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社内セクハラ調査にのりだしたUber

元Uberのエンジニア、スーザン・J・フォウラ―は2月19日、男性上司から受けたハラスメントを同社の人事セクションに報告したにもかかわらず、上司は何の処分も受けなかった、とブログに記事を投稿した。彼女が上司の行動を人事部に届け出ると、別の部署に届けるよう指示されたうえに、彼女の人事評価は改竄された。

Uberのサンフランシスコ本社ではセクシャル・ハラスメントがまかり通っている、との深刻な申立に、同社は対応を急ピッチで進めている。

元Uberのエンジニア、スーザン・J・フォウラ―(Susan J. Fowler)は2月19日、男性上司から受けたハラスメントを同社の人事セクションに報告したにもかかわらず、上司は何の処分も受けなかった、とブログに記事を投稿した。

フォウラーが上司の行動を人事部に届け出ると、別の部署に届けるよう指示されたうえに、彼女の人事評価が低くなるだろう、と示唆され、実際に評価の改竄が起きたそうだ。

記事が拡散された直後、ウーバーのトラビス・カラニック(Travis Karanick)CEOは、セクハラがUber社内で罷り通っている、との噂を否定した。20日夜、カラニックは社員に宛てた連絡のなかで、フォウラーの申立について〈中立的調査〉を早急に実施する、と言及した。

この調査チームに加わるのは、以下の顔ぶれだ。Uber社内からは、取締役員のアリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)、人事部主任のリアン・ホーンジー(Liane Hornsey)、準顧問のアンジェラ・パディーラ(Angela Padilla)。調査は、元米国司法長官エリック・ホルダー(Eric Holder)、タミー・アルバラン(Tammy Albarran)の指揮下で実施される。両者とも、長年、ウーバーをクライアントとしている法律事務所〈コヴィントン・アンド・バーリング(Covington & Burling)〉のパートナー弁護士だ。

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シリコンバレーと縁深いコヴィントン・アンド・バーリングは、政策決定への影響力を希求するテック系企業から頻繁に指名を受ける人材の宝庫だ。昨年、ホルダーは、安全対策としてウーバー運転手の指紋を採取する、という法案への反意を表明。黒人やヒスパニック男性が不当な扱いを受ける危険がある、との仮定のもと、彼は自説を主張した。他にも、コヴィントン・アンド・バーリングの元スタッフがUberに雇用された例もある。その人物は役員として、現在も同社に在籍中だ。

Uber社は、これらの関係者によるバイアスなしに、中立的調査の実施が可能だ、と強調している。

しかし、ウーバー経営陣は同社の福利に、本当に関心があるのだろうか。人事セクションの幹部が、フォウラーが所属したセクションの調査に参加を許されているのは、重大な問題だ。契約顧問であるホルダーも、Uberとは浅からぬ関係があるだけに、彼が調査に無意識のバイアスを持ち込まない、とは断言できない。

私は、調査チームを組織するのにいかなる基準を適用したのか、Uberに尋ねた。なぜUberは、同社と利害関係がない調査スタッフを選ばなかったのか。同社は、公平な調査の実施を、いかにして保証するのか。そして、この調査と結果について、同社はどれほどの透明性を保とうとしているのか。

Uberの広報担当2名はコメントを辞退した。

私は、コヴィントン・アンド・バーリングに連絡を取り、同じ質問をしたが、すぐには回答をもらえなかった。

「トラビスは、自身の犯した誤りについて、そして、より良いウーバーを築くために、ここ48時間以内に起こった出来事をどう活かしたいのか、非常に誠実に話してくれました。経営陣に説明責任を要求していいのだ、と社員がわかったのは素晴らしいことです。また、経営陣がこの問題に取り組み続けるよう働きかけるのは、私自身の責任だと考えています」。ハフィントンは、2月21日のスタッフ会議後、同社のWEBサイトで声明を発表した。「変化は通常、触媒なしには起こりません。何が間違っていたのか理解し、それを正す機会を設け、そういった取り組みがUberだけでなく、業界全体に及ぶ、女性の地位向上に繋がるよう願っています」

タクシー運転手の指紋採取の件では、Uberは最終的に「指紋採取による完璧な身元調査など不可能だ」とマイノリティの権利を守るべく判断を下した。フォウラーの申し立てについての調査を実施して報酬を受けとるとしても、Uberの利益を代弁した過去があるとしても、ホルダーは今回の件でも中立を保てるはずだ。そうなるよう願いたい。

しかし、無意識のバイアスを見逃すのは、それがいくら小さかろうと、フォウラー、Uber社員を蔑ろにすることにはならないだろうか。

Uberは、目下、被害を最小限に抑えるようと努力している。しかし、Uberが事態に対処すべく発足させた内部調査チームへの参加者たちに同社の利益を代弁した過去がある以上、今回の調査が信頼に足らないのは明白だ。