ROCKET FROM THE CRYPT、
HOT SNAKES、そしてDRIVE LIKE JEHUまで復活させたジョン“スピード”レイス インタビュー

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ROCKET FROM THE CRYPT、 HOT SNAKES、そしてDRIVE LIKE JEHUまで復活させたジョン“スピード”レイス インタビュー

「目立ちたいとも思わない。バンドを組んで、演奏して、みんなでたむろして、また演奏して。古い友人たちと再び素晴らしい時間を過ごし、新しい友人たちと出会う。これが一番だろ?」

ジョン・レイス(John Reis)は、「スピード(Speedo)」、「スワミ(The Swami)」、そして「スラッシャー(Slasher)」など、多くのニックネームを持ち、ROCKET FROM THE CRYPTHOT SNAKES、THE NIGHT MARCHERSなどのバンドで活動しながら、レーベル「Swami Records」も運営する「ポストハードコア世代」のフル回転ロックンローラーだ。

さらに2014年からはDRIVE LIKE JEHUも復活させた。DRIVE LIKE JEHUは、1990年にジョン・レイス(ギター/ヴォーカル)、リック・フローバーグ(Rick Froberg ヴォーカル/ギター)、マイク・ケネディ(Mike Kennedy ベース)、そして名プロデューサーでもあり、ドーナツ屋メニュー最高!)のオーナーでもあるマーク・トロンビーノ(Mark Trombino ドラム)によって結成。『Drive Like Jehu』(1991)、『Yank Crime』(1994)の2枚のアルバムをリリースし、ポストハードコア・シーンの代表的存在として活躍。その後、活動を停止していたが、ひょんなきっかけから復活し、現在もフェスを中心にライヴ活動をしている。

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2016年4月には、DRIVE LIKE JEHUのキュレーションによるALL TOMORROW’S PARTIES(ATP)も開催される。このATPには、ROCKET FROM THE CRYPT、HOT SNAKESも出演。3バンドを掛け持ちする大フル回転直前のジョン・レイスにインタビュー。

DRIVE LIKE JEHUが音楽活動を停止していた時期と、再び結成した現在では、音楽の世界は大きく変わったと思います。

その点に関しては考えたことがないよ。俺たちがDRIVE LIKE JEHUをスタートさせ、レコードを出したときも、既にオーバーグラウンドなシーンとは離れたところにいたからね。まぁ、全世界中に同じ音楽の好みを持つバンドがいたから、楽しみながらやっていた。そして今も俺たちは、別のシーンにいる。というのも、そんなに人々と触れ合うことに興味がないからね。DRIVE LIKE JEHUは、新曲も創ってないし、新しいアルバムも出してない。でも俺はレコード・レーベルを運営して、相変わらずたくさんのバンドで演奏してる。ここ何年間かは、同じことの繰り返しだ。確かに世界は変化しているけど、その変化に合わせるつもりはないんだ。

目立ちたいとも思わない。バンドを組んで、演奏して、みんなでたむろして、また演奏して。古い友人たちと再び素晴らしい時間を過ごし、新しい友人たちと出会う。これが一番だろ? 変化に合わせて、すべてが奪い去られてしまうのは最悪だ。DRIVE LIKE JEHUの復活は、本当に自分にとっても最高だけど、スタイルを変えるつもりはない。あるがままだ。DRIVE LIKE JEHUは、世界征服を狙っていたわけじゃないからね。

DRIVE LIKE JEHUは、どうして再結成したのですか?

偶然だった。サンディエゴのバルボア・パークにあるSPRECKELS ORGAN SOCIETYで演奏する話があがったんだ。ここには、世界で二番目に大きいパイプオルガンがあるんだよ。俺の友人が、サンディエゴ市のパイプオルガン委員会で働いていてね。彼が「ここで何かしたいんだけど、クールなアイデアはないか?」って訊いてきた。すぐにDRIVE LIKE JEHUが頭をよぎったよ。大きなパイプオルガンと一緒に、DRIVE LIKE JEHUのフリーショーをする…なぜかピンときたんだ。それでメンバーに連絡を取ったら、「あんな巨大なクジラみたいな楽器と演奏できんのか!」って、みんな面白がってくれた。それでリハーサルを始めたんだけど、なんたって20年ぶりだからね。最初は、息ピッタリってわけにはいかなかった。最終的には形になったし、ショーも善意に溢れていたから(笑)、完璧なものになった。それで、これ以上、最高の演奏が出来るかどうかはわからなかったけど、「もう少し続けてみるのもクールじゃないか?」って、メンバーの気持ちがひとつになったんだ。そして現在に至る……以上! とにかく計画的に進んだものじゃないし、タイミングも良かったんだろうね。休養してたってとこかな。正式に解散した覚えもないし、今の活動がストップしたらまた休養に入るよ。

何らかのノスタルジアみたいなものもありましかた?DRIVE LIKE JEHUは、そんなバンドには見えませんが。

それほどノスタルジックではない。もちろん、フェスで演奏すれば、何人かのファンがノスタルジックになっているのはわかる。でも俺たちは、単に活動を停止し、単に再結成した90年代のバンドではないよ。「ノスタルジア」は、彼らの人生で良かった時代の何かを思い出したいことだろ? でも、よくよく考えてみてよ、DRIVE LIKE JEHUは、ノスタルジアと無縁のバンドだ。「ああ、この曲覚えている!」とか「どんな素晴らしかったか覚えてる?」なんてファンはいなかったんだから。実際にDRIVE LIKE JEHUは、本当にファンが少なかった。俺たちは若かったし、音もうるさかったし、演奏する場さえも見つけられない時代があったんだ。もちろん素晴らしいショーもあったけど、最悪なショーもあった。今はみんな受け入れてくれているけど、当時はブーイングは当たり前、ラムや卵やキャベツを投げられた…とまでは言わないけど、間違いなく好かれてなかったんだ。それでも、3人とか4人とかのファンは、真剣に観に来てくれていた。「俺たちは間違ってない」って気にさせてくれたね。今はまったく違う。楽しく演奏できるんだから。それに、周りの反応も気にしなくなった。単に俺の年齢がそうさせたんだけどね。

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周りの反応に対して執着しなくなったんですか?

その通り。今、俺が唯一気にかけているのは、どこかで演奏するかってことだけ。本当に良いサウンドでショーをやりたいし、できる限りパーフェクトな演奏がしたい。最高の演奏がしたいだけなんだ。だって、またツアーして、同じ場所で演奏するかどうかはわからないんだから。でもプレッシャーはない。この瞬間を楽しんでる。ロックンロールを演奏することがベストだ。 本当に止められないね。

20年前に持っていたエネルギーとスピリットはまだあるんですか? 年をとってなくなりましたか?

まず、20年前が「どうであったか」を定義するのが難しい…というか、わからない。DRIVE LIKE JEHUが、とてつもなくユニークで、オリジナリティーに溢れたバンドだったとは思っていない。もちろん、自分たちのサウンドを持っていたし、俺たちのレコードに耳を傾けてくれたファンもいた。で、君の質問なんだけど、その答えに「はい。今も当時のエネルギーもスピリットも持っているよ」と答えたいのかどうかもわからない。だって、それは内容次第だろ? 君がどう感じるか、それだけだとだよ。例えば、数千人の観客から、40フィート上空に吊られて演奏するフェスと、気が狂ったような40人の前で演奏する地下室ライヴとでは、比較できっこない。確かにバンドのスピリットは同じかもしれないけど、ショーのスピリットは同じじゃない。でも俺たちは飛行機に乗って、色々な場所に移動し、フェスで演奏する。そして週が明けたら、メンバーは自分の仕事に戻る。もう少し、自分自身を晒け出して、よりマッチした場所でも演奏したいんだけど、今は難しい。時間があまりないんだ。みんな、DRIVE LIKE JEHU以外のこともやっているから忙しいんだ。

あなたは、いつも忙しいですよね。他のバンドも、レーベルもあります。どのようにして、すべてを成立させているんですか? また、ATPでは、キュレーションもして、3つのバンド(DRIVE LIKE JEHU、HOT SNAKES、ROCKET FROM THE CRYPT)で演奏もするんですよね?

かなりシンプルだよ。俺のバンドでは、メンバーみんなにバンド以外の生活があって、仕事もあって、家族もいる。だから、スケジューリングをしっかりしなければならない。今回のATPでは、3つのバンド以外に、他のバンドとも演奏するので、活動が2倍になる。正直、時間をつくるのは大変だ。

手品みたいに進めないとならない。でも、ATPは本当に楽しみだ。初めての試みだからね。今まではひとつひとつのバンドに時間を割きたかったから、こういうのは避けてきたんだけど、ATPには好きなバンドもたくさん出るし、パーティーだと思ってるんだ。俺たちを含め、どのバンドも幾つものバンドに影響を与えてきた世界的なバンドばかりだからね。

あなたのバンドも人々が尊敬し、若いアーティストにとって影響力のあるバンドだということを認識するべきです。

そういってもらえるのは、確かに光栄だ。そういった話を聞くのは悪くない。でも、人が考えていることなんて、まったく気にしていない。これははっきりいえる。でも最終的には、音楽を好きになってもらいたい。そこで人々と触れ合いたいんだ。自分たちがショーで演奏するためでなく、人々を燃焼させるために世界の裏側まで飛んでいきたい。俺たちと同じように、音楽好きな連中のためにロックンロールを演奏するのが好きなんだ。なんだか決まり文句のようだけど、それが楽しくなかったらファンと触れ合うなんてできない。それだったらわざわざ演奏する必要なんてないだろ? つまり、これは仕事でも職業でもない。音楽とデスクワークは比べられない。音楽は砂の城を造るようなもので、何人かの友人と構築し、自分が考えたことをして、それにのめり込んで、楽しんで、そして城を壊してまた造る。これが続くんだ。ちなみに「あなたのバンドが好き」といわれるのは嬉しいけど、もっとさりげない褒め言葉は、「私のパパはあなたたちが大好き」だ。

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つまりあなたたちは、砂の城を築いて、長い間それを放ったらかしにして、今それを再構築していると。やり続けるのとは正反対なのが喜びなのかもしれませんね。

その通り。神話のように振る舞っても、永久に続くもんは何もないのに気付く。永久に続くもんがあるなんてのはまったくの噓で、すべてが一時的なもんだって事実を受け入れ、それに対して喜ぶべきだなんだ。運命の前触れはただ訪れるだけだ。

Photo: David Brendan Hall

DRIVE LIKE JEHUは、新しい曲を創るつもりはないんですか?

なんともいえない。「再び演奏することはない」といったこともあったからね。メンバーとは話しているけど、どうなるかはわからない。野球やドーナツや科学の話ばかりしているからね(笑)。新曲ができれば嬉しいけど、今はショーで演奏するためのリハーサルで精一杯なんだ。ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴ、みんな違うところに住んでるから。なにか始めるには、いつでもやり取りできるように、やはり近くに住んでいないと。

多くのバンドは、メンバーが別の都市に住んでいたり、違う国に住んでいたりしても、電子メールを介して作曲しています。そのような方法を使うつもりはないのですか?

バンドはそんなに簡単なものじゃない。以前、俺たちは同じ街に住んでいたけど、そのときもすべてをバラバラにしたり、壊したり、再調整したり、ひっくり返したり、めちゃくちゃにしたり、何度も何度もやり直していたからね。レコーディングは、演奏したその時点のスナップショットでしかない。いうなれば写真。音楽には、プッシュとプルが必要なんだ。適切なインスピレーションを得るためには現場にいなきゃいけないんだ。演奏しているあいだに感性が放たれる。演奏中に誰かの指を見るべきだ。部屋にいるドラマーを見るべきだ。それがまさに、プッシュとプル。それが本当のバンド・サウンドだ。だからメンバーは同じ部屋にいなきゃならない。

DRIVE LIKE JEHUの2枚のアルバムが今でも新鮮なのは、そのようなレコーディング・スタイルが影響しているからかもしれませんね。『Yank Crime』は、出来立てホヤホヤのようです。

ありがとう!2枚のレコードについては、かなり良く出来てる自信がある。俺たちのやり方でレコーディングしたし、時間もかなり費やした。バンド再結成の準備中に『Yank Crime』を聴いたんだけど、まさかアルバムの曲をやるなんて思ってもみなかった。でも、演奏するのが本当に楽しみになったんだ。