それで通信制の学校を卒業して、大学受験ですか?

いや、結局大学受験はしませんでした。ただ、写真の専門学校に入りたくなったんですね。でも、さすがに親に申し訳ないので、お金は自分で出そうと思って、バイトしてお金を貯めました。

何のバイトをしたんですか?

銀座アスターとか。

おお、中華! どこの銀座アスターですか?

川越の丸広百貨店です。

丸広百貨店。川越では有名なのかしら?

お洒落しないとダメなところですよ。

銀座アスターでは何をしていたんですか?

ひたすら配膳をしていました。

銀座アスターっていい値段するでしょう? 勝手なイメージだと、生きたままの海老に紹興酒かけてパチーン! みたいな。

餃子が1個200円でしたね。賄いは1食150円。

賄いは安いけど、餃子はやっぱ高いなぁ。銀座アスターの餃子は、俺らが今まで食べてきたヤツとは違うんですか?

やっぱり美味しいですよ。肉が多いし、タレが美味しかったです。

銀座アスターの1番人気を教えてください。

アスター麺、もしくはあんかけ焼きそばです。結構、安めで提供してましたよ。

アスター麺ってなんですか?

醤油ラーメンの上にアスターっぽい餡と野菜が乗ってる。

アスターっぽいがわからないです。木島さん的にアスターっぽいって何ですか?

和と中華の中間くらいの感じですね。

アスターは長かったんですか?

アスターは1年くらいですね。その後は大宮マルイの洋服屋で働きました。

マルイは知ってます! どんな感じの洋服屋なんですか?

森ガール。でも対象年齢が30代くらいだったので、「森ガールか…?」とは思っていましたが。

そして、アスターと森で稼いだお金で写真の専門学校に入学と。元々写真は好きだったんですか?

中学から好きでしたね。『カメラ日和』が全盛で、トイカメラとかアナログカメラブームがあったんです。

木島さんは何を撮っていたんですか?

普通に散歩して、花とか空とか木を撮ってました(笑)。高校も写真部に入って、暗室とかやっていたんですよ。1年だけですけど(笑)。

じゃあ、漠然と写真の学校に入りたいと思ってたんですか?

そうですね。それに、「青春を取り戻したい!」みたいなのもあったんです。悔しかったんです。

おおー! それまで好きな男の子とかもあんまりいなかった?

いないですね。だってネット廃人ですもの。だから青春を取り戻すためにも、学校に行きたいと思って。

どちらの専門学校に?

渋谷の日本写真芸術専門学校です。

で、青春取り戻しました?

いや、まったく…(笑)。まず、昼間は同年代の子ばかりでハードルが高かったので、夜間に入ったんです。

お利口な選択ですね(笑)。

そしたら年齢層が幅広くて、一番仲良くなったのは先生でした。あれは、いったい何だったんですかね?

昼間にすればよかったんじゃないですか。じゃあ、好きな人もできなかったと。

見事にできないです。

でも年上のおじさん…いや、生徒さんから言い寄られちゃったりー。

学校ではないんですけど、服屋のときに絶対にリラックマを持ってきてくれるおじさんがいました。

森ガールのお店のとき?

はい。私がリラックマ好きっていったら、毎回北関東の方から来てくれるんです。しかもUFOキャッチャーで取ったリラックマをですよ。

森、おじさん、リラックマ、見事につながらないメンツですね。

最初はリラックマが増えて嬉しかったですけど(笑)。でも、アドレスが書かれたリラックマのメモ帳を渡されて、その徹底ぶりに引きました。

リラックマおじさんと遊んだりはしなかったんですか?

大宮のDOMショッピングセンターで、たこ焼きを奢ってもらっただけです。

DOMショッピングセンターですか。知らないお店っていっぱいありますね。専門学校自体はどうでした?

面白かったですね。写真の勉強も面白かったですし。

そのときは、どんな作品を撮っていたんですか?

泡とか。

泡? 口に溜まる泡ですか?

水族館の水槽の泡とかですね。

泡を撮りにわざわざ水族館に?

はい、魚はどうでもよかったですね。あとは、おじいちゃんの頭とか。根元はハゲてるけど、ちょっと毛が残ってるやつですね。

鳥の雛みたいなやつですか?

そうです、そうです。ふんわりしてる写真ばかり集めて卒展に出しました。

雛と泡?

あと鹿の背中です。

鹿!! 祥吾と繋がりましたね。学校の先生は、木島さんの写真を見て何かいってました?

それが、めちゃくちゃウケが良かったんです、天才だっていわれたんですよ!

すごいじゃないですか。

でもそれから、狙って撮るようになりまして。それもバレるようになって。ダメになりました(笑)。

専門学校を卒業して就職したんですか?

しなかったです。するっていう発想がなかったです。ネットショップ作成サービスのカスタマーサポートセンターでバイトしました。

それが22、23歳のときですか?

そうですね。でもそのカスタマーセンターも4か月で辞めちゃったり(笑)。私、辞めてばっかりの人生なんです。

いや、まだ2回でしょ。高校とカスタマーセンターだけですよ。バイオリンとかアスターはカウント外ですし。

そのあともインターネットの不動産会社に入ったんですが、1年半で辞めました。

まぁ、そこは(笑)。その時点では、もう祥吾とお付き合いされていたんですか?

はい。

祥吾から聞いたんですが、そのあと木島さん愛媛にいたんですよね?

はい。〈地域おこし協力隊〉というのに参加したんです。

その協力隊はどこで知ったんですか?

もともとは祥吾が知ってて、教えてくれたんです。

もう完全に〈祥吾〉って呼び捨てになってますね。

呼びやすいんですよね。遠くで暮らしたかったのと、東京至上主義な自分の持つ価値観をブチ壊したくて愛媛に向かいました。

祥吾は寂しがらなかったですか?

そのときは一緒に住んでたんですけど、ちょうどあんまり上手く行ってなかったので、良い機会でしたね。

地域おこし協力隊に入るには、どうしたらいいのですか?

町が求人を出しているんです。履歴書を送って、通ったら面接です。

愛媛のどちらですか?

内子町というところです。

その内子町は、どんな町おこしをする人を募集していたんですか?

私の場合はちょっと特殊で、東京の説明会に参加したんですけど、そこに既に協力隊になっていた方がいたんです。その方が、「カメラをやってる子がいる」って、私を町長に推薦してくれて。「今の時代はイメージ戦略が大事。なので、写真を撮って本をつくったりしよ!」っていわれて(笑)。結局、彼はいなくなっちゃったんですけどね。

内子町では、木島さんの住まいも用意されてるんですか?

はい。私は女の子だからという理由で、ワンルームのマンションに住めました(笑)。

家賃とかってどうなってるんでしょう?

家賃と駐車場代は出してくれるんです。

お給料も出るんですか?

はい。年間活動費があるので、そのなかからお給料も出ます。もちろん大きな金額ではありませんが。

じゃあ、写真の本の制作費も、その活動費で賄うと?

そうですね。結局つくりませんでしたけど。

え? じゃあ何をしてたんですか(笑)?

もともと廃校をカフェにしようっていう話があったので、そっちがメインになって。カフェで働いていましたけど、そんなに仕事量も多くなかったんです。だからおばあちゃんのところでご飯を食べたり、喋ったり、地域交流をしていました。

それはそれで立派なお仕事ですよ。

でもねぇ、おじいちゃんとか、カフェにビールを持ち込むんですよ。コーヒーより酒が飲みたいって。

アハハ! 素敵ですね!! 

私の入ったところはゴリゴリの男社会だったんですよ。内子町に限らず、田舎はそういうところが多いんですかねぇ?

飲み会みたいなのもあったり?

ありました。しかも多いんです。女は私ひとりだし。

「茜ちゃん、注いでや!」みたいな?

はいー。最後は慣れちゃって大丈夫だったんですけど、行ってすぐの頃、〈た●ぞう〉っていうジジイに、腕をガッと掴まれて「俺のチンコと同じくらいだ」っていわれて。それが最初の洗礼でした。上司に相談して、〈た●ぞうNG〉出してもらって。ちょっと泣いたりもしましたね。

さすがにいきなりはキツイですよね。

結局は慣れましたけどね。それに世代が違うから、共通の話題って下ネタしかないんですよね。しょうがないなぁって(笑)。

じゃあ、後半は下ネタも合わせられるようになったの?

まぁ(笑)。私が「いいブラジャーを使ってると、胸が大きくなる」っていったんです。そしたらじいさん、味をしめて、「今日は安いやつか?」なんて挨拶されたり(笑)。

逞しくなりましたね! でも今まで川越というビッグシティにいたじゃないですか。池袋にも近かったし。そのギャップはいかがでしたか?

そうですね。フジはあるんですけど。

フジって何ですか?

スーパーです。ダイソーも入ってます。

フジは何時から何時までやってるんですか?

10時から10時までやっていました。ダイソーも入ってるんですよ。

そうなんですか。ちねみに愛媛にはどのくらいいたんですか?

1年です。1年区切りで、最長3年いられるんですけど。

最短で帰ってきちゃった? どうしてですか?

愛媛に行く前は、関東とか別に好きでも嫌いでもなかったんですけど、出てみたら関東の気候とか空気感がすごく好きだったと気がついたんですね。食べ物も。焼きまんじゅうも。それで帰ってきました。でもやっぱり、おばあちゃんとかとも仲良くなっていたので、寂しかったですね。また辞めてしまったわけですけど(笑)。

でも久々の祥吾との生活じゃないですか。愛媛の前は、あまりいい感じじゃなかったんですよね? 

私がその1年で強くなったのか、関係良好になりました!

やっぱり逞しくなりましたね! ちなみに木島さん、今は何をされているんですか?

秘書をやっています。

おお! やばいじゃないですか!!

てか、まだ1か月しかやってないですけどー(笑)。大学の医学部教授の秘書です。事務で応募したら秘書になってしまいました。

本当は事務がやりたかったんですか?

ラクそうだなっていう(笑)。完全にプライベートに重きを置こうと思って、選んだんですけど。

また池袋でプラプラしたかったと(笑)。で、ラクでしたか?

死にそうです(笑)。お金の管理がすごく難しいです。

もう辞めたい? 秘書も辞めたい?

辞めたいとは思わないです。近くにパステル宮ノ下っていう商店街があるので、そこが好きだからいいかなって。

ベイシア、クレアモール、丸広百貨店、DOMショッピングセンター、フジ、そしてパステル宮ノ下ですか。本当にお店が好きですね!

ああ、そういえば、愛媛には〈ありがとうスーパー〉もありました。ニコちゃんマークの。

そうですか。プライベートに重きを置きたいとおっしゃってましたけど、何かやりたいことがあるんですか?

また写真を撮っています。いま1番なのは写真です!

おおー!

…あとはヨガですね。

ほうー!

まだ3回しか行ってないんですけど(笑)。

なら、まだ辞め甲斐がありませんね! 祥吾とはいかがですか?

祥吾とは…祥吾くんとは畑仕事を。

畑はどこにあるんですか?

畑は、埼玉の小川町の隣にある都幾川ってところです。

何をつくってらっしゃるんですか?

豆ですね。大豆、落花生、高黍。あと米も植えたんですよ。収穫できるかわからないですけど。

米ってことは田んぼもあるんですか?

陸でできる品種があるんです。愛媛に自然農法のパイオニア的存在の人がいまして、その方が品種改良してつくった陸でも育つ米を植えたんです。

なるほどー。で、おとうさんじゃないですけど、そろそろ祥吾と結婚間近って感じですか?

そうですねー、でも最初は結婚したかったですけど、今はどっちでもよくなって。

あらま!

今は一緒にいられればそれでいいので。

くーっ! 祥吾、聞いた!?

ですから急ぐつもりはありません。あと友達と遊べなくなっちゃうかもって不安もあるし。

別に遊べるでしょう(笑)? 

友達で結婚してる人は、旦那さんが待ってるから帰らなきゃっていったりしてるので、ちょっとした寄り道ができなくなるかなって。

そこは祥吾と話しましょうよ。

大丈夫かなー?

祥吾だって好きなことするでしょう? 

します、します。そうですね、私も愛媛で強くなったので大丈夫だと思います。それこそ、群馬のかかあ天下も出てくるかもしれないし。

そうですよ! 「鶴舞う形の群馬県〜」ですよ!

「中仙道しのぶ安中杉並木〜」。

大胡町の読み句はないんですか?

ありません〜。 

※「Who Are You?」では、インタビューを受けて下さる方を募集しています。自薦、他薦、構いません。お名前、ご年齢、性別、お住まい、ご職業、応募の動機を明記の上、こちらまでお問い合わせください。