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「この件について他人に話すのは初めてだよ」

コットーは電話の向こうでそう語った。「妻とラビ(ユダヤ教の師)、あとは心理学の先生にしか話してない。こうやって話すのは初めてなんだ」

「これはスペシャルなインタビューになる」と私は理解したが、同時に冷静でもあった。リドリー・スコット(Ridley Scott)監督の映画『エイリアン』(Alien, 1979)で、エイリアンに殺害されたデニス・パーカー(Dennis Parker)役の俳優ヤフェット・コットー(Yaphet Kotto)に、そのシーンについての詳細をインタビューするつもりだった。そう、いたってシンプルなインタビューの予定だった。しかし、彼のエージェントであるライアン・ゴールドハー(Ryan Goldhar)とメールでやりとりするなか、あるメールの末尾にこんなひとことが添えてあったのだ。「コットーは、『フィリピンでUFOに遭遇した話について興味はあるか?』とあなたに聞いています」

コットーのメッセージを私に伝えるゴールドハーは、いったいどんな気持ちでメールを打ったのだろう。コットーは非常に才能ある俳優だ。彼はこれまで、さまざまな賞を獲得してきた。エミー賞にノミネートされた経験もある。『エイリアン』では、SF作品における黒人キャラクターの草分けとなったし、『007 死ぬのは奴らだ』(Live And Let Die, 1973)では、Dr.カナンガ(Kananga)というジェームズ・ボンド(James Bond)の敵役を演じた。すばらしい栄誉だ。彼の出演作品リストは計95本にもおよび、俳優としての評価も確立されている。それにもかかわらず、〈ショービズの生ける伝説〉とも呼べるヤフェット・コットーが語りたいのは、生涯にわたる〈UFO〉、そして〈本物のエイリアン〉との関係なのだ。

「ただ注目を集めたいだけだろう」「100%妄想だろう」と先方の申し出を断るのは簡単だった。宇宙人に拉致された、と語る人々は確かに存在する。それも数えきれないほど。映画『エイリアン』に出演した伝説的俳優が、〈エイリアン〉について語るなんて、偶然にしてはできすぎな気もした。しかし、せっかくなので、私はコットーの話を聞くことにした。以下、1時間におよんだインタビューの要旨を公開する。

結局、コットーの話を聞いても、それがが驚くべき事実だったのか、単なる妄想だったのか、私にはわからずじまいだった。

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私は長らくあなたを追ってきましたが、インタビューに応じるのは本当に珍しいですよね。もちろん、UFOやエイリアンについての話も私は知りませんでした。

ご存知のとおり、私は基本的にインタビューは受けない。これまで5~6人がインタビューの申し入れてきたけど、全て断った。でも今回は特別だ。私の宣伝担当が、エイリアン体験について訊きたがっている記者がいる、と教えてくれたから、どうしても応えなければ、と考えたんだ。UFOやエイリアンとの付き合いは、もう50年以上になるからね。

なるほど。最初の体験はいつ頃なんですか?

9歳か10歳の頃。場所はブロンクスだ。外出を禁止されていた私は、部屋の窓から通りを眺めていた。子どもたちが野球の真似ごとをして遊んでいた。そして後ろを振り返ると、〈そいつ〉が立っていた。身長は少なくとも5~6フィート(152~182cm)で、細長い頭をしていた。突然現れ、私の背中に跳びかかり、そして消えた。それ以来さまざまな経験をするようになり、フィリピンで、『エイリアン』の撮影で、いろいろなものを目撃するようになった。

そんな生活が50年も続いているんですね。もう日常茶飯事ですか?

そうだ。あるとき私は自宅にいた。午後6時だった。瞑想のため、ガレージにある祈祷室に向かった。そしてそこで〈何か〉を見たんだ。5分くらいは見つめ続けていたかな。それは〈光〉だった。なんでお隣さんはうちのガレージの窓にライトを当てているんだろう、と不思議だった。だから、隣に話にいったんだ。忘れないでほしいのは、私はそのガレージに、かれこれ12時間くらい座っていたから、私は、ガレージ上を飛行していた〈モノ〉に何かしらの貢献をしたはずなんだ。いや、〈モノ〉じゃない、〈飛行物体〉だ。

歳をとってから、それが何だったのか理解した。若い頃は、自分がいったい何を体験しているのか、わからないままだったんだ。だから誰にも話さなかった。いろんな経験が身に降りかかってきたが、とある〈すごいこと〉が起こるまで、心にしまったままだった。あと、こんな話もある。俺が引っ越すたびに、何らかのタイミングで家の上に煙の輪のようなものが現れるんだ。雲とはまったく違うから、いったいどこから発生したのか不思議だった。そういう状況が10~15年間続いた。他のUFO目撃談では聞かない話だろ? それに、私は、一時的な記憶喪失を経験している。何回かは、あまりに長い時間の記憶を喪失している。もしかすると、拉致されていたのではないかとおもう。

ちなみに、その〈すごいこと〉とは何だったんですか? 

ある晩、フィリピンの事務室にいたら、妻と給仕が「外にきてくれ!」と呼ぶんだ。外に出てみると、どでかい煙の輪が家の上に浮かんでいた。彼らに、「何か見たか?」と尋ねると「巨大なUFOを見た」という。ヤンキースタジアムを逆さまにしたくらいの巨大なUFOだというんだ。かなり怖がっていたね。そしてその2~3日後、俺自身もそれを目撃した。空を完全に覆ってしまうくらいの大きさだった。月も星も、全て。本当にデカかった。思わず「ジーザス・クライスト…」とつぶやいてしまったほどだ。あれにはかなり参ったね。あんなのを見たら、精神的にだいぶやられる。誰だってそうだ。正直にいえば、とにかく怖かった。3~4日は立ち直れなかった。

これまで精神的な疾患があると診断された経験は? 

(笑)。もちろんない。IQだって196ある。もしそうだったら、宇宙人の存在を主張する、同じような経験をした大勢の人たち全員に精神疾患があることになる。そのなかには、カナダの元国防相ポール・ヘリヤーも含まれるな。

このインタビューを読んだら、あなたは妄想癖が強い、何か下心でもあるんじゃないか、と疑われるかもしれません。それに対してはどう答えますか? 

そんな筋合いはない。俺は、書籍やら何やらの宣伝をしているわけでもないし、自分と同じような体験談も知らない。これまで95本もの映画に出演し、テレビでも活躍してきた。世界中で知られている。この告白が、売名行為になるわけでもない。名前を売るなら俳優の仕事で売る。確かに、単なる売名行為として、有名になるためにエイリアン体験を語る連中もいる。実際、そうして有名になった人も多い。私は既に有名だから、目的があるとすれば、『エイリアン』と関係ないことかな。だからこそ、『エイリアン』に出演してから、自分の体験を語らなかった。だってそんな話をしたら、周りに絶対「うわ、自分が出演した映画を宣伝してる」って思われるだろう。今の私には何かを宣伝する必要はない。別に本を執筆したわけでもないし、公開予定の映画もない。だから今のタイミングがまさにちょうどよかったんだ。今なら誰も何も邪推できない。金を稼ぐ、メディア露出を増やす、なんて関係ない。もし今誰かに、「エイリアンにまつわる経験があるか?」と訊かれたら、「もちろんある」と答える。9歳の頃から今までずっと続いてきているんだからね。

妄想に取りつかれているといわれたって俺はかまわない。むしろようやく真実をはっきりさせられる。俺の立場は明確だ。

どうしてあなたはUFOに何度も遭遇する特別な体質になったのでしょう? 

わからない。〈モノ〉を本当に何度も見すぎているから、自分は特別なんだ、と感じるようになった。〈モノ〉っていうのはやめよう、無礼な表現は避けたい。とにかく、彼らは俺たちのあとをついて回っているようだ。私がいるところに現れる。たとえばフィリピンのマニラで、朝のランニングをしていたときの話だ。起きて、アシスタントと外に出てランニングを始めた。まだそんなに走ってない段階で、例の〈飛行物体〉が現れた。アシスタントは完全にビビって、「見てください!」と叫んだ。私はそれに対して、「そうだな」と返し、そのままにした。飛行物体はあとをついてきてたんだ。アシスタントは友人全員にその体験を話していたよ。次の朝、また、ランニングの準備をしていたとき、心を落ち着かせて、「昨日見たものは嘘だった。もし今日2機現れたなら信じよう」と自分に言い聞かせた。そして外に出たら、確かにUFOが2機浮かんでいたんだ。その次の日には3機になっていた。まるでこちらの要求に従っていたようだった。

私は彼らはつながっているように感じる。9歳のときにエイリアンに遭遇してからずっとだ。あのエイリアンが背中に跳びかかってきたのも、私に見つかって驚いたからだろう。自分の見たものについて、心理学者のカウンセリングにいったこともある。俺の家族がブードゥー教に心酔しているのでは、と疑ってきた心霊治療者もいた。あの体験から何年も、寝室の電気を消すのが怖かった。母はとある心霊学者のところへ私を連れていき、呪文を唱えてもらったり、いろいろ試したんだ。そのあとはいち度もエイリアンを見ていない。

そのような体験をして、エイリアンに関して恐怖心を抱いていたあなたが、どうして非常に攻撃的なエイリアンが出てくる映画作品への出演を決めたのでしょうか?

私の体験は、映画『エイリアン』とは何の関係もない。手渡された脚本はすばらしかったし、たった72ページしかなかった。それだけだ。ただ、『エイリアン』のセット…宇宙船のなかで、私だけが気づいたものがある。主人公を演じたシガニー・ウィーバー(Sigourney Weaver)が、宇宙船を自爆させるためにスイッチを入れた装置に〈シンボル〉があった。作品内の宇宙船とはまったく関係がないシンボルだ。俺はそれを何度も目にした。古代エジプト文字のヒエログリフのようなシンボルで、俺はその解読を試みた。俺は解読ができたんだ。

そんな出来事もあったけれど、『エイリアン』の脚本は、映画史において最高傑作と呼べるものだ。何度も読んだ。それにこの作品は、かつてアフリカ系アメリカ人俳優にはなかった機会を俺に与えてくれた。SF映画作品で、黒人俳優が活躍する門戸を開放した作品だ。それ以前は、教会のシーンや聖歌を歌うシーンくらいでないと、黒人は映画に起用されなかったんだ。

ただ、すばらしい脚本だとはいえ、『エイリアン』の出演者として恐怖を感じませんでしたか?

確かに。胸を突き破られるシーンのあとは、2~3日会話もできなかった。エイリアンが人間の胸を突き破って出てきたときには、他の職業についたほうがいいんじゃないか、舞台役者としてクラシックな作品に出演するほうがいいんじゃないか、と逡巡したよ。自分の人生について疑問を持ち始めた。「何なんだよ、この作品。頭おかしいだろ」とね。

あのシーンの撮影のために現場入りしたら、それまでと雰囲気がガラッと変わっていた。撮影クルーは、彼ら自身を保護するために白のゴーグルとプラスチック製のマスクを装着していたから、手術室に入ったみたいだった。事前に、俳優への説明はなかった。撮影開始後、ケインの胸部を食い破っておかしなモノが現れると、皆パニックになったし、トラウマにもなった。俺たち全員だ。私は、それまでに体験してきたエイリアンやUFO絡みの全ての経験を思い出したよ。そのときの私は、もはやUFO研究家だった。実際に宇宙人に関わる体験をすると、内面はすっかり変わってしまう。今、自分は彼らの監視下にある、と考えるようになる。

本当にこれまで自分の体験について話されていないのですか? 『エイリアン』は宇宙人が題材なので、話す機会はいくらでもありましたよね。

本当にない。今回が初めてだ。妻とラビ、あと心理学者にしか話ていない。こうやって話すのは初めてなんだ。なぜかはわからない。でも、今年になったら話そうと決めていた。自分だけで抱えるのがつらくなってきた。宇宙人はいなくならないだろう。宇宙人は、今世紀中に、人間たちに、自らの存在を明かす気がしなくもない。彼らの目的は、人間に殺し合いをやめさせることだ。人間は、川、湖、山々を破壊し、そして温暖化も助長している。現在の行動について、改めて真剣に見つめ直さなければならない。宇宙人は、その手助けをしてくれるんだ。

『エイリアン』のエイリアンは、今話されたような〈善き〉エイリアンの姿とは違いますね。劇中であなたが演じたパーカーがエイリアンに殺されるシーンでは、あなたは叫び、恐怖に満ちた表情を見せています。

とにかく嫌だったよ。『ブルーカラー/怒りのはみだし労働者ども』(Blue Collar, 1978)という作品にリチャード・プライヤー(Richard Pryor)と出演したとき、俺の黒いシャツには〈心の眼〉がプリントされていた。丸のなかにさらに丸があり、その中心に白い星がある、そんなシンボルだ。ヨガナンダ(Yogananda)が説いた〈心の眼〉を表すシンボルで、瞑想を極め、上を目指せば開眼する。

『ブルーカラー/怒りのはみだし労働者ども(Blue Collar)』(1978年)

私にはリドリーがなぜそう演出したかは分からないが、口を開いたエイリアンが私に迫ってきたとき、額を狙っていた。額は、心の眼がある場所だ。だからスタッフが俺の頭部のダミーを使ってテストしているのを見たとき、「どうしてこいつは、よりによって心の眼を攻撃してくるんだ?」と聞いたよ。インド人が額に赤い印をつける、その場所だ。何で胸でも首でもなく額なんだ? それがすごく嫌だったんだ。

あなたの経験を立証するような、他の事例についてはどう考えていますか?

「米国はもっと真剣にこの問題に向き合うべきだ」。以前、ポール・ヘリヤーが主張していた。いろんな宇宙人が地球に来ている事実についての証言ビデオテープも彼は持っている。「米国は、実際にエイリアンが存在している事実を認めない」と批判したんだ。そんな彼の行動を見て、私は安心した。彼のような要人が、わざわざ話をでっちあげるはずもなく、それに営利目的で発言する必要もないだろうからね。