Image via Kirk Caldwell

もし、あなたの家が火事になったらどうしますか? 部屋の中で黙って最善の結果を祈るでしょうか? そんなはずはありません。誰もが、火を消すためにあがくでしょう。米国第13の都市、ホノルルの市長である私カーク・コードウェル(Kirk Caldwell)は、気候変動が私たちの島々を徐々に蝕むさまを目の当たりにしてきました。また、プエルトリコを破壊したハリケーン、カリフォルニアを襲った山火事を見るにつけ、もう、その場しのぎの対策でお茶を濁している場合ではない、と痛感しました。だから私は、ハワイ州の全自治体と協力し、前例のない取り組みを実施します。その取り組みとは、2045年までに、ハワイ州の公営、民営すべての陸上交通機関における化石燃料の使用をゼロにすることです。

私たちは、この意義深い取り組みを、軽い気持ちで決定したわけではありません。米国内のすべての街、すべての州と同じく、私たちの経済やインフラは、内燃機関と、その燃料に依存しているのが現状です。しかし、ここ10年で、ハワイにおける地域経済の新たな局面が見えつつあります。ハワイでは、米国で初めて、再生可能エネルギー利用率100%の電力供給網への移行を義務づける州法が成立しました。ハワイの再生可能エネルギーのシェアは、2007年の9%から、2017年には25%、現在も拡大し続けています。この進歩は、気候変動に歯止めをかけるのに役立っていることはもちろん、住民にも利益をもたらしています。他国から石油を輸入するかわりに、私たちは、現在、ソーラーパネルや風力発電機導入支援のために、年間3億ドル(約320億円)割り当て、さらなる増額も予定しています。

私たちは、交通機関についても同様に検討しています。ホノルル、ひいてはハワイ州は、クリーンエネルギーを活用した未来の交通システムのベンチマークとなる自治体になるでしょう。目標を達成するために、現在、2045年の完成を目標に、全てのエネルギーを電力でまかなう、乗客数万人を効率的に運ぶ自動運転鉄道網を構築中です。最近の取り組みとしては、自転車シェアサービス〈biki〉を開始しました。運用開始から半年で、使用回数は20万にも達しています。同サービスの人気は高まり続けており、都市部の自転車専用道路を拡張したばかりです。そして、約600台のバスを含む、私たちの足となる交通機関の全車両を、2035年までに、電気自動車、もしくは、再生可能エネルギー燃料車に切替えることを公告しました。これは、人類史上における重要な歩みとなるでしょう。

私たちは、エネルギー形態の移行が地球のためだけではなく、人類のためになると信じています。自動車、トラック業界は既に、電気自動車の完全採用に向けて舵を切りました。2010年以降、バッテリー技術の費用曲線は80%減。より経済的な交通手段につながるようなインフラ整備を今から始めなければ、ハワイ州民の公益に反するでしょう。これからの10年、自動運転車の大半は、電気エネルギーで動くようになるはずですから、交通機関は大変革を迎えるはずです。

私たちは、化石燃料の使用停止、という気候変動に真摯に取り組むための明確なゴールを設定しました。ハワイにとって、この目標設定は、最善の行動を実施する準備ができている、という意志表示であり、各種マーケット、そして世界に向けての宣言でもあります。みなさんの、環境にやさしく、クリーンで、再生可能な交通機関テクノロジーを、ぜひハワイに紹介してください。私たちは、それを実現する準備ができています。

これまで、観光客のみなさんは、ビーチやヤシの木を楽しみにしていたはずです。しかし、将来的には、クリーンエネルギー100%のダイナミックな経済がいかにして実現しているのかを視察するために、ハワイに訪れる観光客も増えるでしょう。これまでも、ハワイの魅力は、太陽と砂浜だけではありませんでした。1000年以上前に、星の光に導かれきわめて正確に世界一の海を渡り、数千キロの航海の末にたどり着いたこのハワイの島々に入植したポリネシア人たちが使用していたのは、風力、という再生可能エネルギーです。その伝統は現代にも息づいています。3年もの世界一周航海から戻ってきたばかりの、ハワイの航海カヌー、ホクレア(Hōkūleʻa)号は、気候変動に取り組むリーダーとして、サステナビリティの新時代への出立を高らかに宣言しました。ホクレア号の船長デッキで、地元の学校に通う若い学生たちに囲まれるなか、ハワイ州の首長たちが再生可能エネルギーで動く陸上交通網の未来へ向けての誓約書に署名しました。若い学生たちも、積極的な変革が実現することを期待しています。ハワイは、地球上のどこよりも大陸から遠い、すなわち、どこよりも孤立した島々の集まりです。その島々で暮らす私たちに、他にどんな選択肢があるでしょうか? そして、地球上に暮らすあなたたちには、他にどんな選択肢があるのでしょうか?