ソヴィエトの軛から脱せないジョージア(旧グルジア)の廃墟生活

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ソヴィエトの軛から脱せないジョージア(旧グルジア)の廃墟生活

ソヴィエト連邦崩壊から25年たった今でも、ジョージア国民の大勢が資本主義になじめないでいる。写真家のジェイコブ・ボーデンは、ジョージアの衰退と退廃をドキュメントした。​

廃墟と化したソヴィエト軍病院の5階から外を眺める男. この廃病院は, 現在, 400人の住民と彼らの子供80人のシェルターとして機能している.

ソヴィエト連邦崩壊から25年たった今でも、ジョージア国民の大勢が資本主義になじめないでいる。ジョージアの首都トビリシの外れに建つ打ち捨てられたソヴィエト軍病院には、仕事もなく、住宅賃貸もできない150家族が暮らしている。90年代前半のアブハジア戦争難民たちは、過去20年、7階建の廃病院をシェルターとして利用してきた。行政当局は廃病院に全く関心を示さないが、唯一、当局が関心を示すのは、住人たちが即席で工事した剥き出しのワイヤーとパイプを通して不正使用する、電気と水道を停止するタイミングだ。現代ジョージア社会は、街じゅうに散在するソヴィエト時代の建造物を意図的に、眼前で崩壊するままに放置し、過去を忘れようとしている。写真家のジェイコブ・ボーデンは、ジョージアの衰退と退廃をドキュメントした。

.二児の母、ラ・オチアンリ. 旦那がロシアで求職するあいだ、彼女は子供たちと3人で過ごす

コンクリートの部屋で眠るニコロス・ベリアシュリ(2). 母、父、姉妹と部屋を共有している

マリア・ダイキリ(45)は、空きスペースを、自身が子供たちと暮らすための部屋にするために準備している。1992-93年のアブハジア戦争で移住を余儀なくされて以来、この建物で生活している.

孤独な雑魚が身を隠す巻貝の殻.

住人の大勢は, ソヴィエト崩壊後の市場経済から疎外されている、と感じている. 年配の住人は, 今はなくなってしまった保障と安定について, 郷愁を混じりに語る.

部屋で鎖につながれたペットの犬. 住人は、床材と壁紙をあさり、コンクリート剥き出しだった床と壁を改装して住環境を整えた.

「私たちはここで生活しているんじゃない, 生き延びているんだ」とレイラ・クゥアチバイは嘆く.

生活保護は月額45~60ラリ(約2,000〜2,600円). 家賃支払いか、食費のために溜め込むかのどちらかしか使い途はない.

廃病院の4階から眺めるトビリシ