Are You Happy Now?:歌織さん(43歳)会社員

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Are You Happy Now?:歌織さん(43歳)会社員

「BECKのライブは、すごく楽しみにしていたんです。でもふと、〈ひとりでワクワクして、ライブに向かう40代〉みたいなのがよぎりまして(笑)」

学生時代、陸上競技をしていまして、そこそこの成績を出しておりました。で、うちの母親はいうのです。「アンタはあの頃が1番輝いていたわよねぇ」って。でも、あぶらだこを聴きながら練習していた私を母は知りません。

加藤ミリヤさんの「新約ディアロンリーガール feat. ECD」は、12年前に発表された「ディア ロンリーガール」の再構築バージョン。旧バージョン同様に、たくさんの女性の名前が登場します。総勢78人。

〈あの子は今 幸せかな〉〈時は過ぎ 乙女大人になって 戻れない「うちらの時代」は 特別に輝いてた 夢に散った〉

「新約ディアロンリーガール feat. ECD」に登場する同名の方をお招きし、仕事、恋愛、結婚などについて、そして〈あの頃〉と〈今〉を確認させていただきます。「Who Are You? 特別篇:Are You Happy Now?」第2回です。

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

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歌織(かおり)さん 43歳:会社員

こんばんは、よろしくお願いします!

こちらこそ、よろしくお願い致します。

早速ですが、歌織さんは今お幸せですか?

えっ…。

すいません、決まりなので。

いや、まぁ、うーん(笑)。

うーん、お幸せではないのですか?

うーん、まぁ、離婚しまして(笑)。

いつ離婚されたんですか?

今年の9月です。それまでゴチャゴチャありましたが、正式にそうなったのは、この9月ですね。

すいません、ご応募いただいたメールで、離婚されたことは既に知っていたんですけど、決まりなので。

はい(笑)。それありきで応募しましたので。

と、いうと?

なんていうか、ちょっと不安になりまして。

どんな不安ですか?

この先、ずっとひとりなのかなぁーと(笑)。

フムフム。

この年代になると、出会いとか少なくなるじゃないですか。いなくなるいっぽう。

フムー。

友達にしても、実家に帰る子がいたり、結婚して子供がいるから会えなくなる子もいる。

フムー。

友達が減っていっているような感覚にも陥っちゃって(笑)。そして新たな出会いもない。

ビール飲みます?

いただきます。

お子さんはいらっしゃいます?

いえ、おりません。

離婚されてから、ずっと不安になられていたんですか?

いえ、そうでもなかったんですけど、先日ふと。

先日? いつですか?

はい。BECKのライブに向かう途中に。

アハハ!! あ、すいません…BECK好きなんですか?

はい、好きです。すごく楽しみでワクワクしていたんですけど、電車のなかで、急に心細くなりまして。

なんでBECKで?

きっかけはわかりません(笑)。ただBECKのライブは、すごく楽しみにしていたんです。でもふと、〈ひとりでワクワクして、ライブに向かう40代〉みたいなのがよぎりまして(笑)。ライブ会場で、別に友達に会うわけでもないですし、なんか寂しくなっちゃって、「どうしよ、どうしよ」って、急に来たんです。

じゃあ、BECKのライブも楽しめなかった?

いえ、行ったら行ったで、めちゃくちゃ楽しめました(笑)。

BECKって、今も「ルーザー」とかやっているんですか?

やってますよー。この間は、ヒット曲のオンパレードでした。最近、アルバム出たんですよ。

はい、Apple Musicで聴きました。

私の誕生日に出たんです(笑)。

おめでとうございます。

ありがとうございます。「デヴィルズ・ヘアカット」も、やっていましたよ。

本当にオンパレードですね。

はい、本当に楽しかったです。

じゃあBECKのおかげで、不安も落ち着いたんじゃないですか?

ただ、不安に感じたのは事実なので、ちょっと自分で行動しなくてはいけないと考えるようになったんです。これまでは、そんなタイプではなかったんですけど、自分から色々動き出そうと。

はい。

それで、こちらのコーナーに応募させていただきました。

んん? もうちょっと違う方法ありません? それこそ婚活パーティーに参加するとか?

いやー、婚活パーティーは、ちょっとまだ壁がありますね。

でもBECK好きの婚活パーティーだったらどうします?

確かに興味はありますが、どうでしょうかねー(笑)。

あとは誰が好きなんですか?

……MUDHONEYとか。

歌織さん!!!! 最強じゃないですか!!!!

いえ、まぁ、40代ですので(笑)。

じゃあ、MUDHONEY好きの婚活パーティーだったら行くでしょう?

うーん(笑)。年齢的にも近いだろうし、話も合うでしょうけど、でも話の内容が合うとかは、もう重要じゃないかもしれないですね。

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そうなんですか?

合えば合うでいいんですけど、そういうところじゃないですよね。付き合うとか、今後ずっと一緒にいるとなると(笑)。それにやっぱり、婚活パーティーは、まだ勇気がありません。

このコーナーのほうが、勇気が必要な気がしますが。だって、顔出るんですよ。

うーん、いつも読んでいますし、安心するので、なんだか、こちらのほうが動き出すにはいいのかなぁと思ったんです。

わかりました! じゃあ、こうしません? 婚活パーティーに参加しなくてもいいくらいのアピールをここでしましょうよ!

はぁ(笑)。

写真もありますしー。

(カメラマン:宮本さん)撮りますよー。

一緒にMUDHONEYのライブに行ってくれる男性をゲットしちゃいましょうよー。

うーん、そこは別にいいんですけど(笑)。それにMUDHONEY、なかなか来なさそうだし(笑)。

そうだよなぁ(笑)。じゃあ次のBECKに向けて。

はぁ(笑)。

歌織さんは、どんなお仕事をされているんですか?

メーカーっていうんでしょうか。ファミリー企業なので、あんまり具体的にいえないのですが、普通の会社員です。

お仕事は、月〜金ですか?

はい。

お休みは、何をしているんですか?

そうですね。ライブに行ったり…あ、さっきもいったか(笑)。

「相手がMUDHONEY好きじゃなくてもいい」と仰いましたが、「ああー、お休みの日はライブに行くんですか。音楽が好きなんですね。どんな音楽が好きなんですか?」って、流れになりますよね。なんて答えますか?

えっと、MUDHONEYとか…って(笑)。

ですよね。そうすると「すいません、そのバンド、知りません。どんな音楽ですか?」と訊かれます。なんて答えますか?

えっと…。大まかにいうと、アメリカのロックです…と(笑)。

「どんなアメリカのロックですか? ハードロックですか? 僕はミスチルが好きなんです」なんて。面倒臭くありません?

いえいえ、別にOKですよ(笑)。

じゃあ、「僕はRADIOHEADが好きです」は?

そうですねー。RADIOHEADは、ちょっと面倒臭そうですよね(笑)。

アハハ!!!!

あー、ごめんなさい!! こんなこといったら狭まっちゃいますね(笑)。

ちなみに、BECK、MUDHONEYの他は、誰が好きなんですか?

そうですねー、普通にSONIC YOUTHとか。

普通ではありませんよ(笑)。

まぁ、USのオルタナ、インディーです。

もういっちょ!

SEBADOHとかBUILT TO SPILLとかMELVINSとか。

MELVINS好きのギャル!!

ギャルじゃないですよ(笑)。

間違いなく独身のオルタナおっさんたちは、今キュンキュンしてますよ!

でしょうかー(笑)。

すいません、話がオルタネイティヴしたので戻します。好きな食べ物を教えてください。

カレーですかね(笑)。友達と食べ歩いています。

料理もされますか?

しますけど、好きじゃないので、上達しないですね(笑)。

では、好きな映画は?

こちらにも出ていましたけど、塚本晋也監督の『鉄男』ですね(笑)。

完全にオルタナ、サブカルじゃないですか(笑)。

ああ、また狭まっちゃいますね(笑)。でも、好きなものがたまたまサブカルなんていわれているだけで、別にサブカル女みたいな感じではないです。

そうなんですか?

はい。メジャーでいえば、大森南朋とかも好きですよ。

これはまた微妙なメジャーですね(笑)!! 半分、足突っ込んでる人だと思いますよ。

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うーん、出処はそっちだもんなぁ。やっぱり、サブカル好きの女はモテないみたいなのがありますよね?

え、そうですか?

モテないというか、ちょっと痛くないですか(笑)?

歌織さん、そんなことないですよ。私は好物ですよ!

ありがとうございます(笑)。

では、どうしてサブカル女になったのか、その歴史を辿りましょうか。

やっぱ、サブカル女なんですね(笑)。

ご出身は、どちらですか?

静岡県の裾野市っていうところです。沼津とか、御殿場とか、聞いたことある所の隣です。

裾野も聞いたことありますって(笑)。ちなみに静岡県って、浜松市と静岡市で戦っているんですよね?

そうみたいですね。でも裾野は神奈川に隣接していますし、静岡とか浜松に比べると東京寄りなので、「ちょっと都会だろ」みたいな気持ちがあります(笑)。高校のときに遊ぶとなったら、原宿に行っちゃうみたいな。もちろん、街自体は都会ではないですけど(笑)。

原宿まで行けちゃうんですか? どれくらいで?

鈍行で3時間弱くらいですね。

じゃあ、浜松とか静岡で買い物するなんてことは?

なかったです。そもそも浜松は遠すぎて、他県扱いしてました(笑)。

どんなご家庭でしたか?

お父さんは普通にサラリーマンだったんですけど、お母さんが…(笑)。

なんですか? その笑いは?

えっと、お母さんは、演歌歌手なんです(笑)。

おおー! 素敵!! まだやられているんですか?

やっています。「そろそろいい年齢だから、辞めてもいいんだけど、なんだかんだ出演オファーがある」といってます(笑)。

お母さんは、デビューしていたんですか?

はい。昔は、某演歌に強いメジャーレコード会社から出していました。今も音源は出しているんですけど、多分自主制作なんじゃないですかね。

ああ、お母さんのインディースピリットがあったからこそ、今の歌織さんがいると。

いえいえ(笑)。

歌織さんが物心つく前から、お母さんは演歌歌手だったんですか?

いえ、私が小3くらいのときにデビューしたんです。

「お母さん、デビューします!」みたいな報告があったんですか?

そういうのは忘れちゃったんですけど、近所のいたる電柱に、お母さんのポスターが貼られていました。通学路なのに(笑)。

「歌織ちゃんのお母さんでしょう?」みたいな?

はい(笑)。学校でも先生にいわれて(笑)。

恥ずかしくなかったですか?

そのときは、すごく恥ずかしかったですね。はい、本当に恥ずかしかったです(笑)。

歌織さんも歌ってたり?

いえいえ、それはありません。

じゃあ、小学校はどんなことをしていたんですか?

空手とか書道とか。習い事はいろいろやっていました。学習塾や英会話教室にも通っていましたし。あ、ちなみに空手は黒帯です!

黒帯はすごいですけど、サブカル臭はまだ感じられませんね。

当たり前ですよ(笑)。普通に〈明星〉とか買ってましたもんね。

ああ、〈平凡〉もあってねぇ。誰が好きだったんですか?

低学年のときはマッチですよね(笑)。はい、ポスターを貼っていました。高学年になるとチェッカーズとか。うちは、お父さんがテレビが好きだったので、一緒になって『ザ・ベストテン』とかを観ていましたね。

うーん、サブカル度は〈ゼロ〉ですね。

だから、まだ小学生ですから(笑)。

じゃあ中学に期待しましょう。部活とか入りました?

はい。吹奏楽部に入りました。トロンボーンと弦バスをやっていました。本当はサックスがしたかったんですけど。

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ムムッ。サックスは、やっぱチェッカーズの影響ですか?

はい(笑)。尚之ですね。でも「あなた、手が長いからトロンボーンね」って、先生に決められてしまいました。手、長くないのに。

どんな曲を吹いていました? このコーナーでは、〈ジブリ〉って声が多かったのですが。

やっぱり時代ですね(笑)。うちらは、TM NETWORKの「GET WILD」とか(笑)。

チェッカーズ、TM NETWORKと、まだサブカル臭がしないんですが、そろそろですか?

はい(笑)。えっと、バンドブームが来たわけです。

イカ天とか?

そうです、そうです。夜更かしして、イカ天を観るようになりました。

おお、サブカルの入り口が見えましたね。誰が好きだったんですか?

えびとか(笑)。

いましたね(笑)! 可愛いパンク!! でも、えびじゃ、キュンキュンしないですよね? まだ藤井尚之が好きだったんですか?

男闘呼組とかかなー。

いいですねー! 男闘呼組では、誰が好きでしたか?

成田昭次ですね。

ああ、いち番不良っぽかったよねぇ。

捕まっちゃいましたよねぇ。

ブチ込みますね、歌織さん(笑)。ちなみに学校に好きな子はいなかったんですか?

小学校からずっと好きだった人がいましたね。

何くんですか?

これまたナリタくんで(笑)。

アハハ、成田昭次に似てるんですか?

いえ、似てません(笑)。

おつきあいしたり?

いえ、そういうことは、まったくなく。なんとなく中学卒業するまで好きでした。

で、えびと成田とナリタで、中学は卒業しました。高校時代に突入です。

はい。沼津の女子校に入学しました。

また吹奏楽部ですか?

その高校には、吹奏楽がなかったんです。なのでパソコン部に入りました。活動していない帰宅部みたいな感じです。

じゃあ、放課後は何をしていたんですか?

沼津は裾野からすると都会なんですよ。なので、古着屋に行ったり、ケンタッキーに寄ったり。ケンタッキーの2階で、アーケードを通る人間ウォッチングみたいなのを友達としてました(笑)。

勝手にあだ名を付けたり?

はい(笑)。あとは、あれとあれが付き合ってるのかー、とか。

女子校だったら、それこそ男子の出会いとか少ないですよね?

出会いは電車ですよね(笑)。朝のラッシュでも1時間に3本くらいしかないんですよ。だから、いつも乗る時間と、乗る車両は決まっていまして、そこで見かけた人がちょっと好きになっちゃって。

学生服でどこの高校かとか。

はい、わかります。

でも、喋ったこともない人を好きになるっていうのは、やっぱ顔ですよね?

そうですね。顔とか雰囲気。

誰に似ていました?

織田裕二かなー。

はい(笑)。アクションは起こしましたか?

確か最初はバレンタインのとき。チョコレートを渡しましたね。

電車のなかで?

えっとですね。その人、いつも私が乗る前から、電車に乗っているから、どこの駅から来ているのかわからないんですよ。帰りは時間もバラバラですし。

ああ、そうかー。

それで、見かけた機会に尾行したんです。どこで降りるか(笑)。

女子はやるなー。ひとりで?

友達について来てもらいました。そんなことがあって、チョコを渡せたと記憶しています。

その後は? その後は?

そのときは「ありがとう」みたいな感じだったんですけど、お返しをもらいました。

おお、ホワイトデー?

はいー(笑)。

年齢は上だったんですか?

はい。3年生でした。私が1年。その人は、バンドをやっていて。

いいじゃないですか!

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三島に〈ゴリラハウス〉っていうライブハウスがありまして(笑)。そこで「ライブをやるから来る?」みたいなことに。

んー、どっちに転ぶか、まだわかりませんね。織田裕二は、どんな格好をしていました?

バンダナを巻いていましたね(笑)。

また男闘呼組!!

ハードロック好きだったようです。MÖTLEY CRÜEとかあの辺の感じ。

どう思いました?

女性の音楽の趣味って、男が関係するとかいうじゃないですか?

ええ(笑)。

それで私も聴いてみました。

はい(笑)。

でも、あんまりピンとこなかったんですよ。別にすごく嫌いというわけじゃないけど、そんなにハマらないかもって。

でしょうね、生まれつきのオルタナですものね。

でも、そしたらその人が、「最近レッチリっていうバンドがいるんだよ」みたいな。「あれ? ハードロックの人は、こういう音楽を敵対視してなかったっけ?」とか思いつつ(笑)。

歌織さん、状況をよく把握してらっしゃる(笑)。

それでレッチリを教えてもらったら、「これは好きかも」と。

いつくらいのときですか?

『母乳』の頃ですね。

MÖTLEY CRÜEとかGUNS N’ ROSESとか聴いていた子たちが、オルタナ登場にショックを受けた時期ですよね。織田裕二くんもそうだったと。

そうですね。

じゃあ、えびに続くサブカルはレッチリということにしていいですか?

音楽でいうと、そうかもしれないですね。

織田裕二とは付き合ったんですか?

付き合ってはないです。ちょっとモヤモヤはありましたけど、付き合ってはいないです(笑)。

レッチリによって、そのままサブカル度は上昇したのですか?

テレビも大きかったと思います。父がテレビ好きだから、衛星放送が始まったとき、真っ先に加入したんです。衛星放送の番組で、海外チャートの番組とかがあったりして、それでレッチリの流れからいろいろ知るようになりました。それこそグランジブームも(笑)。すごく格好いい!って。

そこでMUDHONEYを?

はい(笑)。もちろんNIRVANAも。ライブ映像とかで興奮していました。とにかく括りでグランジが好きでしたね。

ああ、〈グランジ女子〉だったんですね。〈サブカル女子〉と、どっちがいいですか?

どっちでもいいです(笑)。

音源とかは、どこで買っていたんですか?

沼津に1軒、マニアックな店があったんですよ。輸入盤からカセットテープ、えびの音源も置いてました(笑)。沼津は南口が栄えてて、北口は寂れてたんですけど、寂れてる北口の方に。しかも通っていた塾の途中にあって。そこのお兄さんと仲良くなったりしました(笑)。

学校にグランジ女子はいました?

ひとりいましたね。その子と一緒に、「これかけてー」って、放送部の友達にCDを渡して、校内で流させたり(笑)。…ああ、思い出しました。NIRVANAをかけたら、X好きの友達が急に飛んで来て、「これ、YOSHIKIが最近勧めてたヤツでしょ!」って(笑)。そっちもそうなんだと思いましたね。

私も思い出した! 『鉄男』との出会いは?

この時期です(笑)。衛星放送で夜中にやっていたんですよ。それを観てしまい(笑)。

お父さんのせいでもあるのかー。

白黒だし、ああいう感じじゃないですか? 今まであんな映画、観たことなかったから、びっくりしちゃって。本当に衝撃だったんです。とにかく取り憑かれまして、高校の隣の席にレコード屋の娘がいたんですよ。

町のレコード屋さん?

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はい。その子に頼んで、『鉄男』のVHSを取り寄せてもらいました(笑)。まだ家にあります(笑)。

田口トモロヲもお好きなんですか?

はい、宝島で知りました(笑)。それまでは別に好きでもなかったんですけど、『鉄男』からはずっと好きですね。

グランジだけならまだしも、『鉄男』によって、サブカル度は〈90〉くらいになりましたね。おめでとうございます!

はぁ(笑)。

そして高校を卒業しました。どうされたんですか?

大学で東京に来ました。なにがしたいとかはいっさいなくて、とりあえず東京に出たい、みたいな。

どちらの大学に?

文化服装学院の大学のほうです。でも服飾系ではなくて(笑)。学部ができて3年目くらいの英文科に入学しまして、小平の校舎に通っていました。

どちらに住んでいたんですか? ひとり暮らし?

はい。最初は、国立に住みました。

ああ、国立ユニオン!

行ってました(笑)。駅の横にあるディスクユニオン(笑)。

サークルとかにも入ったんですか?

はい。高校のときに3人仲良かった子たちがいて、大学に入ったら、絶対このサークルにみんなで入ろうって決めていたんですよ。

文化にあるサークルですか?

いえ、早稲田の(笑)。

なんか、いやらしい(笑)。

真心ブラザーズが好きだったので、彼らの出身サークルに入りました(笑)。でも、住んでいるのが国立だし、学校も小平だし、ちょっと遠かったので、1年くらいで行くのを辞めちゃいました。ちょっと飲み会とか、サークルの人のライブがあったりすると参加していたくらいですね。

じゃあ、なにしていたんですか? 家で『鉄男』観ていたんですか?

えっと、1年のときにしていたバイトで彼氏ができまして。

おおー。何のバイトですか?

イベント会場にある売店です。ポテトを揚げたり(笑)。

どんな彼氏でしたか?

中央大学の人でした。

格好よかった?

ええ。まぁ、タイプでした(笑)。

大森南朋みたいな?

あんまり濃ゆくない顔の人っていうか、さっぱりした感じの人です。

でもその頃の歌織さん、サブカル度90でしょ。やっぱり若いから、同じような趣味とか、同じような感性の彼氏じゃないとイヤみたいなの、あるじゃないですか? 彼氏も『鉄男』だったんですか?

『鉄男』ではありませんでしたけど(笑)、それこそBECKとかを聴いていましたから、そういう感じの趣味はありましたね。あと、こだわりがすごい人で、バイクに乗っているから、アウターは本物の革ジャンを着たり、いいブーツを履いたり。

あらー、じゃあバイクに乗せてもらって?

ええ(笑)。

やらしいですねー。どこに行ってたんですか?

福生とか(笑)。

アハハ!!

古着屋に行ったり、ダイナーみたいなところで、何かを食べるみたいな(笑)。

最高の多摩カップルですね! どれくらい付き合っていたんですか?

大学2年の終わりくらいまででしょうか。

どうして別れちゃったんですか?

えっと…途中から付き合った人が変わりましたので。

あら、もう! 誰? 誰?

付き合っていたバイクの人が、中央大学のアウトドアサークルに入っていまして、私もそこに行くようになりまして、そこによく来ていた別の人です(笑)。

乗り換えちゃったんですか?

乗り換えですかねー(笑)。

やらしいなあ。

でも被ってないですよ(笑)。

どうして、その人を好きになっちゃったんですか?

ちょっとアウトローな雰囲気に惹かれるみたいな(笑)。年が1個下だったんですけど、ド渋だったんですよ。アウトドアサークルの人が学食に集まって、ご飯とか食べてるときに、アコギを持って来て、ポローンと弾いたりして(笑)。

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またバンダナが似合いそうですね。

その人はストリート・スライダースとかを聴いていましたね。

また福生! 完璧ですね!!

あとシオンとか(笑)。

中央大学のハリーとは、結構長く付き合ってたんですか? 蘭丸かな?

大学卒業するくらいまでですね。

バイトとかはしていました?

はい。吉祥寺の定食屋でやっていました。

吉祥寺のどの辺ですか?

サンロードの結構奥の、バウス…あ、バウスシアターですね。

はい(笑)。

バウスシアターのちょっと手前のアメカジ服屋ら辺の地下にありました。今はもうないですけどね。

バイト代でなにを買っていたんですか?

レコードとかCDとか。

吉祥寺だとワルシャワ?

そうですね。あとは西新宿にも行ってました。

ラフ・トレード行って、VINYL行って…みたいな?

その2件は、あんまり行かなかったですね。タイガーホールとか、あとはダスゲマイネですね。あそこの品揃えがすごく好きでした。

ダスゲマイネ!! ああ、懐かしいですねー! 間違いなく独身のUSインディーおっさんたちは、今ビンビン来ていますよ。

そうですかー(笑)。

でも、スライダースからダスゲマイネまで堪能した大学生活にも終わりはやって来ます。

はい。

そのまま、東京で就職したんですか?

はい。でも全然、就職活動をしていなくて。

ダスゲマイネ、行き過ぎたんでしょ。

いえいえ(笑)。結局、就職雑誌で社員募集していたところに受かりまして、そこで働き始めました。

それは、どんなお仕事だったんですか?

陶器屋さんでした。ただそこは、いろんな陶器メーカーの社員の人が出向してできた会社だったので、3年くらいで解散しちゃったんです。私は、集まったところの社員として雇われたので、働き口がなくなって。

どうされたんですか?

派遣で登録して入ったのが今の会社なんです。

そして今は正社員に?

はい。もう15、6年経ちますね。うーん、もうそんなになるのかー。

元旦那さんとは、どこでお知り合いになったんですか?

友達のバンドの企画の打ち上げでした。そこで『鉄男』の話になったんです(笑)。「俺も、塚本晋也好き」って(笑)。

おおー、元旦那さん、『鉄男』好きだったのかー。そりゃビビッて来ますよねー?

はい、来ましたね(笑)。向こうも『鉄男』の話ができる女の子はいないって思ったらしくて(笑)。

これからは『鉄男』好きじゃなくてもいいんですよね?

はい、はい(笑)。

でも、何回もしつこいんですけど、間違いなく独身の塚本晋也好きのおっさんたちは、ビンビン来ていると思うんです。

うーん。私もそうなんですけど、みなさん、これまでの時間を経て、落ち着いて来ていると思うんですよ。

落ち着いている?

はい、温泉が好きとか。そういう感じなっていると思うんです。私もそういう感じになっているので、温泉に行ったり、旅行に行ったりとかだけでいいんです。『鉄男』にビンビン来なくてもいいんです(笑)。もちろん、今も『鉄男』もMUDHONEYも好きですけど。

ごめんなさい、本当にしつこかったですね。じゃあ、現在の歌織さんの話を。えっと、カレーと…

猫を飼っています(笑)。2匹!

ああ、猫ちゃん! まずは猫好きの方に届きましたね!

あとはドライブです。ひとりになってから免許を取りました(笑)。それで車が好きになりました。

おおー、車好きの人、多いですものね!!

このあいだも東京モーターショーにも行きました(笑)。

そこまでやってるんですか!? そんなに車が好きになっちゃった?

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この車種が、どうのこうのとかは、全然わからないですけど、ちょっと見たいなーと思う車がありまして。

なんですか?

友達が古いスズキのジムニーに乗ってまして。四角い形が可愛いいんですけど、古さゆえ、乗り心地があまり良くなくて。そしたら、その昔の四角いフォルムに戻った新型ジムニーがでる!って噂になってまして、それが東京モーターショーで発表されるかもと。結局行ったら、まだ発表されてなかったんですけど(笑)。来年の春頃らしいです。

んー、歌織さんスゴイ。サブカルくそじじいには、付いて行けません。

はい。だいぶ丸くなっていると思いません?(笑)。

カレー、温泉、旅行、猫、車!

すごく王道ですよね(笑)。

そしてMELVINS!

もうやめてくださいよ(笑)。

もし素敵なパートナーができたとしたら、再婚は考えていますか?

縁があれば。でも1回終わっていますので(笑)、結婚にこだわっているわけではありません。そういう流れになったら、それはそれでいいし。でもひとりで一生いたくはないですね(笑)。それは絶対にイヤですー。

さて、加藤ミリヤさんは、「時は過ぎ 乙女大人になって 戻れない 〈うちらの時代〉は 特別に輝いてた」と歌っております。歌織さんが輝いてたいたと思うのはいつ頃でしたか?

うーん。本当に、平坦な人生を歩んで来ましたし、なにかをすごく頑張って、成し遂げたこともないんですね。ゆえに、輝きはなかったと(笑)。ただ、なんていいますか、以前よりは現在の方が充実しているというか…。長いこと、元旦那ありきで来ちゃったし、目立たないようにしてきた部分もあるので、もうちょっと殻を破って、色々やってみようという気持ちにはなっています。先日読んだ〈しいたけ占い〉にも書いてあったし(笑)。まあー、40過ぎてアレですけど(笑)、輝きたいですね。

歌織さん、輝いていますよ! 素敵ですよ! このインタビューを読んで、〈歌織さんと交際したいです〉メールが、じゃんじゃん来ちゃったらどうします?

えー、そんなことありませんよー(笑)。

(カメラマン:宮本さん)いえ、これは応募殺到しますね。

※「Are You Happy Now?」では、インタビューを受けて下さるアイさん、ユメさん、ナギサさん、サクラさん、マドカさん、ミドリさん、レイコさん、マキコさん、マイさん、ユイさん、ユリさん、アカネさん、ユウさん、サチさん、ユカリさん、マオさん、カナコさん、ミカコさん、エリカさん、アヤメさん、レイナさん、チサトさん、ミヤビさん、マリアさん、メイさん、アイさん、リナさん、サチさん、ナナさん、リサさん、エミさん、アユミさん、アスカさん、サツキさん、アンナさん、ハヅキさん、マナミさん、リオさん、チカさん、シホさん、サオリさん、ミユキさん、アサミさん、ユウカさん、レイカさん、ミアコさん、ヨシエさん、ヒトミさん、マヤさん、ルナさん、エイミさん、アイカさん、カスミさん、アカリさん、モモコさん、シオリさん、ヒナコさん、ミサコさん、ノゾミさん、ミクさん、ユカさん、シオンさん、ツバサさん、リナさん、ルミさん、ミナさん、ミヅキさん、ヒカリさん、マモリさん、アイリさん、クラシさん、エンさん、ユキさん、ヨーコさん、ノリヨさん、ジュンさんを募集しています。自薦、他薦、構いません。お名前、ご年齢、性別、お住まい、ご職業、応募の動機を明記の上、こちらまでお問い合わせください。