近所の中華にて。テレビから桑田佳祐の声が聞こえてきたと思ったら、TKOの木下でした。そこで隣のご夫婦。「この人、結構上手いんだね」「サザンの新曲、聞いた?」「うん。アレいいねぇ」「そういえば、30年くらい前の夏もさぁ…」なんて、相当サザンの話で盛り上がっていたのですが、ここで「はい、もやしあんかけそば、うま煮そば、お待ち」が。早速おふたりともズルズル。もうちょっとサザンの淡い思い出、聞きたかったな。〈匂艶 THE NIGHT CLUB〉って、いいですよね!

日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。

宮澤(みやざわ)さん 30歳:会社員

宮澤さん、お誕生日おめでとうございます! 昨日だったんですよね?

そうなんです。ありがとうございます。

おいくつになられたんですか?

やっと30歳になれました。

あら、30歳になりたかったんですか?

いえ、なりたくはありませんでした(笑)。でも、27歳になったとき、「次は28歳だなぁ…」、28歳のときは、「次は29歳…」、そして29歳で、「いよいよ30に乗るのか…」なんて考えていたので、30歳になって、やっとゼロに戻れた気分です。次の山は35歳ですね(笑)。

宮本さん、30歳は大好物ですよね?

(カメラマン:宮本さん)はい。

ありがとうございます(笑)。

じゃあ、昨日はパーティーでしたか?

いえ、普通に会社へ(笑)。

宮澤さんは、どんなお仕事をされているんですか?

大学生向けウェブメディアの編集をしています。

お、同業じゃないですか! でもウチよりピチピチしてそうですね。

就職情報サイトが主たるサービスの会社なんですけど、私が扱うメディアは就活とは別軸です。大学生って、就活のタイミングで、会社見学をしたり、自己分析を始めるんです。でも、自分がやりたいこととか、好きなことって、就活前の自身の体験から判断するものだと思うんですね。なので、学生生活の体験を通じて、自分が好きなものや、心踊るものを、発見してみよう、というメディアなんです。

具体的に宮澤さんは、どんなお仕事をされているんですか?

基本的にはディレクションです。連載記事の企画と、取材のキャスティング、進行などを担当しております。あとはイベントの企画もやります。

どんなイベントを企画されているんですか? ひとつだけ教えてください!

そうですね。例えば…焼肉とか。

焼肉?

大学生を募って、様々な職種のかたがたと焼肉を食べる企画です。

超イイじゃないですか! 安安? 肉のハナマサ? 食い放題?

違います(笑)。普通の焼肉屋です。社会で活躍されている大人と一緒に焼肉を食べながら、いろいろ聞いちゃいなよっ、ていうイベントですね。学生さんには、そんな機会があまりないので、こういった場も設けております。結構本当にすごい大人が来るんですよ。

でもみなさん、ちゃんと大人の話を聞いてますか? 私だったら「こんなクソ親父の話なんて!」とか思っちゃいそうですが。

いえ、そんなことありません。みなさん、ちゃんと聞いていますよ。最近の学生さんたちは素直なんです。私とも違いまして(笑)。

はい(笑)。

「社会で活躍されている人たちはスゴイ」って、素直に感じているようですよ。

じゃあ、素直じゃなかった宮澤さんの30年を振り返っていただきましょう。

はい(笑)。よろしくお願いします。

ご出身はどちらですか?

愛知県の一宮市です。

お! ココイチの本社があるところじゃないですか!

そうです。よくご存知で(笑)。

高速道路から本社が見えますよね! やっぱりココイチは一宮市民の誇りなんですか?

そんなことはありません(笑)。ココイチの本社が一宮だということはあまり知られてないんですよ。

あら、一宮市民ったら。

あのう、ここですいません。〈一宮〉のイントネーションが違います。〈すしざんまい〉と同じイントネーションです。

すいません、〈すしざんまい〉がよくわかりません。

語尾が上がる〈宇都宮〉、〈西宮〉とはイントネーションが違うんです。

ああ、それは本当にすいませんでした。以後気をつけます。ただ、申し訳ありませんが、一宮って、本当にココイチしか知らないんです。どれくらい栄えている街なのですか? 名古屋が100だとしたら?

30くらいかな。本当は10かもしれないですけど、20は郷土愛を乗せておきました(笑)。

お優しい(笑)。

名鉄一宮駅と尾張一宮駅っていうのがあって、その周辺は栄えていますね。名鉄百貨店とか大きな商店街もありますし、人口も多いんです。一宮は名古屋のベッドタウンなんです。

あれ? 今、〈一宮〉の語尾、上がりましたよ。

ああ、ごめんなさい。以後、気をつけます(笑)。

小学校のときは何をしていましたか?

う〜ん…そうですね…。全然、覚えていない…よく寝ていましたね。

えー、初めてココイチに行ったときのこととか、教えてくださいよ。

むしろ、社会人になるまでココイチには行ったことなかったです(笑)。そうだな…恋バナばっかりしていたかなぁ。

友達同士で、好きな子をいい合ったりするヤツですか?

そうです(笑)。「絶対にバラすなよー」なんて。でも、私は口が軽いからバラしちゃったりして、「ぜっこー!!」とかですね。あとは、児童会の役員をやったりとか…。ごめんなさい、小学校時代は本当に覚えていないです。

わかりました。オッケーです。じゃあ、中学に参りましょう。

はい。この頃から、ある感情が芽生えてきました。

おおー、なんですか? 性意識?

いえ、早くこの狭い空間から抜け出したいと。

んん? それって一宮のことですか?

はい、そうですね。それに中学とか高校って、学校がすべてじゃないですか。狭い世界にいる自分が嫌でしたね。

あれ、さっき20増しの郷土愛を見せてくれたじゃないですか?

いや、正直いいますと、あんまり一宮は好きじゃなかったです(笑)。

なにか嫌な思い出があったんですか?

中1のとき、怖い先輩に目をつけられちゃって、シメられるっていう(笑)。

すいません、面白そう!

自転車登校だったので、ヘルメットを被らないといけなかったんです。でも、ヘルメットなんて、被らないじゃないですか。

危ないなぁ。

それで自転車登校していたら、怖い先輩が、「おい! ヘルメットを被らなきゃ、ダメだろ!」っていってきたんです。

怖い先輩は、ヘルメットを被っていたんですか?

いえ、被ってないです(笑)。でもそれから、目をつけられちゃって。

ヘルメット事件以外にもなにかあったんですか?

私には3歳上のお姉ちゃんがいるんですけど、中学の制服は、お姉ちゃんのお下がりを着ていたんです。でも、お姉ちゃんは私よりも身長が低かったんです。153センチくらい。

宮澤さんは?

168センチです。ですから、みんなと同じようにスカートを1、2回折ると、更に短くなっちゃうんですよ。それも突っ込まれましたね。先輩が近くにいるときは、お腹を凹ませて、制服をシュッと落としていました。

すげえテクですね!

そしたらある日、下校時間に先輩に呼び出されたんです。先輩と男子の5、6人に囲まれて、「なんとかいえよ!」って背後の壁を蹴飛ばされたり(笑)。

宮澤さんも、やんちゃだったから?

いえ、全然そんなことはなかったんですけどね(笑)。

部活とかには入っていなかったんですか?

柔道部に所属していました。

お! 先輩をブチのめすために!

いいえ(笑)。小学生のときも、少林寺拳法を習っていましたし、武道が好きだったんです。

お! 小学校時代の記憶、出てきたじゃないですか!

あ、はい(笑)。それで、柔道部を見学したら、顧問の男の先生がめちゃくちゃ格好良くて。あと、3年生の男子部員も格好良くて。

いいですねぇ。ちなみに宮澤さんは強かったんですか?

一宮市内の中学校って、女子柔道部が少なかったんです。ですから、大会に出ただけで、準優勝しました。試合には負けたんですけど(笑)。結局、それほど続かずに帰宅部みたいになりました。

格好いい先輩とは?

なにもなかったですね。先輩たちはガチだったので、私たちが「キャー!」って騒いでいるのを、鬱陶しいと思っていたんじゃないでしょうか。

他に好きな人はいなかったのですか?

中3で好きな人ができました。とにかく振る舞いが格好いいんです。ビーバーみたいな顔で。

ジャスティンのビーバー?

動物のビーバーです。

どんな振る舞いが格好よかったんですか?

誰かが物を投げたら、ビーバーはしっかりキャッチするんです(笑)。それも、とびきりクールに(笑)。

動物園のショーみたいですね。そのビーバーとはつきあったんですか?

いいえ。でも、毎日、メールをする仲でした。「宮澤って学校だと俺に冷たいよな」とかいわれて、「それは、めっちゃ好きやから…」なんて心で訴えていました。目を合わせたら話せない。それくらい格好よかったんです。

格好よさがよくわからないので、ビーバーを人で教えてください。

舘ひろしですね。

それは格好いい!!

もう本当にメロメロでした(笑)。中3の修学旅行は東京だったんですけど、新幹線のなかで王様ゲームをやったんです。私が王様になったんですけど、「○番は東京に着いたら、私になにか買うこと!」っていったんです。そしたら○番がビーバーだったんですね。

おおー、舘ひろしになにを買ってもらったんですか?

浅草寺に行ったんですけど、ビーバーから「なにか買うんだろ、いくぞ」なんていわれて(笑)。グループ行動だったのに輪から外れて、ふたりきりになって。でも、あまり金銭的負担をかけたくなかったので、仲見世でお団子を買ってもらいました(笑)。

舘ひろしに団子を買ってもらえるなんて、ねぇ。

忘れられない思い出ですね。

その後、舘ひろしとは?

成人式のときに酔っ払って、ビーバーに電話をかけて「中3のとき好きだったよ」っていったら、「気持ち悪いわ」って(笑)。

舘ひろしに、「気持ち悪いわ」っていわれるのも最高ですね!

あと、車を整備に出したら、たまたま私の担当の整備士として、ビーバーが登場したんです。車のなかは散らかっているし、大好きな『タイタニック』のサントラは爆音で流れているし、ちょっと恥ずかしかったですね。

宮澤さん、タイタニックが好きなんですか?

私が小学生のときにタイタニックが上映されたんですけど、何度も観にいきましたね。好き過ぎて、小5くらいのとき、家族でタイタニックの仮装をして、シティマラソンに出たくらいです(笑)。お父さんとダンボールでタイタニック号をつくって、私は主人公のローズ役をやって、お父さんが煙突役でタイタニック号を担いで走ってくれました(笑)。

小学高時代の思い出、どんどん出てくるじゃないですか。

ですね、すいません(笑)。そのときに撮った写真を年賀状にしました。ダンボールのタイタニック号の1部も実家にまだ残っています(笑)。

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