パリのコンサートに集まった大勢の人びと Image: James Cridland/Flickr

184ヶ国、1万5000名以上の科学者が地球の未来に警鐘を鳴らした。気候変動、森林伐採、真水の減少、動植物の絶滅、人口増加によって、現在および未来における人類の健康と福祉は、重大な危機に直面しているという。

著名な科学者、ジェーン・グドール (Jane Goodall)、E.O.ウィルソン (James Hansen)など、11月13日、科学雑誌『バイオサイエンス(BioScience)』に発表された論文〈World Scientists’ Warning to Humanity: A Second Notice(世界の科学者から人類への警告:第2版)〉には、様々な分野から合計1万5372名の科学者が署名している。1編の学術論文を支持した科学者の数としては、史上最多だろう。

この〈第2版〉は、1992年11月に発表された論文〈World Scientists’ Warning to Humanity(世界の科学者から人類への警告)〉の改訂版だ。存命のノーベル賞受賞者たちを始め、1700名が署名したこの論文は、人類が環境に与える影響により「人間社会の未来が深刻なリスクに晒されている」と警告し、当時、懸念されていたいくつかの環境問題を挙げた。

ジェーン・グドール Image: Urban Explorer Hamburg/Flickr

「今回論文を改訂したのは、地球の現状を世間に知らせるためです」。オレゴン州立大学の生態学者で、〈第2版〉の共著者であるウィリアム・リップル(William Ripple)教授はいう。論文で取り上げられた問題は、ほぼ例外なく、過去25年間ではるかに悪化している。

「1992年以降、二酸化炭素(CO2)排出量は62%増加し、地球の気温は29%上昇したうえ、野生の脊椎動物の個体数は29%減少しました」

科学者たちが過去25年にわたって集計したデータにより、以下の事実が明らかになった。

  • 1人当たりが使用可能な真水の量 26%減
  • 酸欠海域(デッドゾーン)  75%拡大
  • 森林地 およそ3億エーカー(約120万平キロメートル)の損失

「これらは全て憂慮すべき問題です。私たちが生き延びるためには、生態系サービスが必要不可欠です」とリップル。

植物、動物、昆虫、魚などの種は、酸素の供給、水の浄化、受粉など、様々な役割を果たしている。自然がもたらす〈資源とサービス〉は、年間推定125〜145兆ドル(約1京4000兆〜1京6000兆円)にのぼる。1992年以降、総人口は20億人(割合にして35%)増加したため、生態系サービスにストレスがかかっているという。

だが、前向きな変化もある。すべての生物を有害な紫外線から守る、オゾン層が修復されたのだ。1987年、世界各国が団結し、オゾン層を破壊する可能性のある化学物質の使用を禁止する〈モントリオール議定書〉が採択された。さらに、リップル教授によれば、再生可能エネルギーの使用量が増加しているのも良い傾向だという。

前回の論文は、気候変動にはほとんど触れていなかったが、化石燃料の使用を控えるよう、強く求めていた。11月13日、ドイツのボンで開催された国連気候変動会議で、世界のCO2排出量はここ3年安定しているものの今後上昇する可能性が高い、と別の科学者の団体が警告した。

「気候変動はすでに起きており、危機的な状況です。これからさらに悪化するでしょう」。持続可能性科学 の国際研究機関〈ストックホルム・レジリエンス・センター(the Stockholm Resilience Centre)〉のヨハン・ロックストロム (Johan Rockström)事務局長は、こう発表した。

2018年は例年より冬の寒さが厳しくなりそうで、米国のCO2排出量は2.2%増加する、と予想されている。中国やインドの排出量の増加も、数年前よりペースは落ちたが、依然として増え続けている。

Image: NASA/Wikimedia Commons

「3年ぶりに排出量が増加、というニュースは、人類にとっての大きな後退です」。持続可能性科学の国際研究機関〈フューチャー・アース(Future Earth)〉のエイミー・ルアーズ(Amy Luers)事務局長は、こう述べた。

「排出量は今の値をピークに、2050年までにはゼロにしなくてはなりません」とルアーズ事務局長は会見で発表した。

今すぐにCO2排出量を削減すべきだ、と訴えるリップル教授によると、論文の〈第2版〉では、環境問題を解決する方法をたくさん提示しているそうだ。例えば、公園や自然保護区の増設、野生動物の取引の制限、野菜中心の食生活の推奨、女性のための家族計画や教育制度の充実、再生可能エネルギー、地球に優しいその他のテクノロジーの採用など。

「一丸となって取り組めば…人類と地球のために、私たちは大きく前進できるだろう」と論文の結びは楽観的だ。

「この論文によって、環境や気候に関する問題が、より広く議論されるよう願っています」とリップル教授。

しかし、1992年当時、メディアは〈世界の科学者から人類への警告〉に見向きもせず、『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』は、その価値を認めなかった。