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・コペンハーゲン動物園は1859年に開園したヨーロッパで最も古い動物園の一つ。
・デンマーク国内の動物園で最も来園者が多く、娯楽施設全体でも4番目に訪問者が多い。
・ヨーロッパ各国において動物愛護の認識は様々で保護法も異なる。
・動物愛護が発達しているドイツでは、公の場で動物を解剖することは異常と見なされる。
・一方、デンマークなどの北欧諸国では、長年に渡り動物の殺処分がオープンにされてきた。
・デンマークとドイツは隣国同士。約90%の学生が第二言語として一定期間ドイツ語を学ぶ。

デンマークのコペンハーゲン動物園で、生後18ヶ月のキリン「マリウス」が、同系交配を防ぐため園内で余剰であることを理由に、子供達を含む来園者の目の前で家畜銃で射殺、解剖されたうえ、ライオンの餌として与えられた。大衆はこれに対して激怒しており、殺処分を決定した動物園責任者のベングト・ホスルト氏へ死の脅迫が分刻みに届き、フェイスブックやツイッターは、動物愛護者たちの抗議コメントで溢れかえっている。さらに、オンライン嘆願サイトでは、マリウス救済のための署名が2万7千件以上にのぼっていたが、現在ではベングト・ホルスト氏の辞任を要求する嘆願書を募っており、すでに約12万5千件の署名が集まっている(4月28日時点)。

これに対して批評家は、「肉食動物であるライオンにキリンを餌として与えることは悪くない」と述べる。「キリンは元々肉食動物に食される動物であり、ライオンに食されるまでは少なくともマリウスは恵まれた生活を送っていた」とする。また、同動物園が加盟する欧州動物園水族館協会(EAZA)の全ての加盟動物園では、すでにマリウスと同系にあるキリンが飼育されていたため、引き取り手が見つからなかったのである。

来園者の前で解剖を行ったことについては、「これはあらかじめアナウンスされたイベントであり、観覧者たちは自らの意志で観覧していたため、騒乱は起こらなかった。動物園側は、忘れられがちな事実だが食用の動物もまた同様に殺されており、今回のように生でその様子を観覧することは、残虐的な行為にはつながらず、むしろ食肉に対する感謝を喚起し、教育的価値が高い」と主張する。

この事実を受け入れられない人は完全菜食主義であるべきだが、ライオンはその限りではなく、マリウスの死は彼らにとっての世界で起きた、あるがままの出来事だっただろう。

ドイツ5大新聞の一紙「tageszeitung」オンライン版「taz.de」より要約
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