シアワセになれないと思ってない?ローラのトランスジェンダー相談室 Pt.1:性を変えようとしている親たちに (1)

正直最初にこの企画の話を聞いた時「IKKOの部屋」みたいなのを想像していたんです。バーカウンターで「どんだけ~」ってノリで。しかし、この真摯で的確なアドバイスと、これまで彼女がどれだけ大きな物を背負って生きてきたのか、また、投稿者のみなさんもどれだけ重大な問題を抱えているのか。それが強く分かり、VICE Japanでもきちんとこの新シリーズを取り上げていきたいと思ったのです。

フロリダ出身の人気パンク・バンド、AGAINST ME!。メイン・ヴォーカルのトム・ゲーブルがトランスジェンダーを告白、ローラ・ジェイン・グレイスという名前で女性として生きて行くと発表してから三年が経ちました。その間には様々な意見、中には誹謗中傷もありましたが、それを上回る称賛、激励、そして大きなリスペクトが彼女のもとに届きました。現在ローラはAGAINST ME!での活動はもちろんの事、ソロとしてアコースティック・ショーも開催しています。またアメリカのLBGTマガジンTHE ADVOCATEが選ぶ「2014年最も影響を与えた人物40人」にも選ばれ、更にAOLでは彼女のドキュメント・シリーズ「True Trans」もスタートしています。

そんな彼女のもとにはSNSを通じて、かなり多くの質問や相談が毎日のように送られて来ているとのこと。そこでNoiseyではみなさんからローラへのお悩み相談室を設けました。彼女の経験をもとに本当に真摯にアドバイスをしてくれます。

人生、恋愛、音楽などなど、お悩みがありましたらメールはこちらへまで送ってください。すべての質問に秘密を厳守します。もちろん匿名でも結構です。

 

 

27歳のトランスです。私には8歳の娘がいるのですが、性の移行をしようと思っていることを彼女に伝えるのが怖くてしかたありません。娘が父親を失ってしまうというのが一番の理由です。私と娘の間には強い絆があり、私はそれを失いたくないのです。娘の母親と私はもう別れていて、彼女は私のことを避けています。どうやって娘に伝えればいいのか、アドバイスをいただけないでしょうか?あなたは同じような経験をなされたのですよね。

何よりもまず、あなたの恐れは、自分が彼女の“父”であるという観念から来ていますね。呼び名なんて何でもいいんです。あなたと娘さんがDNAで繋がっていることは、否定することも変えることも出来ないのですから。娘さんは永遠にあなたのものなのです。

娘さんの母親と別れたということ、私にはすごく共感出来ます。私が移行を始めてから1年ちょっと経った時に、私は娘の母親と別れました。自分が行っている変革のせいで、娘と疎遠になり、将来は娘と不仲になってしまうのではと、別れる前から既に私は恐れていましたし、別れてからも、その恐れが消える事はありませんでした。特に娘の母親が別の男と付き合うようになってからは、伝統的なコンセプトに基づく父親というものから自分がどんどん離れていっているように感じ、娘の人生において、自分の役割は他の男に乗っ取られるのではないかと思ったのです。そんなの酷過ぎます。

でも、あなたがいくらかでも私と同じなら、移行するかどうかの選択肢は無いはずです。ありのままの自分自身を受け入れて、その変革が導くところに従うことにあなたの幸せがあると思うなら、そうするしかないでしょう。その結果どうなるかなんて分かりません。

私の友人であるシンガーソングライターのコーリー・ブラナンの曲に「望むものを得られた時に、自分がいったい何を後悔するか、見てみるといいよ」というのがあります。

最初の2年くらいは最悪かもしれません。私は出かける時に、出来る限り気分を高揚させ、楽しいことに気持ちを集中し、ポジティブな人たちに囲まれるようにしたいと思っています。私が抱く幸せが、親であることにまつわるハードルを乗りこえるための強さになるように、そして私が心から娘を愛していて、彼女の人生の一部であり続けるために私は戦うということを、娘がちゃんと分かってくれるよう努力するためにです。

親はみんな間違いを冒します。あなたも失敗するでしょう。私も失敗します。何があろうと、娘さんに無条件の愛を与え続けてください。娘さんがきっとあなたにもそれを返してくれると私は信じています。

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私のパートナーはジェンダークィアですが、そのうち完全に移行してしまうのではないかと私は思っています。私としてはそれでもうまくやっていきたいのですが、私はレズビアンなので、そうなると魅力を感じてもらえなくなるのではと不安を感じています。そのことについては前から話し合っていて、将来がハッキリしなくても、私のことはずっと愛するしサポートするからと言ってくれています。そして私も、恐れを抱きながらも、同じ人間なんだから、外側が変わっても自分も愛し続けるだろうとは思うのですが、肉体的な魅力を失うのが心配なんです。恋愛において、それが全てではありませんが、大事なことですから。

あなたはちょっと考え過ぎですね。あなたのパートナーがもし移行すると決めたとしても、今の自分からこういう自分になるんだという、揺るぎの無い、完全なる計画を立てていることはあり得ないでしょう。あなた自身も言っている通り、あなたのパートナーは、そもそも本当に移行するかどうかも決めていないんですから。

もし移行すると決めたら、あなたを失うことになるんだ、とパートナーが感じるような状況を作らないよう気をつけてください。

移行すると決めたら、その人はもちろんそうするでしょう。でも、そのせいでどんな影響があるのか、予測することは不可能なのです。

あなたはその人の何に惹かれているんですか?唇?その味は変わりませんよ。鎖骨?あなたはこれからも同じように、その人の肩に寄りかかれます。

私はあなたたち二人を直接知りませんから、あなたたちがどんな関係なのか、わかりません。最近私は友達と、リスト作りについて会話をしたところです。なぜそれが欲しいのか?その理由をリストにするのです。あなたのリストに出るのがセックスだけだとしたら、それはたしかに大きな変更を強いられることになるかもしれませんね。セックスのやり方が変わるかもしれませんから。下の手術をすることになったら絶対に変わります。でもセックスは、どんなカップルにとっても、長い時間が経つにつれて変わっていくものです。最初は情熱的かつ過激。やがて最高のポジションを見つけたものの、そのうちそれもただ機能的なものになっていく。努力を続けていれば、BDSMや儀式のようなサタニック・セックスなど、燃え上がらせてくれる方法を発見して、再び夢中になったりするかもしれませんが、それだっていつかは飽きてしまいます。

長期にわたる関係を望んでいるのなら、逆のシチュエーションを考えてみてください。何かが起こって、あなたにとって性を象徴するものが変わるのであれば?例えば乳ガンで乳房を失うとか、事故で顔が変形してしまうとか。人生は1日で変わってしまうものなのですよ。

もしあなたがまだ若くて、真剣な関係を求めていないのであれば心配は無用です。いずれにしてもあなたは別れることになるでしょう。普通の恋愛においても、もうお互いに魅力を感じないというのが、別れる原因の大半なのですから。

とにかく今は相手との関係を楽しんでください。楽しくなくなって、別れようというまで、そうすればいいんです。

結婚並みの真剣な関係で、どんな人生の波があってもお互いを支え続けると決めていたとしても同じです。もうこの人と一緒にいても楽しくない、自分が与えられるものは全部与えてしまった、という決定的な瞬間が来るまでは、その人との時間を楽しめばいい。そこまでがあなたの愛の価値なんです。そういう考え方って、暗過ぎますか?