Spotify(※1)に無音の音源をアップして、ストリーミングで得た収入からツアー費を捻出しようとしたクレバーなバンド「Vulfpeck」。このバンドとSpotifyの攻防のいきさつを知らない方のために説明すると、彼らは「SLEEPIFY」と名付けた無音の楽曲をSpotify上にアップロード。熱狂的なファンたちに、その無音の楽曲を寝ている間に何度も再生してもらい、ストリーミングによる収入を得て、その利益でツアーを実施するという計画を考えついた。最も再生回数の多かったエリアでは、ストリーミングで稼いだお金でやり繰りし、無料ライブを実施するという算段だった。一度のストリーミングにつき、0.007ドル(約0.72円)が支払われることになっているSpotifyの仕組みを上手く利用した巧みなアイデアだ。見事バンドの読み通り、熱心なファンが何度も再生してくれたため、収益を上げることが出来た。当初寛容な態度を見せていたSpotifyも、あまりの反響に対策を講じざるを得なくなりバンドに「そのアルバムが利用規約に違反しており、Spotify上から楽曲を降ろす」という旨のメールを送った。その後、無音の楽曲で稼いだお金がバンド側に支払われたのかは定かではない。というわけで、今回紹介するのは、その後のSpotifyの動きとそれを受けたメンバーへのインタビューである。

我々は何度もSpotifyサイドにコンタクトを取ったものの、彼らはいつも「ノーコメント」。この案件に関しては「極力触れない」という方針だったのだろう。それに対しバンド側は懲りずに、#Hurtと名付けられたレスポンス・トラックをアップロードした。Spotifyのサービスを批判するようなトラックでバンドがまた利益を出すことができると思うとかなり皮肉的なことに感じられるのだが。Spotifyから事情を聞き出すことは諦め、バンドのキーボード担当ジャック・ストラットン(メンバーの中で事実上のスポークスマン)に一連の経緯を聞き出すために連絡を取った。以下がそのやり取りの一部始終だ。

なぜSpotify側が「Sleepify」に対して削除要請をしてきたと思いますか?

無音の音源で実際に利益を出していることが分かって、混乱したんだと思うよ。

同じような(無音の)作品がアップロードされたんでしょうか?

まだそういった話は聞いてないね。でも削除要請のメールの中で「同じような無音の楽曲を受け取っている」って書いてたけど。

色々と注目を集める中で、変わった仕事のオファーとかはありました?

250,000ドルのT-mobile(大手通信キャリア)の広告の依頼があったけど断ったよ。

どうして音声でステートメント(Youtube上に音声でバンド側の見解を発表)を出したのですか?

それが世間に発信する最善の方法だと思ったからだよ。Spotify側がメールとか通知書で新しい取り決めみたいなものを強調してきたからね。音声で僕たちがステートメントを出すことが、ファンの人に色々と理解してもらうベストなやり方だと思ったんだ。

それに対して何かSpotify側から反応はありましたか?

ないね。今Spotifyの代理人とロサンゼルスで連絡を取っているところなんだ。今度軽くご飯にでも行くつもりだよ。

ストリーミングで稼いだお金はもらえるんですかね?

うーん、もらえると思うんだけどね。通常Spotifyは2ヶ月後に支払いをしてくれるみたいだから5月になったら答えが分かるね。(※実際、バンドにはSpotifyから支払いがあった模様)

もしお金を得られたら、バンドとして次に何をする予定ですか?

もし支払いがあったら、ツアーに出て「Sleepify」の売り上げはその資金として活用するつもり。ちょっと変わったツアーになるだろうね。巨大な組織を目の前にして、僕らみたいな小さな集団に何が出来るのかってことを試したいね。

何か巨大なモノを敵に回してしまったという風に感じることはありますか?

そんなことはないね。ユーザーの一人として、単純にSpotifyのファンなんだ。だから「Sleepify」のビデオの中でこんな冗談を言ってみたんだ。「もし「Sleepify」を受け入れるなら、どれほどSpotifyがこのレコード音楽ビジネスの歴史に一石を投じることになるのか」ってね。まあ音楽業界ってのは、この自由な市場において、これからはヨガとかグラスフェッド(牧草で育てられた牛から作られた)バターみたいなものとも戦っていかなくちゃいけないんだけどね(笑)

ジャック、本日はありがとうございました。

Translated & Edited by Shotaro Tsuda