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ケツ叩機の歴史

「頑丈で素敵なケツの持ち主を探しています」。2007年、カリフォルニア州サンクレメントのマイク・スタンプは、募集広告サイトに、そう投稿した。彼が開発した新型マシーンのモニターを探していたのだ。密かに広がるケツ蹴りシーンと、ケツ叩機の進化には目を見張るモノがある。

「頑丈で素敵なケツの持ち主を探しています」

2007年、カリフォルニア州サンクレメントのマイク・スタンプ(Mike Stamp)は、募集広告サイト〈クレッグズリスト〉に、そう投稿した。彼が開発した新型マシーンのモニターを探していたのだ。

「観覧車のように回転するマシーンです。さまざまなブランドの靴による蹴撃をケツで受けとめてください。それがあなたの役目です」

〈ケツ蹴りマシーン〉であった。

Craigslist

巡り巡って私は、スタンプの手による、この脳みそを壊さんばかりに創意溢れるマシーンの素晴らしい技巧に出会った。そのきっかけは、米国史上最高であろう、とある特許の発見からだった。〈ケツ叩機(ケツたたき、ケツ蹴りマシーンのこと)〉の特許だ。このケツ叩機だが、実は過去1世紀とちょっとのあいだ、数台ものマシーンが特許を取得している。〈ケツ叩機〉には、とても豊かな伝統があるのだ。

私のケツ蹴りマシーン探求の旅は、まず2004年の『手動オペレーション型ケツ叩機』から始まった。J. リース・レヴィット(J. Reese Leavitt)という人物による特許だ。レヴィットは、このマシーンについて、以下のように説明している。

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「ケツ蹴られマンは、臀部が穴の中心に位置するように座り、シートベルトで所定の位置に固定される。穴の下には、蹴り上げ用ブーツが備え付けられている。ケツ蹴られマン、もしくは執行人がレバーを引くと、ブーツがベンチの穴から飛び出し、ユーザーの臀部を蹴るようになっている」

特許によると、マシーンを最大パワーにした場合、穴から飛び出したブーツは、約10センチもケツを突き刺すそうだ。

しかし先にも述べた通り、ケツ蹴りマシーンを最初に発明した米国人は、レヴィットではなかった。

最も初期のケツ蹴りマシーン特許は、エドモンド(Edmund)とユリシス(Ulysses)のデ・ムーリン(De Moulin)兄弟が1900年に取得した『発動型ケツ叩機』のようだ。デ・ムーリン兄弟は、からくり機器を発明し、生計を立てていた。無辜の市民に水流を噴射する『発動型自動冷水器』もそのひとつである。

彼らのケツ叩機は、筋トレ用ウェイトリフティング・マシーンかのようにデザインされているため、レヴィットのケツ叩機よりも、ずいぶん複雑な構造をしている。ケツ蹴られマンは、デッドリフトしようとしてケツを突き出すと、まんまとケツを蹴られる。今よりも単純な時代だった。

更に1908年、ユリシス・デ・ムーリンは、兄弟で共に製作した『発動型ケツ叩機』の進化型マシーンの特許を申請した。それは多目的な『複合型ケツ叩きリフティングマシーン』であった。それはもう、金持ちの娯楽の域を優に超えたマシーンであった。

しかし同年、デ・ムーリン兄弟は、ピッツバーグのアイザック・マモックス(Isaac Mamaux)という発明家に出し抜かれてしまう。マモックスは、1893年に『U字釘固定器』を発明。そして1896年には、『聖水スプリンクラー』を共同発明した。そんな彼も1900年代初期には、デ・ムーリン兄弟による『発動型ケツ叩機』の改良に打ち込んだのだ。

マモックスの装置もやはり『筋トレマシーンそっくり型』であったが、更に騙しやすいようにつくられていた。デ・ムーリン兄弟の装置は、あからさまにわかってしまう大きなヘラが後方に付いていたが、マモックスのケツ蹴りヘラは、内蔵されていて目立たない。更に、ケツ蹴られマンの顔には水が噴射され、タマ金を痛打される仕組みになっていた。やはり単純な時代だったのだ。

マモックスとデ・ムーリン兄弟の複雑なアイデアに比べ、近年のケツ蹴りマシーンは…まあ、大雑把になった。レヴィットの発明は、イタズラのため、というより、ただ自分で自分のケツを蹴って喜ぶ連中のためだ。

昨今の機能が低下したケツ蹴りマシーンの例をもうひとつ挙げよう。ジョー・W・アームストロング(Joe W. Armstrong)という人物が、2000年に特許を取得した『セルフコントロール型アミューズメント・ケツ叩機』だ。このマシーンは、自ら手動でクランクを稼働させると、ケツ蹴られマンの背後に設置されたブーツの車輪が連続でケツを強打する仕組みだ。

世の中には、このようなマシーンを欲するスキモノがいる。

米国特許商標庁 / Joe W. Armstrong

米国特許商標庁には、他にも少しだけケツ叩機と、ケツ関連の珍発明がある。しかし、少しだけ、というのも過去の話だ。ちょっとYouTube検索すれば、それは明らかになる。ケツ蹴りシーンは広がり続けており、シーンの未来を楽しみにして、革新を熱望する人たちはどんどん増えているのだ。

なんで?

ケツって面白いからだ。