ご自身の鞄の中にじゃがりこを忍ばせ、1本ずつ抜き出しては食べてらっしゃる女性をふたりくらい見たことがあるのですが、今日は1枚ずつティッシュを引き出している男性を見ました。シュッってなっていたので、丸々ボックスごと忍ばせていたようです。ヒノキ花粉、今年は大変そうですね。
日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。
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ダイスケ(だいすけ)さん 21歳:大学生
ダイスケさん、めちゃくちゃ緊張されていますね?
はい。めちゃくちゃ緊張しています。まさか選ばれるとは思っていませんでした。
おそらく、これまでの方々のなかで緊張ランキング1位ですよ。チャンピオンですよ。
はい。本拠地に来たので、とても緊張しています。
ダイスケさん、なんか彼女ができたらしいですね?
あ、はい。そうなんです。去年の末からおつきあいさせていただいております。
それまで、おつきあいした経験はなかったんですか?
いえ、ありましたけど、その子が本当にめちゃくちゃ可愛いんです。
緊張しているのに、今日は彼女の自慢に来たのですか?
いえ、そんなことはありません(笑)でも本当に可愛くて、自分なんかと釣り合わないような子なんです。つきあうことが決まってからは、「もう遊ぶ必要はない」と考えるようになりました。
緊張しいなのに、これまで遊んでいたんですか?
いえ、まぁ、その(笑)。
どれくらい可愛いのか教えてください。芸能人でいうと、誰に似ていますか?
すいません、芸能人とかわからなくて。ただ、大学生なんですけど、モデルもやっています。
デカイんですか?
171とかあります。足は僕より長いです。
お目々とかクリッとしているんですか?
はい。クリッと。
騙されているんじゃないですか(笑)?
僕も最初はそう思いました。裏で誰かが糸を引いていて、僕のLINEが晒されているんじゃないかと。でも、そうではないようです。
それはそれで面白い話になりそうでしたが。ちなみに彼女とは、どこで知り合ったんですか?
僕は、エナジードリンクの会社でインターンをしているんですが、彼女もそこに入って来ました。「スゲエ女が入ってきた! こんなヤツなかなかいねぇ!」と思いました。
あら、口が悪いですね。緊張が解けてきたかな?
あ、すいません。
そしたらうまくいっちゃったと?
はい。とてもビックリしました。
ダイスケさんは、どちらに住んでいるんですか?
埼玉県の和光市です。
彼女は?
横浜です。
あら、ちょっと離れていますね。おふたりともご実家ですか?
はい。
じゃあ、エナジードリンクの使いどころはどちらで?
エナジードリンクは使っていませんが(笑)。僕の実家です。3階建なんですけど、僕と弟の部屋がそれぞれ2階にあって、リビングとかは上なので、誰も2階に来ないんです。鍵もかけて、音楽を流せば大丈夫です。
何を流しているんですか?
えっと、ラップです(笑)。
弟さんはキツそうですね! 「ああ、またラップタイムかー」って。
どうでしょう(笑)。
ダイスケさん、生まれも育ちもずっと和光ですか?
はい。
練馬区と板橋区の隣でしたっけ?
はい、そうですね。
やっぱり東京に近いから、埼玉のなかでも和光市民は、「俺たち、イケてる」みたいなのあるんですか?
めちゃくちゃあります。「東京に1番近えぞ、俺たち」みたいな。
アハハ!!
高校時代とか、「川越集合なんてバカっしょ。池袋っしょ」みたいな。
ちなみに、埼玉のなかで、「うちら、叶わねぇな」っていう市はあるんですか?
やはり、さいたま市ですね。めちゃくちゃデカイですから。あっちには区があるんですよ。東京の要素が入っているじゃないですか。区ですよ、区。
完全に緊張が解けましたね。
でもこっちには、メトロがあります。
メトロ(笑)!
有楽町線と副都心線です。東京メトロの始発駅です。東京メトロが通っている。これはもはや東京です。東京なんです。
それは違うと思いますけど(笑)。じゃあ、やっぱり駅前も栄えているんですか? 駅ビルもあるんですか?
いえ、すいません。ありません。交番とゲーセンとガストしかありません。
了解です! では、ダイスケ少年、小学校のときは、どんなことをして遊んでいましたか?
カードゲームばかりやっていました。〈デュエル・マスターズ〉とか。
ウチの子、今それやっていますよ!
アレ、めちゃくちゃ面白いですからね! 絶対に勝ちたい相手だったら、すぐに出したいカードを1番下にして、バレないようにシャッフルしていました!
イカサマじゃないですか?
でも相手もそうしていたので、〈イカサマ対イカサマ〉の勝負ですね。
その場合、どっちが勝つんですか?
すいません、忘れました。
運動とかは、やっていなかったんですか?
水泳と空手をやっていたんですが、楽しくなかったので途中でやめました。でも空手道場は、隣の成増にあったんですね。だからサボって成増を自転車探検していました。あれは、楽しかったですね。
カードと自転車探検。絵に描いたような男子小学生ですね。八重歯も可愛いし、当時は結構モテたんじゃないですか?
いえいえ、まったくです。カードゲームをやっていたんで。
カードゲームをやっていると、モテないんですか?
いえ、僕の問題です。女の子が苦手で、まったく関われませんでした。
カードゲームって、小学校何年くらいまでやるものなのですか? ウチの奥さんも気になっているんですけど。
僕は小6までやっていました。でも中学受験するヤツが出て来て、ひとり減り、ふたり減り、卒業の頃は少なくなりました。寂しかったです。
ダイスケ少年も、中学受験したんですか?
いえ、勉強嫌いだったので、普通に公立の中学です。
部活とか入りましたか?
最初はサッカー部に入ったんですけど、骨折したのでやめました。そのあとは、囲碁将棋部に入りました。
あ、やっぱゲームが好きだから?
いえ(笑)。まったく囲碁将棋のことはわからなかったんですけど、内申書の影響もあるんで、とりあえず所属していたんです。
ああ、ダイスケさん世代でも内申書って大事なんですね。
でも1〜2回しか行きませんでした。それでも部活をしていた形にはなったので、普通に卒アルにも写っています。
じゃあ、放課後はなにをしていたんですか? まだデュエル・マスターズですか?
いえ、さすがにもう卒業しました(笑)。親にパソコンを買ってもらったので、ネット生活に入りまして。
なにを見ていたんですか? やっぱ…
はい、そうです(笑)。エロサイトです。
カードから一気に飛躍しましたね!! ちなみに当時はまだADSLですか?
はい。ですから、寝る前にダウンロードを開始して、次の日学校に行って、帰って来たら、ちょうどいい感じになっているスケジュールを立てました。
時間の使い方がうまいですね! お気に入りの女優さんを教えてください。
僕、高校途中まで黒ギャルが好きだったんです。
アハハ!!
自分から絶対に喋れないような、最も遠い存在だった感じが好きだったんだと思います。泉麻那っていう女優さんにハマりました。
お友達と一緒に観たり?
一緒には観ていませんけど、動画をPSPに入れていたんですね。それがバレてしまって、みんなから「俺のにも入れてくれ」っていわれていました。
「ダイスケ、新作入ってる?」とか?
まぁ、そうですね(笑)。レパートリーは黒ギャルのみでしたが(笑)。
中学校に好きな子とかはいなかったんですか?
いませんでしたね。それに僕、イケていなかったので。泉麻那で大満足していました。
さて、高校時代に参りましょう。どちらの高校へ?
城北埼玉という男子校です。
あら! 超進学校じゃないですか。中学時代は、ちゃんと勉強をしていたんですか?
そうですね。中学に入ってからは、親にいわれて、やるようになりました。
泉麻那を観ていたクセに、やることはやっていたんですね。
いえ、そこはご褒美にしていました。ちゃんと頑張ってから、1日の最後に観るスケジュールを立てていました。
やっぱり、管理能力が高いですね!
それが毎日の楽しみでしたから。
泉麻那のおかげで、高校合格したようなものですね!
でも入ってからは落ちぶれました。
あら、どうしてですか?
やっぱり、勉強一筋タイプのヤツが多かったんですね。最初からついていけなくなり、同じようにあぶれちゃったヤツふたりと遊んでばかりいました。
へっぽこ3人組ですか?
はい。成績もケツからの3人でした。
へっぽこたちは、何をして遊んでいたんですか?
高校が川越だったんで、川越駅前でカラオケをしたり。
川越に集合してるじゃないですか。
ああ、すいません(笑)。
女の子も川越に集合していたんですか? 泉麻那から卒業しましたか?
はい、そうなんです! あれほど女の子と喋れなかったのに、普通に喋れるようになりまして。
なにかきっかけがあったのですか?
まずは、その友達の女の子と喋れるようになり、ちょっと慣れて来た頃に、文化祭があったんです。男子校なんで、女の子がたくさん来るんです。そこで、ナンパする/されるのが、当たり前のような文化祭だったんで、僕も挑戦したらうまくいっちゃったんです。そのときの子が、初めての彼女です。
では、泉麻那さんで学んだことをお2階で?
そうです(笑)。
鍵かけて、ラップかけて?
いえ、その頃はBUMP OF CHICKENとかだったと思います。
はい(笑)。で、冒頭発言にもありましたように、そこから遊びまくると?
まぁ、ちょっと(笑)。1年に1回は文化祭が必ずありますので、そこで、いかにLINEをゲットできるかに賭けていました。
緊張していた頃のダイスケさんが懐かしいですよ。でもそんなに遊んでいて、学校は大丈夫だったんですか? ちゃんと進級できたんですか?
はい、そこは大丈夫でした。僕の高校って課金制度みたいなのがあるんです。
なんですか、それ?
500円払うと、追試が受けられるんです。
先生との裏取引ですか?
いえ、ちゃんとした学校のシステムです。追試で受かれば、赤点は無くなりますし、追試で落ちたとしても、補習を受ければ大丈夫なんです。
合計でいくら払いましたか?
1万円は越えていたと思います。卒業ギリギリまで払っていました。
1回500円だから、3年間で20個の赤点かー。そんなへっぽこな状況のなか、卒業後のことは考えていたんですか?
大学進学は決めていましたが、もう手遅れで、このままでは受からないとわかっていたので、なるべく何も考えないようにしていました。
考えないで、高校3年間は謳歌したと?
そうですね。〈グランド・セフト・オート〉っていうゲームにもハマって、学校にも午後から行くようになったり。
まったく管理できなくなりましたね。では、そのまま浪人生活に一直線ですか?
はい。
そこからは遊ばなかったんですか?
はい。父親は現場監督をしているんですけど、「二浪はない。落ちたら俺のところで働け」といわれたので頑張ろうと。そこで、まずは生活スケジュールを立てました。
その作業、好きですね!
朝、起きられなくなっていたので、朝にコンビニのバイトを入れたんです。そのあと予備校に行って、夜も早く寝る。そんな生活パターンが案外うまくいって、有意義に時間を使えるようになったんです。
いいですね、やっぱダイスケさんはそうでなくっちゃ! それでどちらの大学に?
明治大学です。商学部に入りました。
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