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パリ同時多発テロ 当時の状況 市民と各国の反応

フランスが2点目を決めると会場は湧いたが、観客もスタジアム周辺およびパリ中心部での異変に気づき始めた。

13日、金曜日の夜に起きたテロの影響により、パリは14日の朝から厳重警戒態勢が敷かれている。検察当局は、一連のテロ事件で現時点までに132名が死亡、349名の負傷者数を発表した。

オランド大統領は14日土曜日、同時多発テロを、フランス国内に協力者を得たダウラ・アルイスラミーヤ(通称イスラム国、IS)による「戦争行為」と称した。ダウラ・アルイスラミーヤは犯行声明を発し、撮影日時不明の映像を公開。映像中、兵士は、アメリカが主導する攻撃にフランスが協力し続けるのであればフランスに平和は訪れない、と断言した。

爆弾を身体に巻付けた犯人たちは、金曜日の夜、パリ中のレストラン、コンサートホール、スタジアムなどを攻撃した。パリ市職員によれば、4人の犯人は、アメリカのバンド Eagles of Death Metalのライブが行われていた会場ルバタクラン(Le Bataclan)で、無差別に87名の若者を殺害。土曜の朝になっても、遺体搬送が行われている。

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当局によれば、パリ市内で他にも5件のテロ事件が相次ぎ、40余名が死亡。内2件は、スタッド・ド・フランス・スタジアム(Stade de France)場外で起きた自爆テロにより、200余名が負傷した。爆発当時、スタジアムでは、オランド大統領とドイツのシュタンマイヤー外相がフランス代表対ドイツ代表の親善試合を観戦中していた。事後捜査により、警察当局は、スタジアム近くで発見された犯人の遺体近くから、シリアのパスポートを発見した。

パリ市内には、機動隊、警察、そして1500人の軍兵士が配置された。病院は負傷者の対応に追われている。人通りの多い地域にあるコンサート会場のバタクランでは、14日未明、警察が道路を封鎖。1月、風刺新聞「シャルリー・エブド」が襲撃された凄惨なテロ事件の現場付近だ。

Images de la fusillade au Bataclan 投稿者 lemondefr

オランド大統領は3日間、国を挙げ喪に服すと宣言。フランス警察は木曜まで、パリでのデモを禁止した。パリ市内では土曜日まで、地下鉄は運休、学校や大学は休校、市が運営する施設も封鎖されることとなった。一方、運行を続ける鉄道や航空機もあるという。エッフェル塔の無期限封鎖も発表された。

事件当時スタジアムにいたロメイン(25歳)は、次のように証言している。「試合開始から16分くらいで、最初の爆発音が聞こえた。おそらく、20分くらいで2度目の爆発音が聞こえた。『農業用爆弾(スタジアムでよく使われているような爆竹)』だと思ってた人が多かった」。しかし、ロメインの周りにいた観客たちは、爆発音のあまりの大きさに、違和感を感じ始めたようだ。

試合は続行したものの、ハーフタイムには情報も広がり、緊張感が高まった。「すごく変な感じだった。特にアナウンスもなかった。後半はずっとTwitterを見ていた」

フランスが2点目を決めると会場は湧いたが、観客もスタジアム周辺およびパリ中心部での異変に気づき始めた。

「ゲームが終わって席を立った。観客は走っていた。津波みたいだった。みんな芝生に集まった。泣いている人や、混乱してる人もいた」「パニックがおさまると、皆は普通に地下鉄に向かったけれど、それはそれで変な感じだった」

Photo by Etienne Rouillon/VICE News

オランド大統領は緊急事態宣言を発令、戦後初めてだ。フランスの新聞には「大虐殺」「恐怖」といった言葉が並んだ。フィガロ紙は「パリの中心で戦争」という見出しの下、黒い背景にストレッチャーで運び出される人々の写真を掲載。

ラジオ各局は市民に対し自宅に留まるよう勧告。また、路上で彷徨う市民がいたら、自宅を避難所として提供するよう促した。Twitterでは、避難できる場所を提供するというハッシュタグ「#porteouverte」も登場。

フランスの首都は、前回の事件から1年も経たずに起きたテロの衝撃に揺れている。

初めの爆発が起きたのは、現地時間 21時17分、スタジアムの外で起きた。観客はその約2分後、2度目の爆発音を聞いた。

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土曜日、ドイツのメルケル首相は、犯人の追跡などフランスと連携し、事態に対処することを宣言。ヨーロッパの誇りを守るため、フランスと共にテロに対する戦いを続けることを明確にした。

「暴力、テロ、恐怖。悪夢がパリを覆っている」「フランスの盟友として心を痛めている。今回のような自由に対する攻撃の標的はパリだけではない。私たち全員を敵と見なした犯行だ」「しかし、私たちの自由は、恐怖に勝るに違いない」。さらに「ヨーロッパの誇りを守るため、連携を強化したい」と付け加えた。

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英国のキャメロン首相は、パリでの事件を受け、対策を議論するための緊急会議を開いた。

2014年8月以来、英国でのテロ警戒レベルは5段階中、上から2番目の、軍事的攻撃の可能性も否定しない「深刻」に設定されている。土曜日の朝、ガトウィック空港の北ターミナルでは、一時的に乗客を避難させるひと幕もあった。空港職員は「事情により、予防策を取った」と詳細を濁していた。

北ターミナルで万が一の状況を想定し、乗客の皆様に避難していただきました。
ただいま、安全を確認するため、職員が対応に当たっております。

イタリアのレンツィ首相も、パリの事件を受けて国内の警備を強化した。次なるテロの可能性もありうる、と示唆した。テレビに出演したレンツィ首相は、イタリアはフランスと共にあるとコメントし、「テロは『人類』そして『私たちの生き方』に対する攻撃だ」と事件に対する嫌悪を露わにした。

Photo by Etienne Rouillon/VICE News

ルーブル美術館に近いヴァンドーム広場付近は、14日の朝には喧騒を取り戻していた。子供たちは自転車に乗り、外でコーヒーを飲む人や仕事に向かう人の姿も見られた。普段と変わらない風景だった。

スイスから観光に来た夫婦は、ポンピドゥ・センター近代美術館に足を運ぼうと予定していたが、他の施設同様、閉館なので「何もすることがない」と困っていた。

サントノーレ通り(Rue Saint-Honore)にあるカフェ、「ラ クープドール(La Coupe D’Or)」は、通常通り、コーヒー目当ての来客、朝食を楽しむ家族連れで賑わっていた。営業しないなんて考えられなかった、と女性オーナーのキャサリンは語っている。事件に胸を痛めているが、いつも通り仕事をすることが気晴らしになるらしい。

「家で塞ぎ込んでいるより、店に立っているほうがいい」。何よりも、クリスマスを間近に控えたこの時期に事件が起き、彼女は、たいへんな衝撃を受けたようだ。「昨日は13日の金曜日」彼女は呟いた「不吉ね」