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OKINAWA 2015 - INTRODUCTION

日本最南端の沖縄が抱える様々な難題も、日本が解決できない社会的課題の一つだ。琉球王国に始まる複雑な歴史、沖縄の地理的条件がゆえに世界情勢の中で要求される役割の重大さは云うまでもない。しかし、太平洋戦争末期に沖縄で繰り広げられた最大規模の日米対戦が、ここまで日本に深い翳を落とすことになろうと誰が想像しただろう。

玉音放送から70年。太平洋戦争後、奇跡的な復興を果たし、高度経済成長により未曾有の栄華を謳歌した日本。経済指標を繁栄の目安に経済的努力を突き詰めた結果、世界有数の経済大国に昇りつめたが、指標に顕れない数多の社会的課題は未だ解決されぬまま放置されている。

日本最南端の沖縄が抱える様々な難題も、日本が解決できない社会的課題の一つだ。琉球王国に始まる複雑な歴史、沖縄の地理的条件がゆえに世界情勢の中で要求される役割の重大さは云うまでもない。しかし、太平洋戦争末期に沖縄で繰り広げられた最大規模の日米対戦が、ここまで日本に深い翳を落とすことになろうと誰が想像しただろう。

戦後70年を経たとは云え、翳が色濃く残っている以上、沖縄が見舞われた惨禍は、未だ歴史には出来ない。沖縄戦経験者が存命であり、中には、当時の記憶に苛まれ続ける経験者もいる。斯様な記憶を無下にして、誰が一体、公正な歴史を記せるのか。沖縄が抱える問題を解決せずに、誰が一体、無辜の住民を巻き込んだ沖縄戦を歴史の文脈に正しく据えることができるのか。

戦争を知らぬ世代が、経験者の想いを尊重し、日本が置かれた世界情勢を見据え、未来に禍根を残さぬよう、沖縄戦を歴史にしなければならない。それは決して、沖縄戦体験者の悲劇を共有することでも、感情的に肩代わりすることでもない。怨みつらみの連鎖が人間社会にもたらす悪影響は、猿の類でなければわかるはずだ。とはいえ、素知らぬ面で真実を蔑ろにするような振る舞いも許されない。沖縄の過去が未来を切り拓く歴史になるよう、私たち、戦争を知らぬ世代の日本人は、いかにして来るべき世界秩序創造に参加すべきなのか…

2015年8月15日、沖縄戦がいつの日か、真当な歴史として記されることを願い公開する、戦争の記憶を記録したテキスト・動画・写真によるシリーズ『OKINAWA 2015』。

ぜひご覧ください。