新たな殺人鬼ストーリー 映画『ザ・ヴァンパイア~残虐な牙を持つ少女~』

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新たな殺人鬼ストーリー 映画『ザ・ヴァンパイア~残虐な牙を持つ少女~』

映画『ザ・ヴァンパイア~残虐な牙を持つ少女~』が公開。ストーリー、映像、時代感、ファッション、音楽などなど、それぞれに様々な要素が重なり合い、新たな殺人鬼物語が綴られる。

ラジオとテレビとカセットが一緒になったラテカセ、ロックとヒップホップによるミクスチャー、ボクシングと空手などが融合する異種格闘技、エンジンとモーターで動くハイブリットカー、電話とインターネット、音楽、カメラが融合したiPhoneなど、他カルチャーが合わさることで、新たな文化が生まれるのは言わずもがな。昨今の傾向を見ていてもそうだが今後、より文化が進化?すればするほど様々な結合が行われ、原型が何がなんだかわからなくなるほどの、新たな人物事が生まれてくるかもしれない。ライトセーバー、資本主義と社会主義の融合、人間と馬によるケンタウルス、生と死のない世界。

新しいヴァンパイア・クラシックの誕生と称賛される『ザ・ヴァンパイア~残虐な牙を持つ少女~』。ヴァンパイア役の少女と、孤独を抱える青年とのストーリーであるのだが、作品自体は素晴らしい出来栄え。テレビドラマの延長のような日本映画や、すっかり腐りきったものが多くなってしまったハリウッド作品とは一線を画す、とても面白い作品になっているのだが、内容は映画を観てくれれば良いと思うので割愛するのだが、とにかく様々なミックス感が面白くて楽しめる。

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悪を排除する美しき少女、新たなヴァンパイアを取り巻くヒューマンストーリー。ヴァンパイアと薬の売人とのラブストーリー。ドラッグまみれの親と子との軋轢を描く青春ストーリー。ポン引き、娼婦にまつわるギャングストーリー。それらが詰め込まれたハイブリットなストーリー。

ソフィア・ローレン、ジェームス・ディーンを思わせるような出で立ちから受ける時代感、モクモクと煙が立ち昇る荒廃した工場地帯と人が生活をしている温度が感じられないボーダレスな街並み(イランの何処かという設定)、劇中で使われるペルシャ語や、イランロック、テクノミュージック、イギリスのポストロックなどの音楽が、特定の時代感や国を設定できないような異空間を作り上げる。
小道具も、ヴィンテージの車、レコード、カセットテープなどアナログなものが随所に散りばめられ、その謎めいた設定をより盛り上げる。
映像もそれらと同じくして、高解像度のクリーンな美しい映像でありながらモノクロという、なんとも不思議なバランス感がそれを助長する。
さらに、さらに、なんとヴァンパイアがスケートボードで街をプッシュするというシュールな光景も。
などと、とにかく何から何までが融合されているのだが、それが見事に調和しホラーという領域でのリアリティーが素晴らしく際立った作品に仕上がっているのが、同時に今後の進化?によって様々な人物事が融合するだろう未来についても、勝手に希望を感じて飛躍しながら楽しめる作品だと思います。

ザ・ヴァンパイア~残虐な牙を持つ少女~
2015年9月19日(土)より全国順次ロードショー
配給:GAGA+
http://vampire.gaga.ne.jp/
©Shahre Bad Picture, LLC