編集後記(現地特派員より)

ドイツは世界有数の動物保護法を持つことで有名で、犬猫の殺処分施設は無く、日本にあるようなペットショップもほぼ皆無。また、ソーセージの国としても有名な一方で、近年では菜食主義者も非常に多いため、菜食主義者でなくとも、食物連鎖に対してそれなりの意識を持った上で肉を食している傾向が強い。(自分自身も実際、渡独してから、肉食について改めて考える機会を多く持っている。)そうした背景もあり、隣国のデンマークで起こった事件だが、ドイツでこの事件が議論の的となるのは当然と言える。

またこの事件後3月に、同動物園が今度は、新たな群れを作るための雄ライオンの迎え入れに伴い健康なライオン4頭を殺処分したが、これに対して当然、ドイツでも再度物議が醸された。動物園側の遺伝子学的観点を合理的であると支持する声も多いが、動物福祉という観点から、動物の交配優先順位を決定するEAZAの欧州絶滅危惧種救済プログラム(EEP)を問題視する声や、動物園という施設そのものについて、「人間のエゴではないか」と改めて疑問視する声も目立つ。動物愛護という点ではドイツを始めとする欧州諸国から遅れを取っている日本でも、この事件から考え、学べることは多いだろう。

他紙が報じる記事の見出し

マリウスが殺されなければならなかった理由(DIE WELT)
動物園責任者が死の脅迫(SPIEGEL ONLINE)
嘆願書が動物園の閉鎖を要求(Frankfurter Rundschau)
我々は決してキリンを殺さない(ミュンヘン動物園ディレクターが語る)(Suddeutche.de)
「コペンハーゲン動物園についての論争:キリンが殺され、ライオンの餌に」(Der Tagesspiegel)
デンマークでのキリンの死についての遺憾(Abendzeitung Munchen)
動物園閉園に対するオンライン嘆願書(Stuttgarter Zeitung)
「動物園責任者が死の脅迫を受ける」(Bild.de)

問題視されているコペンハーゲン動物園

Translated by Rieko Matsui
Photo by Imago