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All images were published with permission from Natalia Bolivar

2016年11月25日、キューバ革命を指揮し、その後、同国の国家評議会議長として大きな影響力を誇ったフィデル・カストロ(Fidel Castro)が90歳で死亡した。健康上の問題もあり、10年前に政権からは退いていたものの、カストロの訃報は世界中で報じられ、たくさんの追悼の意が発表された。それと同時に、複雑で暴力的な彼の遺産について、さまざまな議論が再燃している。

フルヘンシオ・バティスタ(Fulgencio Batista)政権を打倒した解放闘争の開始以来、50余年続くキューバの歴史を明らかにするであろう、革命当時の状況を語る革命軍関係者はほとんどおらず、まだ無名だった革命初期のカストロ、また、彼の知られざるいち面について証言できる関係者もいなくなりつつある。

ナタリア・ボリバル(Natalia Bolivar)は、往時を知る貴重な人物である。取材を滅多に受けない83歳のボリバルだが、今回は革命当時の写真と共に、カストロの人生とキューバ革命について振り返ってくれた。

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現在、キューバ有数の人類学者であるボリバルも、かつてはキューバ革命の女性指導者として名を馳せた。

「私は、革命グループの中枢にいました。裕福な家庭の出身だったので、仲間たちは、私は投獄されないだろう、とたかをくくっていました。しかし、それは全くの誤りでした」

貴族階級に生まれ、「一家の厄介者」を自称するボリバルは、バティスタ政権を打倒すべく、何年ものあいだ、地下で抵抗運動を続けていた。バティスタ政権に逮捕され、拷問にかけられながら、彼女はカストロやチェ・ゲバラ (Che Guevara) とともに戦った。カストロが政権を握り、社会主義国家を樹立した後も、芸術や学問を通じて、革命政権を支持し続けた。

「革命運動で多くの男性が殺されました。そんな状況のなか、私は、たったひとりの女性活動家でした」

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「ずっと二重生活を送っていました。秘密の生活があるのは、実に奇妙でした」とボリバルは回想する。「両親に対しては、いつも口実をつくらなければなりませんでした。『どこにいってたの?』『映画にいってた』『何を観たの?』『だから映画だって』『どんな映画?』『戦うふたりの男の話』…もちろん、映画は嘘だったので、内容は説明できませんでした。実際は、武器を振り回していたんですから」

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「カストロと私は、一緒になるといつも長い間、議論していました」

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「グループのメンバーは皆、とても若くて団結心が強く、家族のようでした。バティスタからは拷問もされましたが、あの頃の生活が懐かしいです。メンバーとの生活は、とても充実していましたから」

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「人生最悪の瞬間は、大統領官邸からの攻撃で、友人が殺されるのを目の当たりにした瞬間です。彼は大の親友でした。もちろん私の家族は、そんな出来事があったなんて知りません。革命前の最悪の思い出は、やはり投獄と拷問ですね」

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「スペイン語、英語、フランス語に、フィデルの人となりを表現できる形容詞は見当たりません。フィデルはキューバの歴史であり、今では世界の歴史です。しかし、世界のどこを探しても、何をしたのか正確に表す言葉もないでしょう」

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「彼は非常に面白く、特別な人間でした」とボリバルは続ける。「これは、フィデルがある展覧会をとても楽しんでいたところです。更に久しぶりに私と再会して、2人がとても喜んでいる写真です」

「昔を知っている世代が、どんどん少なくなってきています。それだけは確かです。私たちは、後世に人生の教訓を残さなくてはなりません。これからキューバがどうなるか、そのうちわかるでしょう」とボリバル。「この国が、どう存続するのか予想できませんし、何が起こるかもわかりません。水晶玉は教えてくれませんからね」