マドンナはかく語りき 新作 ニューヨーク 女性差別 育児 マイリー・サイラス (1)

マドンナみたいな超スター、同世代の日本人アーティストなら誰なんだろうなぁー、とググってみました。中島みゆき、松任谷由実、矢野顕子……ああ、誰もこの人たちのランジェリー姿なんか見たくないですものねぇ。アッコ和田とかが近いのかなぁ、ご意見番だし。あ、八代亜紀さんはどうですか!?巨乳だし!!…まー兎にも角にも、ぴったりハマるアーティストなんてここ日本には、いや、全世界見渡しても存在するわけないのです。現役バリバリどころか、更に猛進している大マドンナ。新作『レベル・ハート』で、今更ながらに「ビッチ、アイム・マドンナ」と宣言した彼女の帝国は、まだまだ広がり続けるのでした。

『レベル・ハート』はマドンナの13作目のスタジオアルバム。彼女はテレビを中心に大規模なプロモーション活動を行なっていた。彼女はあらゆるメジャーな場で話し、グラミーでは宙吊りになり、ブリット・アワードでは尻もちをついている。1983年のヒット曲「エヴリバディ」から30余年。いつでもどこでも彼女はいた。ムーヴメントを作り、新聞に見出しを提供し、バチカンや非道なお堅い人たちを激怒させ、ゲイの人権、基本的人権のためにも戦った。最近のトピックと言えば、ドレイクが彼女に曲を捧げたり。

56歳にして女王となった。3億の売り上げを誇るレコードは女性アーティストとして史上最多。更に記録を更新するために招集された『レベル・ハート』のラインナップは、カニエ・ウェスト、ディプロ、ナズ、ニッキー・ミナージュ、アリシア・キーズ、トビー・ギャッド、チャンス・ザ・ラッパー、ブラッド・ダイアモンズ、DJダヒ、アヴィーチー、モゼラ、ナタリア・キルズ……、ああ、そしてマイク・タイソンも。今の音楽ファンはたくさんのコレクションよりも、様々なエッセンスが詰まったショッキングな一枚を求めている。『レベル・ハート』はまさしくそんな時代へのプレゼント。このラインナップがそれを物語っているでしょ。

彼女の椅子のそばにテキーラのボトルと2つのショットグラスがあった。彼女が閉口するような質問をした場合、私が飲まなければならない。でも良い質問をしたら、彼女が一杯飲むことになっていた。ただ今日はマドンナの調子がちょっと悪いため、ユーカリの木の香りがするキャンドルの部屋に再案内された。少し残念。彼女は白いレザーのソファから立ち上がる。染みひとつ無く清潔で、膝下に控えめにかかっているシルクのパメラローランドのドレスを着ている。完璧な位置すべてにスリットが入っており、胸元からは黒のレースのブラが「いない、いない、ばあ」をしている。彼女は素晴らしく美しい。

「可愛いオーバーオールね」。私はポップの女王に会うのに12歳のような格好をしていた。

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今作の参加者はシーンを代表するアーティストばかりです。楽曲もバラエティに富んでいます。でもこれだけたくさんの人がソングライティングに関わると、イメージの伝達とか、意思の疎通とか、難しい作業ではなかったのですか?

化学反応みたいなものなのよ。もちろん、心を開くのが早い人がやり易いけど、くつろいで進めることが出来たわ。それに今回は何人かの女性とも一緒にやったのね。特にモゼラはたくさんの曲を書いてくれた。彼女は本当に素晴らしい。すぐに仲良くなったわ。あとナタリア・キルズともね。ディプロは呑気で楽しい人、そうトビーもそんな感じ。そしてアヴィーチーのチーム。みんな彼らのことを私の「バイキング・チーム」って呼んでいたわ。おかしかった。とにかく一緒に書いてくれたアーティストに関して、心配はなかったわ。まぁ、みんな、とは言わないけど75%はとても良い感じ。

特にディプロと意気投合したと聞きました。

好みがすごく似ているの。例えば、彼はキース・ヘリングが大好き。私もでしょ。あと彼の子供はフランスのインターナショナル・スクールに通っているんだけど、うちもなの。音楽やファッションの話も合うし、ホント生き別れの弟じゃないかと思ったくらいよ。

ちなみにお子さんはどんな音楽を聞いているんですか?

え?ちょっと待ってね…えっと……そうね、息子は90年代のヒップホップとかね。私も知っているようなやつ。あとレゲエやパンクにもハマってるわ。一緒にデッド・ケネディーズを聞いたこともある。彼が特に新しいものを私に教えてくれるというわけではないわね。でも娘は違う。「誰それ?」って感じのものばかり。「新しいジャックÜの曲聞いた?オススメよ!」なんてね。あとアジーリア・バンクスも好きみたいだわ。

『レベル・ハート』に収録されている「ウェーニー・ウィーディー・ウィーキー」の中で「私は来た/見た/征服した」とあなたは言っています。これまでの活動は本当に粘り強く、野心的だったと思います。あなたを駆り立てるものは何だったのですか?

おそらくミッドウェストで成長したこと、そしてそんな田舎が私の場所ではないという気持ちでしょうね。私は母親を知らずに育ったから、フリーダ・カーロのような画家とかアン・セックストン、シルヴィア・プラスといった作家など、自立している女性にすごく憧れていたわ。型にはまらない人生を送っている女性ね。そんな行動が田舎では出来ないことが分かっていたから「ここを出て行くわ。アーティストになるから」って。それから私は母親無しで育ったということが大きい。母も含めて、私が大人になるまでにたくさんの人の死に目にあった。だから、命のはかなさ、時間の大切さを痛切していたの。早く行動しなくてはいけない、とずっと思ってた。すべてが繋がっているのよ。

早くにお母さんを亡くされるという体験もされていて、死について考えたりしましたか?死が怖いで すか?

怖くない人などいるの?誰も死にたくはないでしょう。私は永遠に生きていたいしそのつもりよ。

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5歳の頃からニューヨークに住みたいとおっしゃっていたそうですね。実際にそうなった時は夢のようでしたか?

いえ、それ以上ね。正気ではいられなかったわ!自分の指をコンセントに突っ込みそうになるくらい!

(笑)。ニューヨークでたくさんの素晴らしいアーティストと出会うわけですが、当時から彼らが特別な存在だと思っていましたか?

いえ、そうじゃない。すぐに彼らと会ってはいないのよ。私は中西部のただのナイーブな田舎者だった。でもそれではいけないと思って、馴れ馴れしくいろんな人に声をかけた。でもやっぱり怖かったわ。今までホームレスだって見たことなかったし、なんてクレイジーなところなんだろうって思ってた。ニューヨークは今とは全然違ったわ。それでしばらくダンサーをしてたんだけど、お金は全く無かった。本気でミュージシャンに転向すると決意してロウアー・イースト・サイドに移った。そこで初めてキース・ヘリングやバスキア、アンディ・ウォーホルたちに出会ったの。私たちはお互いに刺激を受け、影響し合い、また嫉妬もし合ったわ。まさか今のような状況になるなんて思いもしなかった。私たちはただ楽しんでいただけ。みんながそれぞれに興味を持ち合って幸せだったわね。

このアルバムにはとても生々しい言葉が溢れていますが、特に「ハートブレイク・シティ」では、前夫に対しての厳しい言葉が綴られています。あのような経験をされながらもオープンに愛を語っていますよね?あなたは楽観主義者なのですか?それとも……

愛に対してオープン?その通り。愛っていうのは間違ったものを選ぶのよ。すでに誰かのものになっている男性でもね。

自分のためのたった一人の人が存在すると今でも思いますか?

もちろん、絶対にね。その部分は確信しているわ。いつでもその準備はしているもの。もう会っているのかもしれないし、まだそれが起きていないかもしれないわね。

気軽に「やぁマドンナ。元気?」なんて声をかけられたりしたことは?

男の人から?いえ、そんなことはないわ。みんなプライドが高過ぎるのよ。こっそり後悔しているかもね(笑)。

でもそんなにこっそりでもないかもしれないと思うのです。先日『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ』を改めて観たのですが、自分を表現する権利と、ゲイの人権についての戦いにかなりの部分が割かれていることに衝撃を受けました。少なくともアメリカではゲイの権利に関しては進歩しましたが、性差別に関してはほとんど何も変わっていないように思えます。

まったくその通り。だから私はまた門の前にいるのよ。押し開けようとしているの。

威圧的な男性もまだ多いですか?

そうね。私は20年間そんなヤツを蹴って追い出して来たわ。マイリー・サイラスにはまだ分からないと思うけどね。彼女は50代になってもビキニを着てるだろうし、まつ毛もあのままでしょう。

なぜ女性も含めて、理解するのがそんなに難しいことなのだと思いますか?

長く続くキャリアを持っている人が少ないからでしょう。私たちの寿命はどんどん延びているわ。体に良いものを食べて、運動をして、直射日光に当たらないで、そんなことをやっていれば健康になるし、スタイルも良くなるし、肌もキレイになるでしょう。
でもひとつだけ言えることは、私はもっとエネルギーに溢れている。一緒にステージに立つダンサーたちの誰にも負けないわ。私の三分の一くらいの年齢なのにね。今までの人生で何をしてきたかってことなのよ。私は止まったことがない。車のエンジンがずっと動いているようなもの。私にはこれからの人生でもっとやりたいことがたくさんある。だからいつも限界に挑んでいるのよ。壁を壊したいし、ルールも変えたい。女性であるということを気にせず、なんでも選べるよう自由にしているのよ。
でも人々はそんな自由に慣れていないのよ。「ちょっと待って…」って止まってしまう。考えてしまう。新しいことに躊躇してしまうのよね。だからとりあえずそれに慣れること。そして少しずつでいいから受け入れるようにならないと。

ネット社会では、誰もが匿名で批判出来る時代になりました。あなたも色々言われています。20、30年前には無かったことです。

そうね。でも20年前の50代の女性は、私がしているようなことをしてなかったでしょ?だから、機会が無かったから存在も無かった。それだけじゃないかしら?

でもどんどん酷くなっていませんか?スターはいつも標的にされてしまいます。

たとえば誰?

マイリー・サイラスもそうですし、ビヨンセだったら、修正加工されていない写真が流出されたりとか。

私たちはまだ性差別社会に住んでいるのよ。女性の人権ということになると全く発展していない。でもね、女性こそ、女性を貶めていると思うの。女性は他の女性を支えない。もっと支えなくてはならないのよ。

マイリー・サイラスは、インスタグラムであなたのパロディばかりしていますが…

彼女はちっちゃな、ちっちゃな妹。ええ、好きよ。彼女のユーモアも。彼女は非礼でおかしい。ファイターね。そして弁解することが出来ないビッチ。

「S.E.X.」の歌詞はとても露骨ですが、お子さんたちはなんて言ってますか?

あの曲はスペシャルね。二、三週間考えたわ。14歳の息子が部屋に入ってきて「ママ、歌できたの?」って確認に来たんだけど、「これがママのプロとしての一面よ。分かるでしょ?」って言ったら、彼は「うん」って出て行っただけ。クールよね。

あなたのキャリアも踏まえて、お子さんをしつけるのは難しくありませんか?

いいえ、そんなことはないわ。だって私は大人だもの。彼も大人になれば分かるでしょう。でもそれまでは私のルールに従ってもらうわ。

あなたの発言の中で、私が好きなのが「一番頭の良い人になりたくはないでしょ?一番バカになりたいでしょ?」というものです。だってそうすれば学ぶだろうし、観察するだろうし、刺激を受けることが出来るのですから。

そうね。私は各国に友達がいるんだけど、彼らは今でもよく読書するし、政治や歴史にも興味を持っている。彼らにはすごく惹かれるわ。すべてのクリエイティブな人たちが、必ずしも知的なわけではないのよ。みんなまだ進んでいる。素敵よね。

まだまだ達成したいことが山ほどあるとおっしゃっていましたが、例えばなんでしょう?

そうね。一番は愛に溢れていて、心が優しくて、知的で、世界に貢献する子供たちを育てた…と実感することかしら。あとは映画をたくさん撮りたいわね。
そして世界に平和をもたらす担い手になるよう努力するわ。どんなことを犠牲にしてもね。私がいるのは、最前線なの。この自由の戦士に全て託してちょうだい!