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Photo by Fernando Vergara/AP Photo

コロンビア大統領と国内最大の反政府組織の司令官が2016年9月26日、半世紀にわたる内戦の終結に合意した。しかし、10月2日に実施される予定の国民投票で、有権者たちが同合意を拒否する可能性も残っている。

フアン・マヌエル・サントス(Juan Manuel Santos)大統領とFARC(コロンビア革命軍)ロドリゴ・ロンドニョ(Rodorigo Londoño)司令官、通称ティモチェンコ(Timohenko)は、内戦の残滓である薬莢でつくったペンを使用し、4年を費やした交渉の合意に署名した。

約15名の南米諸国首脳、潘基文国連事務総長、ジョン・ケリー米国務長官が城壁に囲まれた都市カルタヘナでの和平合意調印式典に参加した。式典参加者は、ほぼ全員が白の衣装に身を包んでいた。

サントス大統領とティモチェンコ反政府軍司令官は、白色の壇上で和平合意に署名し、大統領は司令官に白鳩のピンバッチを贈答した。両者の握手は、来場者から喝采を受けた。

政府と反政府軍が今後実施するであろう共同計画も同合意には含まれている。数十年にも及んだ内戦で地中に埋められた地雷を撤去、行方不明になった数千の国民の探索、その他、様々な計画がある。しかし、内戦では約20万人が犠牲になり、現在、数百万人が家を追われ国内難民として生活しているだけに、計画の実施は容易でない。

また、FARCに残っているおよそ7,000人の戦闘員は、6カ月以内に国連監視下のが特別キャンプへの集合、兵器の引き渡しを要求されている。没収された兵器は溶かされ、3つの平和記念碑建立に利用され、それと同時に、FARCは政治組織として活動を新たにする予定だ。

さらに、和平合意によると、特別裁判所を新設し、内戦で残虐行為を働いたFARC戦闘員の罪を問うそうだ。とはいえ、自らその罪を認めれば、比較的寛大な判決が下される可能性がある。そして政府は、1964年、キューバ革命の影響下で発生した武装農民運動を発端とする、反政府軍の由来と目的を考慮し、不平等な土地分配を改善する、と約束している。

FARCは、国内で内戦中に最も大きな成長を遂げた、約2万の戦闘員を擁する反政府武装組織であり、コロンビア領土の大部を支配するだけの活動能力を有している。しかし、米国主導の軍事攻撃、政府支援による準軍事組織の急増により、FARCの影響力は衰えていた。また、同組織は児童戦闘員の徴用、産業化した誘拐、強奪、麻薬密売による資金獲得により、組織の評判、標榜する社会的正義に自ら泥を塗ってしまった。

反政府軍がこともなげに続々と降伏する様を目の当たりにすると、和平合意の賛否を問う国民投票の結果如何ではBrexitのような混乱がおこり、国情不安定に陥るのでは、と懸念する向きもある。多くの世論調査によると、同合意は日曜日の国民投票で承認される可能性が高い。先週実施されたギャラップの調査では、承認67%、否認32%で賛成派が優勢だが、他の調査機関による集計結果では、それほどの差はない。

サントス大統領は、「否認」への投票すなわち武力闘争の再会だ、と警告している。しかし、反乱軍のティモチェンコ司令官は週末、『オブザーバー』紙に、もし有権者がこの合意を拒否しても内戦状態には戻らない、と言明した。

「われわれの非武装政治参加を誰も疑っていない」とティモチェンコは26日の調印式典で公述した。「われわれは合意を全うする。政府にも、合意を全うしてもらいたい」

不満を抱く部隊が内部にいるものの、FARCの武力放棄への明白な姿勢は、冷戦以降、最後の大きな南米反政府運動の終焉、として表現されている。

しかし、この合意が2日に承認されたとしても、コロンビアには、FARCと同時代に組織された、約2,0000の戦闘員を擁する反政府武装勢力、民族解放軍(ELN)が存続している。ELNは、FARCの跡を追うように和平交渉への動きをみせたものの、世間の注目が集まるなか、南米大陸最大の残存ゲリラ組織として、少なくとも存在感はアピールしておきたいのだろう、と専門家たちは分析している。

FARCの武装解除により、同組織の支配下にあった地域をめぐる争いが起きる可能性も否めない。ELN、準軍事団体の重要人物が率いる犯罪組織や麻薬カルテルが、FARCが撤退した後の真空を埋めるべく凌ぎを削るはずだ。