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国民に覆されたコロンビアの和平合意

国民投票の衝撃的な結果により、国情は再び不安定になりつつある。

2016年10月2日、コロンビアの有権者による国民投票により、先日、コロンビア政府とFARCが署名した和平合意は、約0.5%(6、1000票)の僅差で否決された。同合意は、両勢力のあいだで半世紀にわたって続いた紛争解決の第一歩でもある。

世論調査の結果からは「賛成」の圧倒的勝利が予想されていた。フアン・マヌエル・サントス大統領とFARC指導者たちは、先月末には祝賀会と見紛う会議を開催し、間近に迫った反政組織の政党への転換を讃えたばかりだった。

しかし、国民投票の衝撃的な結果により、国情は再び不安定になりつつある。

サントス大統領とFARC指導者ティモチェンコは、26日、15人の大統領、潘基文国連事務総長、ジョン・ケリー米国国務長官が見守るなか、和平合意に署名した。

投票結果の意義は未だ茫漠としたままだが、サントス大統領は、和平交渉担当者、安全保障責任者らとともに、緊急会議を開いた。その後、大統領は、報道機関への簡単な説明のなかで、国民投票での敗北は受け入れるが反政府組織との停戦合意は変わらず有効だ、と言明した。

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アルバロ・ウリベ元大統領は反対派の急先鋒だ。元大統領は、同合意によって反政府組織が内戦中に犯した罪が安易に赦されてしまう、と批難する。合意によると、特別裁判所を開設し、犯罪を自白する反政府組織の戦闘員は懲役を免除される予定だ。その他にも、コロンビア政府はFARCと、同組織への土地再配分、有権者による投票なしに5議席を与える、と約束している。

FARCと政府軍の抗争は、コロンビア史上、最も長く激しい武力衝突となり、戦火の下で約22万人が命を落とし、約700万人の強制移住の憂き目を見た。反政府組織は、多くの暴力行為の責任を問われて然るべきだが、政府が支援した準軍事組織、政府軍にもその責はある。

和平合意反対派たちは、政府の交渉担当らは、不正な政治資金でFARCが新たに政治活動を始めるのを許した、と批判している。元戦闘員は、麻薬密売人として多額の資金を集めていた疑いがある。

FARCは、1964年の武装農民運動のなかから誕生した。当時、ラテンアメリカでは、マルクス主義を奉じる反体制運動の第一波が発生していた。最終的に、そこに参加したほぼ全ての組織は解体するか、政治政党に姿を変えて活動中だ。

コロンビアの和平合意は、FARCの活動方向転換への道を切り拓いた。同組織に所属する約7,000の戦闘員のなかでも、和平合意への賛同者が、彼らの市民生活復帰支援を目的に設立された国連監視下の特別キャンプに集まり始めている。政府と反政府組織は、国民投票をほとんど形式的なものと捉え、和平へのプロセスを開始した。

現在、FARC、コロンビア政府、コロンビア国民は不明確な未来に直面している。コロンビアのカラコルTVのコメンテーターは、FARCがどのように今回の投票結果を受け止めるかに多くがかかっている、と強調した。

「FARCは、言論だけを武器に未来を切り拓くつもりだ」とティモチェンコ司令官は、国民投票の結果を受け、Caracol TVで第一声を発した。「平和を夢見るコロンビア国民は、われわれを信じて欲しい。平和は必ず訪れる」