Interview by Kim Kelly

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Photo by Chris Bubinas

先日、ニュー・バンド「ABBATH」のフロントマンとして来日したOlve Eikemo aka Abbath Doom Occulta。当オフィスにもお越しいただき、お茶目な部分も見せてくれましたが、ご存知の通り彼はシーンの超大御所。ノルウェーのブラックメタルバンドのアイコン的存在であるIMMORTALのフロントマンなのですからね。

しかし2015年、Abbath Doom Occultaは、歌詞担当のDemonaz Doom Occultaと、ドラマーのHorghによるIMMORTALとしての活動に終止符を打ちました。この二人とは「IMMORTAL」という名の使用権を巡って揉めたため、彼は自身のバンドを結成。商標登録が却下されたとき、Abbathはこう言い残しました。「しばらくの間、IMMORTALの名前は使わない。だがIMMORTALの本質、パワー、音楽、そして未来はここにある」そして彼は、自分の名を冠したバンド「ABBATH」に没頭し、IMMORTALの曲を中心としたステージを展開することになります。

しかし事態はまだ止まっていません。Abbath抜きのIMMORTALがニューアルバムを制作しているとのニュースが。DemonazとHorgh曰く「IMMORTALは休止などしていない。長い法手続きが済むまでは、ニュースを流せなかっただけだ。IMMORTALはただのバンドではなく、ひとつの音楽にも留まらない。メンバーがひとり脱退したからといって、それは変わらない。おれたちはこれからも信じるものをやっていく。『Blashyrkh』(「B」を参照)のパワーは生き続ける!」

昔からの友人同士が争うのは残念なことです。DemonazはAbbathの実家の地下室に住んでいたこともあり、Abbathは彼の姉妹との間にひとり息子がいるとのこと。結局、彼らの未来はファンが決めることになりました。あなたはどちらを選びますか? IMMORTALにいないAbbath?それともAbbathのいないIMMORTAL?その答えが出るまでの間、このバンドの長いモノクロームな歴史にお付き合いください。

ABBATH(アバス)のA

IMMORTALのフロントマン、ギタリスト、元ベーシスト、そしてドラマー。1990年にノルウェーのベルゲンで、Demonazと共にIMMORTALを結成。好きなもの: ロック、カニ歩き、フェイスペイント、レザー、火吹き。嫌いなもの:商標登録を却下されること、毛穴のつまり。

BLASHYRKH(ブラシールカ)のB

創世期のブラックメタル・シーンではお約束であった反キリスト教的感情や、暴力から距離をおくことで、IMMORTALは結成するやいなやブラックメタル第二世代のトップに踊り出た。さらに、閉鎖的なベルゲンでの日々から着想を得て、Demonazは、戦争で荒れ果てた氷と、雪と、悪魔の架空の王国を、同志とともに征服するというストーリーを設定。その国はブラシールカと名付けられ、IMMORTALはその後ずっとこの凍てついた世界に君臨する。IMMORTAL分裂劇の後も、Demonazが永久にこの王国の鍵を手にしていることは間違いないだろう。

CROAK(しゃがれ声)のC

Abbathのカエルのような独特のボーカル・スタイル(それと鬼の子のようなステージパフォーマンス――ハイキックとカニ歩きを見逃すな!)は、ブラックメタルバンドの中でも異彩を放っている。何枚目かのアルバムまでAbbathは、正統派ブラックメタルの甲高い声で歌っていたが、1999年の『At the Heart of Winter』で見せた、よりスラッシュに近いスタイルがバンドの歴史を変えた。未来永劫変わらないしゃがれ声に彩られる歴史のスタート。次にDemonazやHorghが、誰をボーカルに迎えるのかわからないけれど、この偉大でスパイキーな大王の抜けた穴を埋めるのはかなり難しいだろう。

DEMONAZ(デモナズ)のD

IMMORTALの結成メンバー。元ギタリスト、現在は作詞担当。腱障害を持つ。Abbathの親友。あ、元親友になっちゃったか。

EURONYMOUS(ユーロニモス)のE

Abbathにブラックメタルを教えたのは、Euronymousという話。しかしIMMORTALのメンバーに逮捕歴がないことからも、彼の政治的&非宗教的見解で、若きAbbathをしつけることができなかったことからも、Euronymousの思い通りにはならなかったようだ。でもAbbathは、「もし彼がMAYHEMにもっと注力していたら、今頃あのバンドはこのクソ世界で最高最強のバンドになっていただろう」と語っている。

FIRE(ファイア)のF

燃え続ける!!燃え続けろ!!

GRIM(グリム)のG

『Grim and Frostbitten Kingdoms』は間違いなく超クールな曲だが、GrimというキーワードはIMMORTALの歴史に暗い影を落とすものでもある。Grimと呼ばれたドラマー、Erik Brødreskift。彼は1993年の『Pure Holocaust』のジャケットにクレジットされ(実際にアルバムに参加してはいないが)、脱退前に二度のヨーロッパ・ツアーにも参加した。BORKNAGAR(このバンドの結成メンバーでもある)、 ÖRTH、GORGOROTHでもドラムを叩いたが、1999年に自殺を遂げた。ノルウェーで繰り広げられ続ける「ホール・イン・ザ・スカイ・フェス」は、毎年彼に捧げられている。

HORGH(ホルグ)のH

IMMORTALの現ドラマーであり、ドラマーとしては最も長く在籍するメンバー。1996年に加入し、紆余曲折を経て、Abbath脱退後もバンドに留まっている。現在のIMMORTALのメンバーは、彼とDemonazであり、並行して2004年からスウェーデンのデスメタルバンド、HYPOCRISYでもドラムを叩いている。

I(アイ)の I

2003年にIMMORTALが一時解散した後、AbbathとDemonazは、結成時のドラマーだったArmageddaとまったく別のプロジェクトを始動した。King ov Hell (GORGOROTH) とIce Dale (ENSLAVED)を加えてIを結成し、男臭くエッジが効いたロック・サウンドを展開。BATHORYを彷彿させる陰鬱でグルーヴィーなブラックメタルアルバムを一枚リリースした。

JØRN INGE TUNSBERG(ヨルン・インゲ・トゥンスベルク)のJ

JørnはIMMORTALの最初のデモ(1991年リリース)でギターを担当したが、同じ年にバンドの名を冠したEPをリリースした際には追い出されていた。IMMORTALに参加する前は、AMPUTATION とOLD FUNERALでプレイし、脱退後はHADES ALMIGHTYとDOMINANZに加わった。またVarg Vikernesと共謀し、教会に放火したとして2年の懲役刑に服したことがある。この件に関しては、まったく反省の色はなく、「ポイントは教会が焼け落ちたってことだけ」と発言している。パーティで会うなら楽しい男なのかもしれない。

KISS(キッス)のK

KISSとAlice Cooperの輝きがMERCYFUL FATE誕生につながり、初期SLAYERのペイントがノルウェーのブラックメタルミュージシャンによるコープス・ペイントのきっかけとなり、そしてIMMORTAL独特の趣向を凝らしたステージメイクを生みだした。(Abbathは時折「悪魔が出陣するときの化粧」と言っていた)IMMORTAL以外のAbbathのプロジェクトが、ロック色の強いものであることを考えると驚くにはあたらないだろうが、彼は特にこのバンド…KISSに愛着を持ち、ベルゲンの新聞にも「子どもの頃、ほとんどのやつらは弁護士か消防士なんかになりたがったが、おれはいつだってGene Simmonsになりたかった。KISSは神だ!」と発言している。

LARS ÜMLAÜT(ラーズ・ウムラウト)のL

ゲーム『Guitar Hero』に登場する、スカンジナビアのエクストリーム・メタルをイメージしたキャラクター。AbbathとLars Ulrich(METALLICA)をモデルにしている。似ているか似ていないかは、ご自身の目で確かめてください。

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MÖTORHEAD(モーターヘッド)のM

違いのわかる人間なら誰でもそうであるように、AbbathはMÖTORHEADに夢中だ。だが、彼はもう一段上をいき、BÖMBERSというトリビュートバンドを組んでヨーロッパの大きなフェスのステージを席巻し、ニューヨークのマータードゥーム・フェスでアメリカデビューを果たした。AbbathのLemmyっぷりはハンパなく、ともかく尋常でないくらい似ている。これは芸になる。

NORWAY(ノルウェー)のN

IMMORTALの母国であり、その豊かな自然と冬の厳しさが、冷酷なDemonazの歌詞や、非常にエンターテインメント性の高いユニークなビデオの大きなインスピレーションとなっている。

OSMOSE PRODUCTIONS(オスモス・プロダクション)のO

1991年に設立されたフランスのレーベルで、ブラックメタルやデスメタルの傑作アルバムを何枚もリリースしている。IMMORTALは、6枚目までのアルバム『Diabolical Fullmoon Mysticism』(1992年)、『Pure Holocaust』(1993年)、『Battles in the North』(1995年)、『Blizzard Beasts』(1997年)、『At the Heart of Winter』(1999年)などを、このレーベルからリリースした。

PURE HOLOCAUST(『PURE HOLOCAUST』)のP

IMMORTALのセカンドアルバム『PURE HOLOCAUST』は、1993年11月1日にリリースされた。荒々しい悪の空気をまとったこのアルバムは、華々しいデビューからさらなる進化を遂げたものであり、今後どんどん充実していくディスコグラフィーの中でもハイライト的な作品である。名曲揃いの34分間は、無駄が一切無い魅力的な暗さに溢れている。絶対聴いてほしい最高のアルバム。

“THE QUEST”(『THE QUEST』)のQ

Horghのもうひとつのバンド、HYPOCRISYは、1990年からスウェーデンのデスメタルシーンで活躍している。バンドの中心は、プロデューサーであり、メロディック・デスメタル界の王子でもあるPeter Tägtgren。2009年にリリースしたアルバム『A Taste of Extreme Divinity』には『The Quest』という曲が収録されている。Qはいつだって最も見つけにくい文字だから、これくらいで勘弁してください。

REUNION(再結成)のR

IMMORTALが、その名の意味する「不死身」でなくなったのは、今回が初めてではない。2003年に「個人的な事情」により解散したが、2006年に再結成し、ヒット作『All Shall Fall』をリリースした。彼らが再びこのような旨味のある動きをするかどうかはわからないが、ぜひともREUNIONのREUNIONに期待したい。

SURF ROCK(サーフロック)のS

2、3年前、南の島のサンサンと輝く太陽が似合う「ザ・IMMORTALズ」のメンバーが、スムーズでスウィングのきいた見事な解釈で、ノルウェーのクラシック・サーフ・ナンバーを”セミ”パロディした。なぜ”セミ”なのかというと、あまりに出来が良すぎて笑えないから。

TENDONITIS(腱障害)のT

バンドの運命を決めた4枚目のアルバムまでギターを担当していたDemonazは、1997年に急性腱障害と診断され、プレイヤーとしての道を断たれた。しかし彼は、メインの歌詞担当としてバンドに留まり、しばしばツアーにも同行した。彼はマネジャーの役割を果たすこともある。

UHR-WARLORDSUHR-ウォーロード)のU

才能あるミュージシャンの例にもれず、Demonazもアルバム制作の合間に別の仕事をしている。彼は『ネイバルウォー アークティック・サークル』や『UHR-ウォーロード』など、いくつかのファンタジー系ビデオゲームに楽曲とストーリー案を提供している。『UHR』のクリエイターがブログでこう語っていた。「私たちは最高のものを求めていましたから、迷わずDemonazにコンタクトしました。電話をした途端、巨大な空母、ロシア巡洋艦、夜の海域、オーロラ、北極圏で展開する第三次大戦…、あることないこと、とにかくたくさんのネタを彼は話してくれました。気づいたら作戦会議が始まっていたんです」

VARG VIKERNES(ヴァルグ・ヴィーケネス)のV

OLD FUNERAL時代のバンド仲間であるVarg Vikernesに、ブラックメタルを紹介したのはAbbathだ。しかしその結果VARGは、BURZUMで影響力の高い作品を発表し、メタル界最強の狂人アーティストになり、妄想癖のあるネオナチの変人になり、教会を放火し、Abbathの旧友であるEuronymousを殺害してしまった。Abbathは今でも後悔しているに違いない。

WINTER(冬)のW

IMMORTALが好んで歌詞のテーマに取り上げるものであり、彼らのミュージックビデオの中でも最も不条理な『Call of the Wintermoon』にインスピレーションを与えた。このビデオが愛されている理由は…まぁ、観てください。

EX-MEMBERS(元メンバー)のX

IMMORTALには大勢の元メンバーがいる。今やAbbathも、Hellhammer、Armagedda、Iscariah、Apollyon、Ares、Saroth、Kolgrim、そしてGrim、Jørnと共に名を連ねることになった。とりあえず仲間に不自由はしないようだ。

“YEARS OF SILENT SORROW”(『“YEARS OF SILENT SORROW”』)のY

アルバム『At the Heart of Winter』には、ヘヴィーに鳴り響く曲がこれでもか、これでもか、と収められている。最大のヒット曲と言えば『Solarfall』になるところだが、筆者は『Years of Silent Sorrow』の猛り狂ったサウンドと、原始人のようなストンピングに惹かれている。悪魔のソフトな一面をうかがわせる冬の曲のように思えるからだ。

DRAGON BALL Z(ドラゴンボールZ)のZ

こういうリストを作成すると、だんだん関係性の低い、そして正気でないものにまで踏み込みがちである。Googleに「IMMORTAL バンド z」と打ち込んで、やたらめったら出てきたものを越えた先にあったのがコレ。EVANESCENCEの甘ったるいニューゴス・バラード「My Immortal」が流れるドラゴンボールZのビデオ。他にも似たようなものが山ほどヒットしたんだけど、これで許してください。