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アレッポの生霊④ シリア 反体制派の素顔

ダーイッシュ(自称イスラム国)がメディアを賑わせるせいか、ムスリム=テロリスト、という観念図式が着々とわれわれのあいだに浸透しつつある。ダーイッシュでもアサドの犬でもない、シリア反体制派の日常を紹介したい。

2014年に撮影されたシリーズ『アレッポの生霊』第四弾、字幕入再公開。

アサド政権VS.反体制派、両者の対立で単純明快に解説されることの多いシリア騒乱。ダーイッシュの擡頭により状況は混乱したものの、シリア国内の問題としては、未だ、二項対立の図式で大雑把に理解されている。

反体制派の一大勢力と目されていたヌスラ戦線が、先日、ダーイッシュと連携。両者は、シリアはダマスカス南部のヤルムーク地区にあるパレスチナ難民キャンプを襲撃した。ダーイッシュの侵攻を防がんとした反体制派やパレスチナ系武装勢力を、ヌスラ戦線が妨害したらしい。その混乱に、シリア政府軍は砲撃を加えたようだ。

シリアを舞台に、それぞれの勢力がそれぞれの正義のために闘い続けている。われわれが永らく濫用している二項対立の思考様式から導き出される正解が、用を足さなくなりつつある。

二項対立の極致、東西冷戦。二者の対立として簡略化されてしまったばかりに、世界中にまき散らされた混沌の種は、未だに回収されていない。その一つであるシリア騒乱がいかなる結末を迎えるのか、もしくは、さらなる騒乱を呼び起こすのか。予断を許さない状況である。

2014年、当動画が撮影された頃、目的はどうあれヌスラ戦線は反体制派であり、動画中の登場人物たちと、仲間、とは言わないまでも、何らかのかたちで共闘していた。

われわれの安直な思考法では理解出来ない中東の現在を知る第一歩として、是非、ご覧下さい。