ニューヨーク、ボストン、そしてソウルに拠点を構える建築オフィス、SsDによる光と音のインスタレーション『Cloud』は、その場にいる人の心を癒す。

人工雲をイメージしたこの作品は、天候に応じて自在に変化する。寒い時にはLED構造がオレンジ色に点灯しパチパチと炎が弾けるような音を立てるし、雨が降れば、青い光を点滅させて水滴を演出する。

『Cloud』は、天候に加えて人の動きにも反応する。下を人が通ると、光と音が追いかけてささやきかける。また、通る人がグループか個人か、複数かによっても違う反応を見せる。検知した周囲の環境により、パターンが変化する仕組みだ。

そして、スピーカーから降り注いでくる「成層圏」「サイクル」「堆肥」などのサブリミナルメッセージのささやきが、オーディエンスを思考への海と誘う。心地良い言葉のシャワーと共に響いてくる川のせせらぎの音や、バイオリンなどの楽器がゆったりと奏でる調べがエレクトロニックなアンビエント・サウンドと相まり、心地良さを強めている。

1 ソウル発のインスタレーション『Cloud』。周囲の検知データを光と音で表現

2 ソウル発のインスタレーション『Cloud』。周囲の検知データを光と音で表現

「夢想家と実用主義との架け橋」を目標とするSsDの最近のプロジェクトには、以下のようなものがある。ソウルにあるマイクロ・ハウス、インチョンにある消滅した島を取り囲む内海の再現、そしてヘイリ芸術村(※1)に設置された、近隣のウォーターフロントへと繋がる道を彩る、LEDによる人工雲の天蓋『Cloud』だ。

もし可能ならば、『Cloud』が、ニューヨークのハイライン(※2)で季節と共にゆっくりと移り変わったり、ロンドンのハイドパーク(※3)の小道の頭上で愛の言葉をささやいたりする様子を、ぜひ見てみたい。また例えば、東京、六本木のけやき坂や表参道の街路をこの『Cloud』が彩れば、忙しく街行く人々も、ふとした瞬間に自然に思いを馳せ、よりリラックスできるかも知れない。

3 ソウル発のインスタレーション『Cloud』。周囲の検知データを光と音で表現

4 ソウル発のインスタレーション『Cloud』。周囲の検知データを光と音で表現

Translated & Edited by Rieko Matsui