ダーイッシュの跋扈で脇に追いやられてしまったシリア情勢を見つめ直すための、再公開シリーズ『アレッポの生霊』第二弾。

2011年、シリア南部のダラアで起きたデモに端を発する騒乱。発端当初は、「アラブの春」の一環として、「アラブの春」を経験した他国同様、民主化の春一番がアサド政権を吹き飛ばして事なきを得る、と国際世論も楽観視していたが、事態は一向に収束する気配すら見せない。

狂信のあまり、己の全てであるはずのイスラムの教えを破棄したダーイッシュ。親アサド政権のイラン、反アサド政権のサウジアラビア、シリアを舞台に間接的に啀み合う中東の大国。ダーイッシュと激戦を交わしているクルド人勢力、彼らの最終目的は独立であり、親政権でも反体制派でもない。欧米諸国とロシアの熾烈な駆け引き、EU加盟のためにもその駆け引きに加わる隣国トルコ。様々な思惑が絡み合うシリアで、奸雄たちが、他人のいのちも己のいのちも一顧だにせず、血で血を洗う諍いを繰り広げている。
民主化の旗手として嘱望されがちな反体制派も、何十もの組織がそれぞれの目論見をもってアサド政権と対峙するための一時的な連合であり、決して強固な一枚岩ではない。反体制派がシリアを制圧したところで、誰がアサド政権をしのぐ統治能力と、外交能力を有しているのか。国連、アメリカ…..イラクの惨劇は誰の記憶にも新しい。

最早、シリア国内の紛擾ではないシリア騒乱。いかなる結末が訪れるのか、メディアを通じて情報を入手するだけのわれわれには想像もつかない。しかし、致し方なく武器を携えているシリア国民もいる、もしくはいた、ということは頭の片隅に留めておくべきだ。

 

アレッポの生霊(1) シリア 反体制派の素顔

ダーイッシュ 野望の行方(1)
ダーイッシュ 野望の行方(2)

日本人にして元ムジャヒディン戦士 「あれは彼らの責任です。己を恥じ、腹を切るべきだった」