WASHINGTON, DC - NOVEMBER 22: U.S. President Barack Obama presents the Presidential Medal of Freedom to Bill and Melinda Gates during an East Room ceremony at the White House November 22, 2016 in Washington, DC. The Presidential Medal of Freedom is the highest honor for civilians in the United States of America. (Photo by Alex Wong/Getty Images)

大統領選に当選したドナルド・トランプ(Donald Trump)は環境規制緩和を発表し、これまで気候変動に取り組んできた関係者に警戒しているようだ、と囁かれている。それでもビジネス界は慌てない。

マイクロソフトのビル・ゲイツ(Bill Gates)、Amazon.comのジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)、アリババのジャック・マー(馬雲)、LinkedInのリード・ホフマン(Reid Hoffman)など、その他ビジネス界の蒼々たる顔ぶれが集まり、環境技術に特化した10億ドル(約1150億円)規模の投資ファンドの設立すると発表した。『Breakthrough Energy Ventures(BEV)』と名づけられたこのファンドは、今後20年間の活動を予定しており、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー生産技術へ集中的に投資する。

このファンドは、「Breakthrough Energy Coalition(BEC)」から派生した。ビル・ゲイツ氏は昨年、世界各国のビジネスリーダーや、各国政府首脳が気候変動に取り組むきっかけをつくるべく、数十億ドルをかけてBECを発足させた。ここにはドナルド・トランプ氏から睨まれている左派寄りの人物、投資家のジョージ・ソロス(George Soros)、トランプ氏と事業関係にあったビジネスマン、ソフトバンクの孫正義氏などが名を連ねている。

トランプ氏はクリーンエネルギー推進派に、事実上、宣戦布告した。それでもビジネスリーダーの多くは、技術開発を続けており、もたついていてはアメリカがクリーンエネルギー技術の主導的立場を他国に奪われる、と警鐘を鳴らしている。その理由は、自然環境保全のためでなくビジネスチャンスでもある、と信じているからだ。

トランプ政権下でも、風力や太陽光などの代替エネルギーは普及する、というのが経済アナリストの意見だ。なぜなら、代替エネルギーは急速に値下がりし、化石燃料よりも安価になりつつある。政府からの補助金が減っても競争力は維持できる。トランプ氏が政権を握り、共和党が議会の多数派を占める現状、補助金の削減は、まず間違いない。

しかし、ビル・ゲイツ氏をはじめBEVに携わる関係者たちは、これまでの太陽光や風力発電だけでなく、いわゆる「Breakthrough Innovations(画期的な技術革新)」にも注目している。2月に公表された2016年の年次書簡で、ゲイツ氏と妻のメリンダ・ゲイツ(Melinda Gates)は、気候変動への取り組みの基軸を新しい技術革新に移していく、と発表。その理由として、「奇跡のようなエネルギー革命が求められているから」と強調する。

「CO2の排出量は日ごと増加し、気候変動の問題はますます深刻になっている。少々無茶な発想も含め、何千もの新しいアイディアを精査をしなければ、21世紀中にCO2排出量をゼロにする、という目標は達成できないだろう」とふたりは書いている。