どんどん寒くなっているのに、肩出しニットを着ているお姉さんがコンビニにいました。肩を出してるのにお姉さんは、アイスコーヒーとアイスキャンディーを買ってました。さらに肩を出しているのにお姉さんは、コンビニの外で早速アイスコーヒーとアイスキャンディーを楽しんでいました。あの肩出しニットってヤツは、どうしてあの位置で止まっているんでしょう。

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

フアン・クリオーヨ(ふあん くりおーよ)さん 28歳:音楽プロモーター

フアンさん、よろしくお願いします。

はい。フアンです。

えっと、フアン・クリ…クリオロ…

クリオーヨと発音します。Juan Criolloです。

フアンさんは、現在おいくつですか?

28歳です。

ご出身は?

コロンビアです。でも現在はスペインのバルセロナに住んでいます。

YOUは何しに日本へ?

休暇ができたので、遊びに来ました。

日本は初めてですか?

いえ、違います。昨年も来ています。そのときは仕事だったんですけど。

フアンさんは、どんなお仕事をされているんですか?

音楽プロモーターです。昨年は、〈MUTEK〉という音楽イベントのために来日したんです。

ああ! 電子音楽とデジタルアートの祭典ですね!! 

はい(笑)。私は、〈MUTEK Barcelona〉や〈MUTEK Mexico City〉に出演したアーティストたちと繋がりがありました。それもあって、〈MUTEK Japan〉に参加したんです。東京で開催される〈MUTEK〉は、さぞかしクレイジーだろうと期待していたんですが、予想以上でしたね。実際、イベントは最高でしたし、日本という国、そして日本の文化が大好きになりました。だから絶対にまた日本へ戻ろうと考えていました。今年の〈MUTEK Japan〉には参加できませんでしたが、バカンスで来れたので問題ありませんね。日本には、まだ行ったことのない街もたくさんあるので、今回はいろんな場所を訪ねたいです。

ずっと音楽プロモーターをやられているんですか?

5年前にプロモーターに転身しました。それまでは、コロンビアの広告代理店に勤めていたんですけど、音楽に携わる仕事をしたくなったので、バルセロナに移住し、そこで友人と音楽プロモーションの会社を立ち上げました。とはいっても、知らない土地でいきなり新しい事業が成功するわけもありませんから、当初はコミュニケーション・エージェンシーでも働いていました。

コミュニケーション・エージェンシーってなんですか?

商品の魅力などを消費者に的確に伝える方法をプロデュースする広告会社です。

それにしてもフアンさん、すげえ好青年ですね! 爽やか。クール。

ありがとうございます(笑)。

モテるでしょ?

いえいえ、そんなことありません(笑)。

フアンさんは、これまでどんなアーティストとお仕事されてきたんですか?

最近は、イギリスのゴールド・パンダと仕事をしました。あとは、カナダのカリブーとイギリスのフォー・テットのサマーパーティーを企画したり、バンドですと、米国のDIRTY FENCES、オーストラリアのKING GIZZARD & THE LIZARD WIZARDあたりですね。彼らがヨーロッパツアーをするときに、プロモートするんです。

具体的な業務内容を教えてください。

OK、ハイ! 基本的にはアーティストのマネージャーとやり取りするのが仕事です。アーティストにはマネージャーがいまして、彼らは、ツアーのスケジュールを調整しています。そこで私たちプロモーターが、マネージャーにコンタクトするわけです。「バルセロナの会場をおさえるので、これくらいの金額で演奏してもらえますか?」と。

フムフム。

交渉がうまくいったら、次にバンドが使用する機材の手配や、それらをセッティングするテックのスタッフたちを確保します。また、イベントのプロモーションも大事なので、デザイナーにフライヤーを作成してもらったり、ラジオ局やVICEのようなウェブメディアに告知をお願いしたりします。

フムフムー。

また、アーティストに気分良くプレイしてもらうために、良いホテルを手配したり、楽屋にビールを用意したり。とにかく気を遣わなければなりません。これらの仕事をうまくこなせば、私たちプロモーターの懐が潤う仕組みです。

フアンさん、本当に丁寧にお話してくれますね。とてもわかりやすいです。

ありがとうございます(笑)。

これまで無茶いわれてムカついたミュージシャンもいましたか?

毎回、大変な思いをさせられていますよ(笑)。特に、大物アーティストとの仕事は大変です。「黄色以外のタオルは使わない」とか「この銘柄のウィスキーじゃなきゃダメだ」とか。また、ベジタリアンやヴィーガンのアーティストもいるので、彼らが口にできる食事を探し回らなければなりません。突拍子もないリクエストをされますが、大抵は許容範囲です(笑)。大麻を用意する場合も多々あります。

「ギャルを用意しろ!」とかは?

あー、たまにそんなこともありますね(笑)。「バックステージに女の子を用意してくれ」と頼まれまして、クラブでナンパさせられました(笑)。「俺はナンパなんかしねえから、テメエがかわりにやってこい」と(笑)。

でもフアンさんなら余裕でゲットでしょ?

いえいえ(笑)。

現在お住いのバルセロナは大変な事態になっていますよね。

はい。カタルーニャ自治州の独立問題ですね。バルセロナは、カタルーニャの州都でして、スペインの中央政府とカタルーニャ自治州政府が対立しているのですが、私や友人のような右派でも左派でもない住民にとっては、本当にシット(Shit)な状況です。

フアン様がそんなお下品な言葉使うなんて…。

テレビやネットのニュースでも、この出来事ばかり取り上げられているので、本当に辟易しています。できれば、この事態が表面化する前の暮らしに戻りたいです。市内の至るところで、独立賛成派も反対派もデモをしています。もう勘弁してほしいですね。

プチデモン前州首相も国外に逃亡しているんですよね? 

そうですね。プチデモン氏はEUとの対話を求めてベルギーに行き、スペインにはまだ帰国していません。スペインの中央政府は、カタルーニャ州の自治権停止に踏み切り、自治政府の元指導者たちを逮捕しています。プチデモン氏がベルギーに滞在する理由は、この問題を解決するためかもしれませんが、単に逮捕から逃れるためとも受け取れます。スペインの中央政府は、ベルギーに対して、プチデモン氏をスペインに移送するよう求めていますが、ベルギーはその判断を先送りにしています。私も、逮捕は少しやり過ぎかな、と思います。前州首相は中央政府とは異なる考えを持っているだけで、逮捕するほどではない…。クレイジーですよね。

この問題によって、お仕事に影響はありましたか?

少なからずあります。例えば、マドリードのミュージシャンに、バルセロナ公演を依頼しても、こんな状況なので断られてしまうんです。ニュースや新聞でも大きく取り上げられますから、バルセロナ市内は内戦状態なのでは、と心配する方々もいます。しかし、実際に戦闘は起きていません。

早く静かな暮らしを取り戻せるといいですね。 

そうですね。本当にもうウンザリです。

バルセロナ以前はコロンビアのどちらにいたのですか?

ずっとボゴタに住んでいました。コロンビアの首都です。

それほどコロンビアについては詳しくないのですが、どうしてもメデジンが頭に浮かんでしまいます。デンジャラスな街なんですよね?

メデジンは、コロンビアで第2の都市です。確かに80〜90年代には、パブロ・エスコバルのカルテルなど、犯罪組織が街を牛耳っていましたが、現在、これらの問題は解決されました。それほど危険ではありませんよ。

ではボゴタはどんな街でしょう?

そうですね、みなさんは、ヤシの木や、ビキニ美女を想像するでしょうが、実はそうではありません。ボゴタはそんなに暖かくないのです。ジャケットを羽織らなければ寒いですし、雨もたくさん降ります。国の真ん中に位置しており、アンデス山脈の高地にある街なので、ビーチなんてものもありません。

ボゴタはノーサマーなんですか?

はい、ノーサマーです(笑)。ただ、海に面した地域は、年中ずっと暖かいですよ。コロンビアには日本のような四季がありません。どこも1年中、同じ気候が続きます。コロンビア人はとてもフレンドリーで、ダンスが大好きですよ。ラテン音楽のリズムにあわせて踊るようなハッピーなひとたちばかりです。

そんなボゴタで、子供の頃はどんなことをして遊んでました? 

サッカー漬けの毎日でした。サッカーボールを持って、友だちと公園に行き、ずっとサッカーをしていましたね。コロンビア人はサッカーが大好きですが、日本人はベースボールが好きなんですよね?

ジジイは野球ですが、今の子たちはサッカーが多いはずです。

本当ですか(笑)? あなたはベースボール派ですか?

正解です。やっぱ私がジジイだからわかった?

いえ、すいません(笑)。そういう意味ではありません!

ちなみにコロンビアは、今度のW杯に出るんでしたっけ?

オフコースですよ(笑)。ハメス・ロドリゲスが代表チームのエースです。Yeah!

じゃあ、コロンビアの子供たちは、みんなサッカーしていると?

全員というのはいい過ぎですが、10人いれば7人はサッカーをしていますね。

残りの3人は?

バスケやバレーボールじゃないですかね(笑)。でも、サッカーが間違いなく1番人気です。

でも、運動の苦手な子もいるじゃないですか。ナードっ子はなにをしているのでしょうか?

アニメを観たり、ゲームですね。私も屋内ではゲームをしていましたよ。プレイステーションやスーパーファミコンを持っていたので、〈マリオカート〉や〈ストリートファイター〉をやっていましたよ。

日本と変わりませんね。ちなみに、ご両親はどんなお仕事をされていたんですか?

教育支援NGOです。コロンビア国内の貧しい子供たちの教育支援をしています。企業から支援していただいたお金をマネジメントして、子供たちに教育の機会を提供する活動ですね。