes On You」で、それらを振り返るとても美しい歌詞を書いたわ。それはまるで、私たちのあいだに何が起こったかを調べる検死解剖のようでもあり、法廷のようでもあった。そして最終的には、癒してくれるものになったの。そのおかげで、私たちは、友達として、バンドとして、先に進むことができるようになったのよ。

そんな時期を抜け、お二人は素敵な状態に落ち着きましたが、親友と仲違いした人に対するアドバイスはありますか。

NG:それは悲しいことよ。すごく悲しい。Louise、あなたはどう思う?

LP:ごめんなさい。私はまだ、ひとつ前の質問のことを考えていたの。曲を書くことが究極のセラピーになったかな、って。曲を書くには、ヘヴィーな感情を表現しなければならない。でもそこからヘヴィーさを取り払ってくれたのも音楽なの。紙に詩を書き、アルバムをリリースすることで、ヘヴィーな感情はパワーを失い、昔はすごく深刻だったのに、重さがなくなったの。

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棘が抜けたんですね。

LP:Ninaと私が長い間背負ってきた辛さから、棘と負のパワーが取り払われたの。今、私たちは解放された。作品を世界にリリースすることは、聴いてくれるファンに「あなたも私たちと一緒」っていうメッセージなの。私たちは、ひとり占めしてはいないの。Ninaが出産の話をしたけれど、これはもう、私たちがひとりで抱える個人的なことではない。打ちのめされるような、トラウマになる体験だったから、人に語らなければいけないの。

それこそ「Museum of Broken Relationships」のコンセプトですね。恋や人間関係に敗れ、すごく苦しい思いをしているとき、このザグレブの博物館に行って、その感情を使って何かクリエイティブなことをすれば、自由になることができると。

LP:Nina、私が書いた歌詞の中で、失恋博物館に飾りたいものはある?

NG:それは良い質問。たくさんの写真かな。夜遅くに、ホテルの部屋で、ふざけてたくさんの写真やポラロイド写真を撮ったりしてたじゃない。手放したくはないけどね。

LP:私はあなたの小さな天使の人形をもっているわよ。ベッドの上に飾ってあるの。その天使はすごく美しいから、私はすごく悲しい気持ちになった。あれをどうしていいのかわからなかったの。壁にかけていたんだけど、見ると悲しくなったのよ。わかる?あれは、あのミュージアムの壁にかければよかったのかもね。

NG:あなたの30歳の誕生日にプレゼントした30本のリップスティックをどうしたか気になっていたの。覚えている?

LP:(笑)覚えてるわよ。有効期限を余裕で過ぎてるわよ。あれはすばらしいプレゼントだった。Ninaはプレゼントがうまいのよ。彼女はすごくクリエイティブなギフトを贈るの。

NG:いろんな店に行って30本のリップスティックを選ぶのは、本当に楽しかったわ。最高に楽しかった。Louiseのために30本のリップスティックを選べるのは、自分のためのプレゼントでもあったの。

100本のリップスティックをもらうためだけに、私も100歳になりたいと思います。今、あなたたちは、お互いのことを愛情たっぷりに語りますが、もっと早く仲直りしなかったことを後悔しますか?

NG:ええ。でも、今がタイミングだった。私たちは、すべての感情を経験し、変化し、成長する必要があったの。一連の精神的経験をするのに時間が必要だった。それをさっさとできてしまう人もいるんだろうけど、私にはできなかった。できるならそうしたかったけれど、そうだとしてもうまくいったかどうかはわからない。自然な形で、自分たちのペースでしか仲直りできなかったの。

Photo by Alison Dyer

そういう状況においては、そうするしかないのでしょうね。

LP:呼吸をして、必要な時間をかけないといけない。だけど、希望を捨てないで。そして、離れている間に後悔するようなことをしないでほしい。別れたことに対して誠意をもつべき。人生は長いのだから、物事は変わるし、ある程度の希望をもっていていいの。さっきも言ったけれど、怒りにまかせないで、注意深く行動し、相手に気を使うことをおすすめするわ。離れていても、愛情をもって行動するべきよ。何が変わるかわからないから、できるかぎり愛を持ち続けて。どんなことだって起こり得るのだから。

Nina、あなたは過去のインタビューで、Louiseと再び音楽をやろうと思ったきっかけは、MAZZY STARの再結成だったと語りました。さらにBABES IN TOYLANDやL7といった仲間が、バンドを再結成することをどう思いますか?90年代のバンドが次々に再結成していますよね。

NG:(笑)それは、みんな意味があることなのよ。あの頃、私たちは20代で、キャリアをスタートさせたばかりだった。10代後半だった人もいるけれど、ほとんどは20代前半だったわ。別れがあった場合、その傷が癒えるのには、10年、下手したらそれ以上かかるでしょう。しかるべきタイミングで「自分にとって大切なものは何だろう?」って立ち止まる。みんなにとって、人間関係、音楽、クリエイティブな表現。「馬鹿だった。なんで捨てちゃったのかしら。取り戻さなきゃ」と気づく。すべて理由があるのよ。

みんな同じタイミングで90年代の傷を癒したのでしょうか。Dave GrohlとCourtney Loveも仲直りしましたよね。

LP:いつか死ぬ、と悟る時期があるのかも知れない。人生は限られているし、壊れてしまった人間関係を修復できないこともある。特に、私とNinaみたいな強力な関係はね。私たちは家族を築き、一緒に音楽を創った。私たちは、それがどれほど特別なことかわからなかったの。私たちには理解できてなかった。今になって、やっとそれがわかるようになり、感謝できるようになったの。今の状態が完璧なワケではない。私たちは人間だし、バンドの一員でいるのは複雑なこと。でも、今の私たちは、今だけを見つめて、お互いを尊敬してるんだ、と感じることができる。Ninaと別れてから、私には友だちができた。良い友だちよ。Ninaにも、良い友だちができた。私たちは、豊かで、満たされた人生を送っている。私たちは結婚し、子供を産んで、次へと進んだ。私たちは、壊れた二人の関係を、こんなカタチで癒せると考えていたわけでも、期待していたわけでもない。仲直りするまでのあいだ、私は、ほかの女性と音楽を演奏するのはやめよう、と決めたの。友情に関しても、Nina Gordonに見合う人はいなかった。Nina Gordonは、Nina Gordonだけ。彼女の代わりになる人はいない。ありきたりなセリフかもしれないけれど、それは紛れもないことだし、すごく奥深いことでもある。友情を取り戻せるとは想像していなかったから、これは最高のプレゼントだわ。