『Sleeve Notes』は、Noiseyがピックアップしたアーティストにテーマのあるmixを制作してもらうシリーズだ。Vice Japanでの初回配信となる今回は、ジャイルス・ピーターソンをフィーチャーしてお届けする。80年代から、DJ、ラジオDJ、レーベルオーナー、フェスティバル・キュレーター、そしてレコードコレクターとして音楽シーンで確固とした存在を確立してきたジャイルスの名は、誰もが知るところだろう。

世界の最重要スポーツイベントの一つである<FIFAワールドカップ>が、12日からブラジルで開催されている。これを機に今回、BBCラジオDJ、フランスを拠点とする世界規模のフェスティバル、そして自らのエレクトロニックミュージック・レーベルであるBrownswoodをはじめとする多くの方法で常にワールドワイドに音楽シーンに貢献してきたジャイルスに、お気に入りのブラジル人アーティストをフィーチャーしたエクスクルーシヴmixを作ってくれるよう依頼した。下にあるのが、出来上がったmixだ。

Noisey記事はこちら(英文)

INTERVIEW : ジャイルス・ピーターソン(GILLES PETERSON)

こんにちは、ジャイルス。調子はどうですか?

調子いいよ!数週間後にSonzeria(※1)のリリースが控えてるから、ものすごく忙しいけどね。ほかにも、<Meltdown>(※2)のキュレーションをしたり、セット(Sète/※3)で開催される大規模フェスの最後の仕上げをしたり、いろいろやってるよ。全部順調さ。

いつも忙しそうですね。Brownswood Bubblers(※4)のほうはどうですか?

実は、次のリリースのために既に50曲用意してあるんだけど、Sonzeriaのアルバムのほうですごく忙しくて。もうすぐMala(※5)がある場所から戻ってくるんだけど、今はまだ話せないんだ。あとは、Brownswood Electricっていうエレクトロニック・コンピレーションCDシリーズの最新作がリリースされたし、Brunswick Records(ブランズウィック・レコード/※6)の音源をmixしたものを、日本のレーベルOCTAVEから『Brunswick Bubblers』というタイトルでリリースしたよ。Brunswick って、60年代にすごく盛り上がったレーベルなんだ。

世界中の様々なマイナーなシーンで、もっと注目されるべきだと思うものはありますか?

マイナーな音楽をやってる人たちは、実際そんなに注目されたいと思っていないと思うよ。むしろ、僕がそうしたシーンを世にさらけ出すことを最も嫌うと思う。最近問題なのは、どん欲なメディアが準備中の段階にあるシーンにすぐに飛びついて、ダメにしちゃうことだね。昨今の音楽シーンでは、何でもすぐ過剰に騒ぎ立てられてしまうから、カルチャーが成熟しないんだ。いい例がブロークンビーツ(※7)だね。ブロークンビーツを始めた人たちは、シーンが大きくなることを嫌っていて、彼らの音楽には妥協がなかった。ある意味では、そういう姿勢がシーンをちょっと衰えさせてしまったとも言えるけどね。

その通りですね。ブラジルの話題に移りたいのですが、好きなブラジル料理は何ですか?

ブラジルの都会では、とてもおいしいビュッフェが食べられるよ。ここらじゃ、ビュッフェはおいしくないものっていうイメージだけどね。ブラジルでは、お皿の重さを量られるんだけど、クオリティはとてもいいよ。どんな種類のビュッフェでもあるんじゃないかな。高級指向なら、リオにすごくおいしいシーフードレストランがある。あと、何ていう名前か知らないんだけど、お米にブロッコリーを付け合わせたおいしい料理があるよ。

ブラジルに初めて旅行したときのことを覚えていますか?

20年前だったね。初めての印象は「匂い」。と言うのも、当時リオでは車の燃料に、何かしらの果物を使ってたからなんだ。サンバスクールやサッカー競技場をはじめとする名所を全部見て回ったよ。まぁ、型どおりのものだね。もしブラジルに初めて行くなら、リオには絶対行くべきだね。サンパウロは、まるでイングランドのダービーシャーていう工業都市にいるような感じで、イメージとは少し違うかも知れない。ものすごく産業化されていて、なじむのが大変かも。

サッカーについてはどうですか?イングランドThree Lions(サッカーイングランド代表の愛称)のサポーターですか?

僕はどっちかって言うとチームに入れ込むタイプで、30年以上、アーセナルFCのシーズンチケットを持ってるんだ。もし、アーセナルとThree Lionsの試合があるとしたら、絶対にアーセナルに勝ってほしいね。でも、イングランドの健闘を心から祈ってるよ!

ブラジルでお気に入りのレコードショップはどこですか?

Tracksっていうレコードショップがあるんだけど、ブラジリアンミュージックのレコードやCDがたくさんあって、2階は本屋になってるよ。機会があれば、ぜひチェックしてほしいね。

最後になりましたが、mixを作っていただいてどうもありがとうございました。今回のmixのベースになっているものは何ですか?

あまりにもあからさまにブラジルらし過ぎないテイストを感じてほしかったんだ。聞いたことのないようなアーティストだったり、より地元に根ざした音楽、そして、ソウルのこもったソングライティングものなんかも少し入れたよ。1月に現地で制作したレコードに、大きな影響を与えてくれた要素なんだ。

Sonzeriaのアルバム『BRASIL BAM BAM BAM』をリリース出来たことは、僕にとってものすごく名誉なことだね。DJとして、自分なりにブラジリアンミュージックを解釈して、ブラジル人でないリスナーたちにその尊さをより深くわかってもらうことで、音楽を賛美できることが誇らしいよ。このアルバムは、単にミュージシャンたちがビーチでボサノヴァを演っているっていうんじゃないんだ。ブラジリアンミュージックの幅の広さを伝えたかったんだよ。

そして、敬愛する何人かのアーティストに参加してもらえたことをうれしく思ってるよ。たとえば、偉大なブラジルのサッカー選手、故ガリンシャ (Garrincha/※8)の妻だった、サンバの女王、エルザ・ソアレス (Elza Soares/※9)。

それから、ブラジルでよく知られている何人かのアーティストたちを、僕が大好きな彼らの曲の、ちょっとだけテンポを速くしたヴァージョンを紹介することで、みんなに知ってもらうことができるのも嬉しいね。

Sleeve Notes #3: Sébastien Tellier x Brazilian Seleçao
トラックリスト:

Jose Mauro – “O Ninho”
Mpb 4 – “Cravo e Canela”
Luiz Eca – “Reflexos”
Nana Vasconcelos – “Aranda”
Sergio Ricardo – “Conversacao de Paz”
Joao Diaz – “Capoeira”
Arthur Verocai – “Boca do Sol”
Haraton Salvanini – “Salamandras”
Golden Boys – “Berimbau”
Gal Costa – “Baby”
Marcos Valle – “Ele e Ela”
Jose Prates – “Batucada Berimbau”
Joao de Pife – “Garota de Pife”
Carimbo e Sirimbo – “Pai Xango”
Hermeto Pascoal – “Mourning”
Sonzeira – “Plum Blossom”

Translated & Edited by Rieko Matsui