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ファストファッションの代償ー売春か過酷労働か

カンボジアの首都プノンペンでは売春と縫製産業が盛んだ。いずれにしても労働者は劣悪な労働条件の下で働かざるを得ない。売春の規制強化を背景に工場で働くようになった女性たちは、売春のがマシだという。その背景にある現実とは。

2ドルで買われる少女たち

カンボジアの首都プノンペンでは、2ドルで少女を買うことが出来る。世界中の小児愛好者にとって、プノンペンはまさに聖地だ。2008年、カンボジアでは人身売買を禁止し売春や売春宿の運営を規制する法律が制定され、取締りは厳しくなっているという。

映像に登場する女性は、強制的に売春を辞めさせられ縫製工場で働いたが、あまりに給料が低いことと劣悪な労働環境を理由に、売春の方が「まだマシ」と判断したようだ。

お金のない親に売りに出された少女が、ほとんど賃金も与えられず、半ば監禁状態で性労働を強制させられている現実や、HIV感染拡大防止のためだと聞けば、当局の取締り強化もうなずけるが、売春を止めた先に待つ現実が一層貧しいものだとすれば、彼女たちは何を選べばいいのだろう。

日本では性産業の正規化が進行中

見て見ぬフリをする人も多いが、日本も“売春”天国だ。法律で売春行為(脚注①)は禁止されているが、他の国には存在しない多種多様なサービスが存在している。今年8月には、日本性産業協会が設立された。タブー視されがちな性にあえて日の光を当て、雇用条件の改善や性病検査などの徹底化を図り、一つの産業として発展させていくことが目的だという。

現在カンボジアでは、輸出額の70~80%を占める縫製産業が観光業と共に国の経済成長を牽引している。縫製産業の労働条件改善はもちろん必要だろうが、売春についても、一面的に非合法化するより、健康なセックスツーリズムを謳い、労働者にも利するような規制を導入しながら、産業化していくという道もあるのかもしれない。日本では、2020年の東京オリンピックをビジネスチャンスと捉える風俗店経営者もいる。東京はプノンペンの先例となれるだろうか?

(脚注①)売春:売春防止法では「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義されている。「挿入」はNGだが「口」や「手」「肛門」は「性交類似行為」と定義されているためOK。対償を受ける相手が不特定多数だとNG、特定であればOK。