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カナダでは2016年6月、医師による安楽死幇助が合法となった。施行から5ヶ月が経ったが、安楽死を希望する患者は後を絶たない。

施行以来、カナダ全土では数百人もの患者が安楽死を希望した。映画『フィールド・オブ・ドリームス』(Field of Dreams, 1989)の原作「シューレス・ジョー」の作者、ウイリアム・パトリック・キンセラ(William Patrick Kinsella)も、安楽死を希望し、医師の幇助により、9月16日に息を引き取った。キンセラは、糖尿病の重い合併症を患っていた。

そして、西部のアルバータ州では29名、うち州都エドモントンだけでも14名が安楽死を希望した。

騒ぐほどの数字ではないようでもあるが、アルバータ州で自殺幇助を担当する男性医師は、「希望者の多さにショックを受けている」という。更に「(アルバータ州の)自殺幇助担当部署は、担当医師の獲得に動いている」と続けた。

同州の医療的自殺幇助の第一人者であるジェームズ・シルヴィウス(James Silvius)博士によると、「最初は多くの希望者が集まるのはわかっていた。しかし、それもすぐに落ち着くはずだった。だが、そうはならなかった」そうだ。

安楽死を選択するアルバータ住民たちの平均年齢は67歳。その多くがガンや多発性硬化症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などを罹患している。「適格な精神状態の人物であるか」「死の避けられない不治の病であるか」などといった基準を満たしていなかったため、これまでに23名の患者が安楽死を許可されなかったが、州南部のある臨床倫理学者は、「今後アルバータで、医師の幇助による安楽死が年間150件を数えるだろう」と予想している。

アルバータ州の自殺幇助担当部署は、医師たちが抱く幇助への偏見を払拭するべく、各地で医療教育セミナーを始めた。安楽死を緩和ケア同様に、終末期医療の選択肢として捉えてもらうためだ。

シルヴィウス博士によると安楽死は、カナダ国民からは幅広く支持されているものの、医師の大勢は自ら処置を施したがらないらしい。使用する薬についての知識が乏しいのに加え、良心の呵責などもその理由だ。

「われわれの社会ではまだ一般的ではありません」

ブリティッシュ・コロンビア市民自由協会(British Columbia Civil Liberties Association)は、「この法律は限定的すぎる」と主張している。疾患に苦しむ「終末期患者だけ」を対象にする安楽死幇助を違憲とし、同法を廃止するべきだ、と政府を訴えている。

一方、保守系の団体は、人間の尊厳と生存権を侵害している、として法律を廃止する道筋を模索中だ。

また、2016年9月末、アルバータ州及びノースウエスト準州のカトリック司祭団体はガイドラインを発行した。そこには、「聖職者は、医師による幇助で安楽死した信徒の葬儀を拒否できる」、安楽死は「大罪」である、と記されている。更に、家族が愛する者のために葬式を開きたいと願っても、「そのような遺体を教会に安置できるはずがない」とも記されている。

司祭たちの姿勢は、安楽死を希望する信者たちに対する「明らかな脅迫だ」と「死ぬ権利」を支持する団体が激しく非難している。

「酷い話です」。人権団体「Dying With Dignity Canada」のCEO、シャナーズ・ゴクール(Shanaaz Gokool)氏は、カナディアン・プレスにコメントしている。「人生で最も傷つきやすい瞬間であり、苦しんで弱っている信徒に対し、『安楽死の特権、その人権を行使したいのであれば、苦しみから解放されるか、信仰を完全に捨てるか、どちらかを選べ』と迫っているんですから」

カナダ医師会によると、このような状況にもかかわらず医師会員は現行の安楽死法に満足しており、「現状は比較的うまく進んでいる」そうだ。