Image by Lia Kantrowitz
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マディソン・スクエア・ガーデンに立ったものの、ビギーはブルックリン以外では、まだまだ無名のラッパーだった。それに対してトゥパックは、プラチナディスク* を獲得したラッパーであり、映画俳優であり、真のカリスマだった。若いラッパーたちは、スタジオやホテルに集まり、トゥパックから成功術を教え込まれた。「彼が話し始めると、全員がこの男に釘付けになった。トゥパックからの教えは全て吸収しようとしていた」とE.D.I. ミーンは語る。そんな若いラッパーたちの中でも、特にビギーはトゥパックに可愛がられた。トゥパックのライヴでは、ビギーもパフォーマンスをさせてもらった。トゥパックのラップグループであるTHUG LIFEにも参加させてくれ、とビギーは頼んだくらいだ。「俺がビギーを大きくした。アイツは補佐官のように俺に仕えていた」とトゥパックは自慢気だった。更に「俺はビギーのラップスタイルにも影響を与えた」と続ける。「俺はよくアイツに『金儲けをしたかったら、女が喜ぶラップをやれ。男のためのラップじゃない。レコードを買うのは女だ。男は、女が欲しいものを欲しがるんだ』といっていた」。その証拠としてトゥパックは、ビギー初期の攻撃的なトラック「Party and Bullshit」と、デビューアルバム『Ready to Die』収録のソフトな「Big Poppa」の違いを挙げている。実際「Big Poppa」には、「彼がワインを買うとき、すぐ後ろから近づき、『趣味は何?』『誰と一緒にいたい?』と尋ねてみる」など、女性を意識した歌詞が綴られていた。
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