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マイケル・ジャクソンの旧自宅、 無人のネバーランドに潜入した貴重な写真集

マイケル・ジャクソンの自宅兼遊園地でもあった「ネバーランド」。性的虐待疑惑の一件で無人となったこの土地に、勇敢にも数回にわたり忍び込んだ写真家たちが居た。貴重な写真と証言から見えてくる、ネバーランドのありのまま姿とは。

2009年、ツアー直前に惜しくも他界した、キング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソン。ここ日本でも多くの熱狂的なファンを持つ彼だが、絶頂を極めた1990年前後から、大手メディアによるスキャンダラスな報道が目立つようになっていた。2003年11月18日、複数のこどもに対する性的ないたずらをした疑いをかけられていたマイケルは、 3000エーカーの敷地を誇る自宅「ネバーランド」(脚注①)を約70名のサンタバーバラ郡の保安官らにより立ち入り調査された(マイケルはのちに所有権を譲渡し、約3年後には差し押さえられることとなった)。今回、VICEはマイケルの訴訟によってネバーランドが無人となった間に敷地内を探索した写真家のグループと接触することに成功。彼らが何を見たのか聞くことができた。以下は、彼らの世にも珍しい目撃談である。

なぜネバーランドを探索しようと思ったのですか?

A:ほんの出来心だよ。ネバーランドがしばらくの間誰もいなくなると分かっていたし、彼がドバイにいるということも知っていた。こんな状態は長く続かないって分かっていたのさ。いつものように101号線を走っていた時に、ふと「まだ時間に余裕はあるから、行くだけ行って見てみよう」って決めて。すごく風の強い日だったから、運良く守衛にもバレずに忍び込むことが出来た。

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園内で一番変なものは何でしたか?

B:(笑)

A:全部だよ。正直に言って僕はマイケルの大ファンってわけでもなかったんだけど、彼がアメリカの重要なアイコンだということはよく分かっていた。でもあの訴訟の時、彼が歴史の一部だという認識を持っている人は居なかったよね。 だからこのまま事が進むと、ネバーランドにある彼の貴重な資料が失われてしまう可能性があると感じた。もし僕らの撮ったこの写真がなかったら、甚大な損失だったと思う。

B:このことは誰にも言っていないんだけど…OK、一番おかしかったのは、パジャマを着た少年が月に座っているロゴがあちこちにあったこと。「ドリーム・ワークス」(脚注②)のロゴにとても似ていて驚いたよ。地面にも20メーターくらいの大きなものがあったし、看板にもついていたし…列車が止めてある駅の地面にもあったな。

C:他にも、彼が集めた思い出の品があった。ペプシのボトルとか本、プロモーション関係の品々が箱に入れてあって。ファンからの手紙も大量に置いてあった。その中でも一番惹かれたのは、彼の訴訟を担当した検察官に悪魔の角が描かれていた絵。確か、「パックマン」(脚注③)のテーブルに置いてあったっけ…。

B:置いてあったファンの手紙を読んだの?

C:いや、パラパラめくっただけだよ。

どうやって中に入ったのですか?

B:それはあまり言いたくないな…。

難しかったですか?

A:言っておくけど、僕らは法を犯す必要がなかったんだよ。施錠は全て開いていたからね。家も。

なるほど。

B:あとよく覚えているのは、彼のグレープソーダをウォークイン・キッチンから取ってきて飲んだこと。丁寧に指紋を拭きとって、茂みに隠しておいたよ。

彼のジュースを飲んだのですか?

B:そう、喉が乾いていて…。飲み物をちょっと拝借しただけだって思うようにした。

本物のグレープソーダでしたか?

B:ああ、本物だった。キッチンには“世界の子どもたち”に向けたメニューがあって、もうなにもかも子ども用につくられていたよ。黒板にピーナツバター、ゼリーのサンドイッチ、マカロニとチーズが書いてあって…とても印象に残っている。そこらじゅうに高そうな、ちょっとした「アートっぽいもの」であふれていたよ。

アートっぽいもの?

B:変な鏡とか、ローマの銅像みたいなものとか。2.5メートルくらいの大きさの、マイケルが描かれた絵もあった。そういう感じの絵がたくさんあったんだ。

C:マイケルが子どもの行列を導いている絵もあったね。

家の中のいたときのあなたたちの雰囲気はどんな感じでしたか?

C:焦っていたし、イライラしていた。誰かに見つかるんじゃないか心配していたし、今自分たちがやっていることがプライバシーの侵害だと分かっていたからね。でも目の前にチャンスがある以上、中に入らないという選択肢はあり得なかった。でも同時に、こんなことは間違っているという気もした。もっと調べたいという好奇心と、「こんなところからは出るべきだ」という気持ちのせめぎ合いだった。

A:みんなそう感じていたよ。僕らは普段人の家に入ることなんてしないからね。

C:普段は工場や古い学校のような、人の住居ではないところを探索するんだ。

A:家にあったもので気持ち悪いと感じたものはなかったなぁ。僕はね。とっても変わっているなとは思ったけど、怖くなかったし、ほんとにビビってるメンバーは居なかったと思う。ちょっとエキゾチックで変わったものがたくさんあっただけだよ。マイケルが持っているものより変な芸術品なんて、世界中にたくさんあるでしょ。

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B:僕らがやったことはただの冒険。誰も見たことのない場所へ行ってあるもの全てを見ること。まぁ、ただ、僕らが入ったのは児童虐待の件で彼が出国した直後だったから、 冒険以上の目線を持っていたとは思うけど。

結局、どのくらい見ることができたのですか?

C:動物園以外は全て見ることができた。アーケード、マンション、アミューズメントパークの乗り物や、列車用の駅から、銅像が立っているエリアまで。

それだけ居て捕まらなかったことに驚きました。

C:まぁ、僕らは調査や潜入を何度もやってきている、ちょっとしたプロだからね。偉そうなことを言いたいわけじゃないんだけど。実際、僕らがやったことって、外に止まっていた守衛のトラックをかわしただけなんだ。このトラックさえ越えれば好きにできる。誰も居ないし。だから中に入っても全く目立たない。

敷地はとても大きいのでは?

B:とても大きい。動物園は遠すぎて辿りつけなかった。

C:あ、そうそう、ひとつ面白かったことがあって。僕らはマイケルの部屋にも入ったんだけど、2つあった子供部屋はどちらも外から鍵がかけられていたんだ。

B:悪い予感がしたから、その子供部屋には入らないことにした。

彼のおもちゃ部屋はどうでしたか?

B:18メートル×9メートルくらいだったかな。想像できるかぎりのありとあらゆるおもちゃがあった。等身大のダースベーダーのレゴとか、それはそれはすごいおもちゃがたくさんあった。

大人が使うようなものは何もなかったのですか?話を聞いていると子ども向けのものと変な絵しかなかったように思えるのですが…(笑)。

B:ソファや変な置物がある大きなラウンジはたくさんあったよ。

C: コンピューターや一般的な家庭にある家具がある小さな事務スペースもあった。とても「普通」だったからよく覚えている。

だいたいどのくらいの部屋がありましたか?マンションということは、かなりたくさんあるに違いないと思いますが。

A:10部屋はあったと思う。マンション自体は君が思うほど大きくはなかった。中には入れなかったけど、他にも小さめの建物がたくさんあったね。

庭に大きな時計は無かったですか?

C:いやいや、庭にはかなりクレイジーなものがたくさんあったよ。

A:針の止まった時計は撮らなかったの?その写真を撮った実際の時間と、時計の指している時間がほとんど同じだって、あとで気づいたっていう… 。

C:撮った撮った!2:55で止まっているこの(写真の)時計があったんだけど、僕がこの写真をとった実際の時間とほぼ同じだったんだ。気づくまでに一年くらいかかったよ。

すごい偶然ですね。でもどうやって止まっていると分かったのですか?

C:針が動いていなかったからさ。

家に電気は通っていましたか?

C:僕の記憶が正しければ、電気は通っていなかった。水道は使えたはず。

バスルームを使ったのですか?(笑)

C:いや、水が出るか気になって蛇口を確かめたんだと思う。何がおかしかったかって、彼の家の中がほこり一つないほど綺麗に保たれていたこと。カーペットは掃除機がかけられていたし、銅像や彫像はピカピカ。家中のものに保護用のビニールシートがかけられていた。誰かが定期的に掃除をしているのは明らかだった。あんな状態を維持するためには、少なくとも週に一度は掃除しているはずだよ。

でも、彼はしばらくそこに住んでいませんよね。

A:そう、差し押さえられてからは放ったらかしで使われていない。オレはそこにピンときたわけ。

B:そう。僕らが行くのは廃墟だけってことがこれで証明できたかな。

Translated & Edited by Kentaro Okumura