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政治学者による因習的な知識や世論調査、メディアをひっくり返し、驚くべき大番狂わせを起こしたドナルド・トランプ(Donald Trump)は、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)を下し、第45代アメリカ合衆国大統領に選出された。

トランプが大統領選への出馬を表明したとき、世論は「マジかよ」「ありえない」「ウケる」「トランプマン」と嘲笑を浴びせていた。しかし、あれから18カ月。トランプは、大統領執務室及びそれに付随するすべての特権を手中に納めた。彼は旧来型の政治思想に公然と反抗し、ポピュリスト的な立場から自由貿易に反対し、海外でのゴタゴタした紛争に首を突っ込まないと約束し、不法移民を増やさないようメキシコとの国境沿いに壁を立ててやると誓った。トランプはしばしば人種差別的な言葉を使い、明らかに事実ではない発言を繰り返した挙句、様々な性的暴力やセクハラの訴えを受けた。しかしトランプに投票した人々は、それらの事実を知らないか、あるいはどうでもいい、と判断したようだ。

大統領選挙に合わせて実施された米連邦議会の上下両院選挙も共和党が制したため、トランプが公約を実現するチャンスも生まれた。また大統領の権限は多岐にわたるので、国際的な輸出入取引の再交渉や、パリ協定からの離脱、NATO(北大西洋条約機構)のような多国間連携の改革など、彼はすべての公約をすぐにでも実現できそうだ。

トランプによる「偉大なるアメリカをもう一度(Make America Great Again)」という約束は、グローバル化とマイノリティ人口の増加により大きく変化した米国で、置き去りにされていると感じていた白人有権者の不満をすくい上げた。

白人によるトランプへの投票率
58パーセント
(白人は有権者の70パーセント)

白人男性によるトランプへの投票率
63パーセント
(白人男性は有権者の34パーセント)

白人女性によるトランプへの投票率
53パーセント
(白人女性は有権者の37パーセント)

更に地方に住む白人有権者たち、特に大学を卒業していない労働者が、トランプの得票数の圧倒的多数を占めたようだ。

白人大学卒業者によるトランプへの投票率
全体49パーセント
うち男性:54パーセント
うち女性:45パーセント
(白人大学卒業者は有権者の37パーセント)

白人非大学卒業者によるトランプへの投票率
全体67パーセント
うち男性:72パーセント
うち女性:62パーセント
(白人非大学卒業者は有権者の34パーセント)

*エジソンリサーチ社の出口調査より

しかも、出口調査は絶対ではない。実際に2012年の選挙時には白人票が少なく集計された。トランプの獲得した白人票はもっと多いはずだ。

今回のトランプの勝利と、それによってもたらされた不安は、アメリカの複数の分野、特に経済、政治、メディア界に大きな混乱を与えている。同時に、長らく見過ごされ、見下されていると感じてきた国民は、当然のことながら歓喜した。「アメリカの中産階級がいつまでも抑圧されていると思うなよ」。ツイッターでそうつぶやいたのは、有名な保守系ラジオ番組ホストのローラ・イングラム(Laura Ingraham)。「派手なパフォーマンスやセレブではもう国民をだませないのだ」

金融業界では、選挙後数時間のうちにNYダウ先物が800ポイント下落し、日経平均株価は4パーセント下落した。ニュース解説メディアVoxの創設者エズラ・クライン(Ezra Klein)はツイッターでこのように発言している。「この選挙結果によって苦しむであろう国民の大勢はまだ生まれておらず、今回は投票できなかった」

選挙前、ほとんどの専門調査会社が2〜7%の差でクリントンが勝つと予測していた。11月7日月曜の世論調査でも、少なくとも3パーセントの差をつけてクリントンが勝つと予想されていた。3%差を覆し、大統領選に勝利したという事実はこれまでの調査記録には残っていない。しかも今回は、その調査すらも間違っていたと証明された。アメリカ合衆国次期大統領はドナルド・トランプになった。