ビーバップ時代はシャイだったそうですが、パンクスになってからはどうでしたか? 

うーん、まだシャイだったですね。それに男子校なので、あまり出会いもなかったんですよね。

ステキなお姉さまとの思い出とかは?

お姉さまはあります(笑)。黒の軽自動車で迎えに来てくれるんですよ。窓にはレースカーテンが付いています。

おおー(笑)。

髪はロングで…工藤静香みたいな。

完璧じゃないですか!!

そうですね(笑)。まぁ、そちらが僕の…まぁ…色々ありましたね(笑)。

はい、ありそうですね(笑)。

ちなみに高校って、卒業式のあと、教室で先生からの最後の言葉があるじゃないですか。

はい。

ウチの担任の最後の言葉は、「このなかで、女とやっとらんヤツはおるかー?  やっとらんヤツは、一刻も早くソープランドに行け!」でした。

最高ですね!!

「なにいうとるんや、この先生は…」って(笑)。でも、すごくいい先生でした。僕たちが迷惑かけすぎたので、ちょっと顔面神経痛になっていましたけど(笑)。

でも高校在学中から、美容師さんになろうと考えていたんですか? ヨースコー・カットを極めたいと?

いえ、まったく。卒業後は、中国電力の下請けで高圧鉄塔をつくっていたんです。山のなかで。おっさんたちが、野糞するような仕事場でしたね(笑)。

フフフ。

あとは山口県の上関に原発をつくりにいったり。そこがポイントでしたねぇ。

というのは?

祝島っていうのがあるんですけど、そこの漁師のおじいちゃん、おばあちゃんから、「出てけー!」って、石を投げられたんですよ。僕は漁師町育ちでしたし、おじいちゃん、おばあちゃんが好きでしたから、「なんでワシは、こんなことせにゃいけんのか」って、疑問に思ったんです。当時、政治とか利権問題とかは、まったくわからなかったんですけど、おじいちゃん、おばあちゃんがすごく怒っていたので、「これはきっと良くないことなのかも。なんか違う」って感じたんですね。それで直感的にその仕事を辞めました。

なるほど。

僕は〈ロック〉が好きなので、原爆投下から69年目の原爆慰霊祭に行ったんですけど、そのときに祝島も訪れて、おじいちゃんとおばあちゃんに挨拶をしに行きました。娘も一緒に。

はい。

「あのときにいた者です」って。でも、すごく温かく迎えてくれましたね。めちゃくちゃ美味しいもの食わしてくれました。大騒ぎしました(笑)。

でも、そこからどうして美容師の道を選んだのですか?

最初はトラックの運ちゃんも考えていたんです。でもトラックって、1台3000万円くらいするんですよ。そのときのバイク仲間が美容師をやっていたんで、「その仕事、どう?」って訊いたら、「面白いよ」「ハサミっていくら?」「3万円」「じゃあ、やってみようかな」って。単純です(笑)。

シンプルですね(笑)。それから美容の学校に通ったんですか?

はい。熊本にある専門学校の通信科です。2年間。

え! 美容師さんに通信科なんてあるんですか? 実技とかはどうするんですか?

通信で知識を身につけて、実技は、職業訓練校で学ぶんです。そして、職業訓練校が提携している美容室にインターンで入る。今は制度が変わったようですが、当時はそんな感じだったんです。

へぇー。その後、広島の美容室で働いていたんですか?

はい。3年間働いたんですけど、そのあと東京に来ました。

上京したきっかけを教えてください。

当時は、カリスマ美容師ブームだったんですね。で、その東京のカリスマが、広島にやってくるというイベントがあったんですけど、僕はそのチケットをゲットできなかったんです。どうしても見たかったんですけど、どこかの美容室がチケットを買い占めていたんです。「くそー、ワシもカリスマ見たいんじゃ!」って、めちゃくちゃ悔しかったですね。だから、こっちから東京に行ってやろうと決めました。勤めていた美容室のオーナーも笑いながら「わかった。行ってこい」って。ハサミを餞別にいただきましたね。

住田さんって、決断力がすごいですね! でも東京に行くあてはあったのですか?

いえ、なかったんですけど、広島出身で、西本昇司さんっていうカリスマ美容師さんが、青山で美容室をやっていたんです。かっこいい人なんですよ。嫌味なくギャルソンを着こなす男です。

はい(笑)。

そこを訪ねました。「ドンドンドン!」って。

「ドンドンドン!」で、入れたんですか?

さすがにすぐには入れませんでした。でもお金も稼がなくてはならなかったので、西本さんの返事がもらえるまでは、〈TAYA〉っていう美容室でも働いていたんです。そこでは、「あなた、できるね」って、すぐにスタイリストをやらせてもらったんですが、やっぱり西本さんの元で1からやりたかったので、西本さんにずっと駄々をこねていたんですね。そしたら「しようがねぇなぁ〜」って、1ヶ月後に入れてくれました。

既に確かな技術をお持ちだったんですね。

広島でみっちり鍛えられていたんです。僕はまだ切り方もよくわからないのに、オーナーのお姉ちゃんが、「みんなでケーキ食べてくるから、住田くん、やっといて」なんてノリの人で(笑)。1年目からスタイリストとしてデビューしていたんです。

青山のお店は、何年くらいお勤めになられたんですか?

これも3年くらいですね。そして結婚して、子供が生まれて、離婚して、今の生活スタイルに至ります。

そしてPTA会長さんになると。

はい(笑)。

男手ひとつで、お子さんを育てるのって、大変じゃなかったですか?

うーん、大変なこともありましたけど、楽しいことの方が多かったですね。ここの腕のタトゥーを見てください。〈目玉の木〉っていうんですけど。

はい。

これは、ちょうど娘が保育園のとき…お母さんがいなくなった時期なんですけど、青春18きっぷで、ふたりで広島に行ったときのものなんです。「お母さん、いつ帰ってくるかなぁ」なんていってたんですけど、娘にマジックを渡して、「お父さんの腕に落書きしていいよ」って、遊ばせたんですね。そのときのひとつがコレです。可愛い絵だったので、そのまま残して、自分で彫りました。楽しい時間でしたね。

ステキなお話ですね。

うん、青春って感じでした(笑)。ちなみにこの腕は子供シリーズになっています。去年、2人目が生まれたんですよ。酉年の松竹梅タトゥーですよ。

あら! おめでとうございます! 男の子ですか? 女の子ですか?

女の子です。

女の子ふたり。心配が増えますね。

うーん、どうでしょうね(笑)。でも姫は、さすがに高1になったんで…

あ、〈姫〉って、呼んでいるんですか?

あ、はい、姫です(笑)。姫とは喧嘩もしますし、どんなことに興味があるのかもわからない。あんまり口を聞いてくれないことも(笑)。

お父さん…。

でもホント、羨ましいですよ。

姫が羨ましい?

はい。だって、僕の中学、高校時代なんて、広島の港町でビーバップでしょ。でも姫は東京のど真ん中。東京で青春を謳歌してくれ! と、常々いっております。

姫が男の子とか連れて来たらどうします?

超ウェルカムですよ。楽しみでしようがないですよ。

姫がパンクスを連れて来たらどうです?

もちろん構いません(笑)。というか、僕もバンクバンドをやっているんですよ。結成4年目にして、まだ2回しかライブをやったことないんですけど。

なんて、バンド名ですか?

〈THE PIKA〉です。ピカドンのピカですね。メンバーも全員広島で、歌詞も原爆についてのものです。僕のおばあちゃんは、原爆で死んでいるので、僕は被曝2世なんですね。政治は難しいし、生意気なことかもしれませんけど、僕にだって発言権はありますから、「このバンドでいってやるー!!」の思いで、活動しています。

お父さんがパンクスなら、パンクスの彼氏も安心でしょうね!

でもカールおじさんみたいな子もいいなぁ。

え? カールおじさんみたいな子って?

「今日もいい天気だなぁ、この人参美味しいよー」みたいな。

畑仕事している若者ですか(笑)。

そんな感じでしょうか、ほのぼのとした(笑)。でも、人殺しとか薬物さえやっていなければどんな男でもいいですよ。…そういえば、最近、河島英五をよく聴くようになりました。染みるんですねぇ。河島英五、聴かれています?

いえ、まだです。

とてもいいですよ。「お前が20歳になったら〜 ぶっかき氷に焼酎入れて〜」本当に染みます、染みますよ〜。

はい、今度焼酎のお供にさせていただきます! ちなみに、下のお子さんが学校に入ったら、またPTA会長をやられますか?

うーん、どうでしょうねぇ。PTA会長って、髪の毛とか派手に染められないんですよ。そこがちょっとねぇ。

アハハ!! ビーバップ時代と変わっていませんね!!

そのルールというか、概念というか、そのあたりを変えたいですねぇ(笑)。

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