ヤギになろうとした男のはなし

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ヤギになろうとした男のはなし

ヤギへの関心、未来の人間の繁殖方法についての興味が高じて、トーマス・トゥウェイツ(Thomas Thwaites)は、ヤギの群れと数日間をともにした。ストレスのないヤギの生活は、人間にとってもストレスがないのだろうか。人間がヤギになると何のメリットがあるのだろうか。ヤギ男に話を聞く。

2015年11月、トーマス・トゥウェイツ(Thomas Thwaites)はヤギについて調べていた。

「最初の1kmくらいはヤギの群れに付いていけたが、その後、彼らは岩場の斜面を下ったので、僕は取り残されてひとりぼっちになった。だから、ヤギの群れを追うのにその日の残りを費やす羽目になったんだ。その日は、なんとか群れに合流することができた。柔らかい牧草地の上は、本当に気分が良かったけれど、山を下るのは怖かった。なぜなら、両手の自由が利かなかったから、万がいち足を滑らしたら、岩場に打ち付けられるのは目に見えていたんだ」とトゥウェイツはSkypeでの取材で答えた。

トゥウェイツは英国イングランドを拠点に活動するコンセプチュアル・デザイナーであり、テクノロジー、サイエンス、未来についてのリサーチに関心を抱いている。彼の過去のプロジェクトには、未来の遺伝子工学についての省察神を「ニーボ(Nebo)」というサービスに見立てた仮説などがある。彼の最新プロジェクトでは、将来的に人類がどのように増殖するのかを検討している。

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私とのメールのやり取りの中で、「人間以外の動物になる? なんて平穏で単純な発想なんだ!」と彼は記した。どうやら彼は、心配事やフラストレーションなど、日常における「経験的な恐怖」に影響を受けない人間以外の動物の暮らしの体験、しかもそれを、こんにち実在するテクノロジーを用いて忠実に再現したかったようである。「生物医学研究のチャリティー団体ウェルカム・トラスト(Wellcome Trust)が、この試みを後押ししてくれた。彼らは僕に些細な芸術賞も授与してくれたんだ」

2016年Princeton Architectural Pressから著書『ヤギ男:人間をやめた休日(Goatman: How I Took a Holiday from Being Human)』を出版した。