魅惑の「コロンバイン高校銃乱射事件」そのTumblrブロガーの世界 (1)

カナダ・ノバスコシア州出身の19歳のジェームズ・ギャンブルの死によって、コロンバイン事件に取り憑かれた、嘆かわしいブログが発見された。彼はバレンタインデーにハリファクス・ショッピングセンターを狙った銃乱射事件を計画していたが、警察によって阻止されたのである。

ギャンブルのTumblrは、1999年のコロンバイン高校銃乱射事件の犯人で、13人を殺害した悪名高い2人に捧げるものだった。報道によると、何者かにハリファクス・ショッピングセンターでの狙撃計画を警察に通報され、彼は自殺を図った。また警察はハリファクスのランドール・スティーブン・シェパードとアメリカ・イリノイ州のリンゼイ・カンタ・スバンナラスを殺人・放火を謀略した容疑で起訴した。

警察によると、容疑者らはインターネットを通して知り合った。ギャンブルとスバンナラスは、自ら企てたバレンタインデーの計画について「コロンバイン」のタグを付けてTumblrに記事を投稿していた。そのタグはコロンバイン事件を取り上げている世界規模のコミュニティで使用されているものだった。

このTumblrのコミュニティが気になり、ギャンブルのブログをフォローしていた「コロンバイナー(コロンバイン事件の銃撃犯であるエリック・ハリスとディラン・クレボルドに夢中になっている人々)」数名にスカイプで話を聞いてみた。不気味な内容の投稿をしているにも関わらず、彼らはかなり好意的で、進んで話をしてくれた。

一つハッキリさせておかなければならない。ギャンブルと違い、私が話をした三人のブロガーは殺人を擁護していない。しかし彼のように自殺願望に苦しんできている。

アメリカ西海岸に住む26歳のナターシャ(仮名)は犯罪ドキュメンタリー・ブログを運営しており、11,000人のフォロワーがいる。彼女のTumblr「トゥルー・クライム・ホット・ハウス」は彼女の殺人に対する執着心の存在場所で、彼女宛に郵送されてきた服役中の連続殺人犯からの手紙やイラストなどが投稿されている。(ときどきコロンバイン事件についての投稿もするが、彼女は自分自身を本物のコロンバイナーとは思っていない。)

魅惑の「コロンバイン高校銃乱射事件」そのTumblrブロガーの世界 (2)

Pictures of various school shooters.
From top left to right: Michael Carneal, Brandon McInerney, John Jason McLaughlin, Kipland Kinkel, and Eric Hainstock.
Bottom left to right: Charles Andy Williams, Bobby Gladden prison yard photo

ナターシャとギャンブルはTumblrで互いをフォローし合っていた。彼が死んだと知った時、彼女は19歳の少年への追悼文を投稿した。「ジェームズ、あなたのブログはクールだった。寂しくなるわ」

失礼で思いやりに欠けるコメントを投稿するTumblrユーザーに対して、彼の友人や家族のことを考慮するべきだとも書いた。自殺願望を持つ人々に誰かに救いの手を求めるようにという助言もした。「どん底に落ちたと感じる人へ、私がいつでも話を聞くわ」と書いた。

若いコロンバイナーが自殺願望について彼女にメッセージを送ってくることもある。ギャンブルのように彼らの多くは自傷行為や自殺についての投稿をしている。しかしナターシャは、それが単なるネット上のトークなのか深刻な状況なのかを見分けるのは難しいと話す。

ナターシャによると、コミュニティの誰もがギャンブルの死と狙撃計画に唖然とした。前兆は全く見られなかったし、彼のブログより過激なものは他にも多くあったからだと彼女は説明した。

実際にあった犯罪について語るTumblrコミュニティは多様なグループだ。多くのブロガーは10代で、連続殺人犯や大量殺戮をめぐる犯罪学に興味を持っている者もいれば、コロンバインの銃撃犯2名に共感し彼らの真似をしたいと考える者もいる。

ギャンブルが死ぬ4日前の2月8日に、彼のブログのコメント欄に「ディランみたいにコンバットブーツは用意したのか?」と尋ねた人がいた。ギャンブルは「もちろんさ」と返信し、ブーツを履き長い銃を抱え狩猟用ナイフを手に持った自らの画像を投稿した。

また彼のブログにはナチスを賞賛する画像が数多くあった。コロンバインの銃撃犯も同様にナチスやヒットラーに興味があったからだ、とナターシャが教えてくれた。

彼女はそういったことは投稿しない。「たくさんの人がそういうことをしているわ。そういうのを容認するわけじゃないけど、最近の妙なトレンドなのよ。おかしなことだけど、今はそういうのが流行っているのよ」

投稿者は持って行きどころのない憎悪を抱えている、とナターシャは考えている。

このコミュニティの全員が殺人を擁護したり、ナチス画像を投稿しているわけではない。「ジェームズが犯罪ドキュメンタリーのコミュニティ全体を象徴する人間ではないわ。もちろん私がコミュニティを象徴する人間でもないわ」とナターシャは話す。

魅惑の「コロンバイン高校銃乱射事件」そのTumblrブロガーの世界 (3)

Art by school shooter Bobby Gladden, who was extremely interested in Columbine.

ダナは16歳のオーストラリア人で、コロンバイン事件の犠牲者に捧げるブログを運営しており、500人のフォロワーがいる。彼女によると、オーストラリアではこの事件に興味を持っている人は少なく、フォロワーの多くはアメリカ在住であるとのことだ。

ダナが初めてコロンバイン事件のことを知ったのは、学校の劇で銃撃犯の役をやることになりリサーチをしたことがきっかけだった。彼女がこの銃撃事件に心を奪われたのは、他に類を見ないものだったからだ。

「死についてもっと知りたいと思うのは人間の性だわ」と彼女は語る。

ダナは、落ち込んだり、自暴自棄になった人はサブカルチャーに引き込まれやすいと思うと話す。事件の殺人犯は若かった。だから、それくらいの年齢の若者は彼らに共感するのだ。

「先ずエリック、彼のほうが殺人の傾向があった。それからディラン、彼は自殺の傾向が強かった。彼らの考えが合わされば、多くの若者が感じていることに重なるのだと思う」と彼女は話す。

コミュニティには、コロンバイン事件に関する事実を伝えたいと思う人々と、銃撃犯を崇拝したい人々がいるのだそうだ。「悪意」のある人々は少数だと言う。

「私たちの大半は悪質なことをしようとは決して思っていない。それを理解してもらいたいの」と彼女は強調した。

リディアはダナと同い年の16歳だ。ラトビアで540人のフォロアーを持つコロンバイン事件のブログを運営している。学校が彼女のブログを見つけることを心配し、彼女は本名を使わないで欲しいと我々に話した。

リディアが1999年の大量殺人について知ったのは1年前に彼女のクラスで、学校での銃乱射事件が話題に上った時だった。インターネットで情報を検索し、犯人の日記を見つけた。

「初めてディラン・クレボルドの日記を数ページ読んだ時、彼は私が当時経験していたことと同じようなことを経験していたと知ったの。喪失感や自殺願望みたいなものは私にも多く当てはまったの。それが未来の大量殺人者によって書かれたものだって忘れてしまうところだったわ」

魅惑の「コロンバイン高校銃乱射事件」そのTumblrブロガーの世界 (4)

Columbine yearbooks, 1994 to 1997, owned by blogger Natasha.
Tumblrのコロンバイン事件のコミュニティで、彼女は自分と同じような人々を見つけた。

コロンバイナーは暴力的だという認識は間違っていると彼女は言う。彼女は彼らの多くから暗い気持ちをどのようにコントロールすれば良いか教えてもらった。彼女は落ち込んだ時それについて投稿し、彼女のフォロワーは彼女にメッセージを送り、そうして彼女の気は楽になるのである。リディアはカウンセラーにも相談していると話した。

コロンバイナーの中には暴力を「良し」とするものもいるが、リディアは「そうじゃない人もたくさんいるの」と言った。

オーストラリア人ブロガーのダナは、Tumblr中のコロンバイン・ムーブメントについて心配する必要はないが、コミュニティ内での脅迫については軽視できないと話す。

「全ての脅迫や自殺を示唆するような発言は真剣に受け止めなければならないわ。本当にそれが起こるかどうかは分かりようがないから。本当に起こると仮定して行動すべきだと思うわ」

もしあなたに自殺願望があるなら、思い切る前に、こちらのリンクをご確認下さい。経験豊富なカウンセラーの皆様が相談に乗ってくれます。
いきる・ささえる相談窓口(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター)
いのちと暮らしの相談ナビ(特定非営利活動法人(NPO法人)自殺対策支援センターライフリンク)