みなさんご存知の通り、VENOMのアルバムが常に平均点以上、もしくは、最高傑作、てなワケではありません。「In League With Satan」(81年発表のファースト・アルバム『Welcome to Hell』収録)のような代表曲を産み出したブラックメタル・ゴッドファーザーとはいえ、膨大なディスコグラフィーの大半を占める、トホホ…、な曲のせいで、90年代以降の彼等に価値ナシ…なんて苛立たしい見解もちらほら聞こえてきます。そんな戯言もなんのその、ファースト・アルバムをリリースしてから約35年、イングランドきっての地獄の聖歌隊が、『Fallen Angels』(2011年)以来、4年振りの新作『From the Very Depth』を、ここぞとばかりにリリース。「嫌いなら結構!トコトン嫌ってくれ!もっと嫌え、タコ!」と言わんばかりに、VENOMは未だ、NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル、New Wave Of British Heavy Metal)時代のどの爺様よりもエキサイティングに強烈な爆音をかましまくっています。今作は14作目であり、フィンランドはヘルシンキの人気メタル・レーベル、スパインファーム・レコードからの初作品。文字通り地獄の底から帰還したかのような今作は、数多のメタル・バンドには出せない圧倒的な破壊力を誇示するだけでは飽き足らず、Venomの未知なる可能性を、この期に及んで感じさせてくれる驚きの新作なんです。

はてさて、みなさまはこの『From the Very Depth』をどう感じるでしょう?悪趣味なジャケ、ダサすぎる曲名を笑い飛ばせるのであれば、やっぱVENOMっしょ、と言っても過言ではないアルバムです。彼らのキャリアの中でも飛び抜けて音楽的にハングリーで、御大には失礼ですが、ちょっと今後のVENOM楽しみ♡、といった雰囲気も感じられます。例えば、「Long Haired Punks」や「The Death of Rock N Roll」は大袈裟で、仰々しくて、キャリアを再確認するかのようなメタル・パンク・ナンバー。粗野なのにソリッドなリフをカマしまくる、誰もが無条件で納得するCronos(Venomのフロントマン)降臨です。

彼らは二度と「Acid Queen」(’82年2nd『Black Metal』収録)は作らないでしょうが、この新作は、誠実で頑固なヘッドバンガ―たちを納得させるだけのアルバムです。特に「Grinding Teeth」の仕上がりは、ダーティーで荒々しくて、最高のヘッドバンガー・アンセム足り得るミッドテンポ・スラッシュメタル。Cronosによるブルドーザーのようなベースと、冷ややかな嘲笑と怒りを兼ね備えた唸り声。即興性、NWOBHM独特の軽さの中に、錆まみれの鋼鉄感がちらつく、何かに取り憑かれてしまったかのような最高の一曲です。もし『From the Very Depth』の他の曲も「Grinding Teeth」の作曲方程式に従っていたなら、彼らはちょっと色褪せてしまったキャリアの中で、輝きを取り戻すためのマスター・ピースを手に入れていたかもしれません。……とは意地悪な見方ですが、とにかく「Grinding Teeth」はマストな名曲。いまさらながら、VENOMの輝かしい未来を予感させてくれます。

ここまで書きましたが、正直、VENOMの音楽キャリアなんぞ皆様大して気にならないでしょう。しかし、何年に一度かは「Grind Teeth」のような名曲で、われわれを熱狂させてくれるはずです。だからこっそり応援します。