レゴに新しく女の子の科学者人形セットが登場

老若男女、世界中で愛されているレゴ。実に100種類以上に及ぶ人形がある。ただ、今これが時代として「性に対するステレオタイプ捕われたもの」だという見解を持たれてもいる。例えば、野球選手、パイロットにビジネスマンは男の子で、女の子は花嫁さん、チアリーダーにウェイトレスといった具合に。

今年1月には、7歳の少女からレゴ社に宛てて抗議の手紙(※1)も届き、そうした時代背景から同社はこのたび画期的判断を下し、女性の科学者、考古学者と天文学者の人形セット『科学者の研究所』を作った。8月1日からここ日本でも店頭に並び、税込み3,100円で数量限定発売がスタートとなった!

昨今のおもちゃ市場における、性差別廃止の動き

ここ最近、日本でも「リケジョ(※2)」と呼ばれる、科学技術分野で活躍する女性を育てる取り組みが進んでいるが、おもちゃ市場でも同じく、時代遅れの性差別を廃止しようとする動きが見られる。女の子たちが科学技術分野の職業を目指したがらないのは良いお手本が不足しているせいだと言われているが、女性科学者のレゴ人形やコンピュータ・エンジニアのバービーが出来たからと言って、状況は変わるだろうか?

もちろん、文化的環境が子供の意識や目標形成に与える影響は大きい。筆者自身、小さい頃はドラマーになりたかったが、ちょっと男の子っぽすぎると思ったし、夢を後押ししてくれるようなカッコいいドラマーのバービーもいなかったから、その夢を諦めた。Girls Who Code(※3)の創始者であるレシュマ・サウジャニ(Reshma Saujani)もWIREDのインタビューで語っているとおり、「予想出来ないものにはなれない」のだ。

ここ数年、将来お姫様になるよりもっといい選択肢があると少女たちを啓発するキャンペーンが目立つようになり、そのおかげで、トイザらスの店頭とウェブサイトから「女の子用」「男の子用」の区分けが取り払われた。また、未来の女性エンジニアを育てるためのモノづくり系おもちゃ、GoldieBlox(※4)が、クラウドファンディングサイトのKickstarterで28万5000ドルの資金を調達し、発売に至った。

だが、ここまで来るには長い道のりだった。例えば、1992年に発売された喋るバービーを覚えている人がいるだろうか?「数学の授業は嫌い!パーティードレスは楽しいわ。誰か好きな子いる?」と話すバービーだ。言うまでもなくあれは大失敗作で、すぐに製造中止になった。

と言うわけで、ここで待望のレゴの女性科学者人形セットの発売を記念して、また科学雑誌『Scientific American』(※5)でレゴ人形の性差別の歴史を書き綴ってきたジャーナリストのマイア・ワインストック(Maia Weinstock)にインスピレーションを受け、「リケジョ」人形にまつわる歴史を振り返ってみよう。

1978年:街の医者

1 レゴ人形セット『科学者の研究所』の発売を機に「リケジョ」人形の歴史を紹介

レゴが人形に性別を持たせはじめたのは、70年代後半のこと。その際初めて作った女の子の人形はなんと、「街」をテーマにしたシリーズの医者だった。当然、おなじ街で働くエンジニアと科学者はほとんど男性だったが、当時から女医が存在していたのは驚きだ!

1993年:宇宙飛行士

2 レゴ人形セット『科学者の研究所』の発売を機に「リケジョ」人形の歴史を紹介

レゴの「宇宙」シリーズに、「Ice Planet」という名の初の女性隊員が加わるのに、実に20年もかかった。

2012年:ソフトウェア・エンジニア

3 レゴ人形セット『科学者の研究所』の発売を機に「リケジョ」人形の歴史を紹介

コンピュータ・プログラマーのバービーは、ピンク縁の眼鏡をかけピンクのラップトップを持ったスーパーモデル!でも、「数学の授業は嫌い!」と文句を言っていたころや、モデル、バレリーナ、スチュワーデス、看護助手といった初期の頃のバービーに比べれば、大きな進歩だ。

2013年:科学者

4 レゴ人形セット『科学者の研究所』の発売を機に「リケジョ」人形の歴史を紹介

今回の『科学者の研究所』が発売される前、レゴにはひとつだけ女性科学者の人形があった。ただ、彼女の専門分野はとても曖昧だったが。レゴのプロフィールによれば、「この賢い科学者は、新しくおもしろい方法でいろいろなモノを混ぜ合わせます」だそう。

2014年:起業家

5 レゴ人形セット『科学者の研究所』の発売を機に「リケジョ」人形の歴史を紹介

これは厳密には「リケジョ」ではないが、先月製造元のマテル社が発表した、スマートフォンとタブレットを携帯する「起業家バービー」だ。このバービーは起業家とは言え、ステレオタイプにどっぷりハマったピンクのタイトスカートを履き、相変わらず、少女たちに過剰なダイエットを強要しかねない体型をしている。当然、世間の反応はいまいちだった。

2014年:Miss Possible(可能性)

6 レゴ人形セット『科学者の研究所』の発売を機に「リケジョ」人形の歴史を紹介

最後に、とても期待の持てそうなプロジェクトを紹介したい。イリノイ大学の工学部の女性卒業生が最近、クラウドファウンディングサイトのIndiegogo(※6)でプロジェクトを発足させた。内容は、少女たちが幅広い分野での将来の夢を抱くためのお手本となるような「Miss Possible(可能性)」人形を作ること。マリー・キュリーや、世界初の女性プログラマーであるエイダ・ラブレス(※7)など、科学技術分野で活躍した歴史上の人物を例にあげ、今後少女たちの投票で新しい人形を作っていくという試み。当初の目標額7万5000ドルに対して8万5000ドル以上の資金調達に成功し、発売が楽しみだ。

そしてお次は?地質学者、ロボットエンジニア、建設労働者、消防士、整備士、裁判官

7 レゴ人形セット『科学者の研究所』の発売を機に「リケジョ」人形の歴史を紹介

今回『科学者の研究所』セットを開発したスウェーデンの女性地球物理学者、エレン・クイマンは、レゴのアイデア・サイトに、ほかの女の子人形のデザインをいくつか提示している。

次候補リストは、次のようなラインナップ。裁判官、自転車郵便配達人、整備士、消防士、鷹匠、地質学者、ロボットエンジニア、動物園の飼育係、そして建設労働者。これらの人形たちには、そう遠くない将来、店頭で出会える可能性が高そうだ。

Translate & Edited by Rieko Matsui