ロシアW杯 日本戦の日は 渋谷に近付かないようにしたい

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ロシアW杯 日本戦の日は 渋谷に近付かないようにしたい

6月19日(火)渋谷は、W杯日本初戦で熱気を帯びていた。数百人の警察官が渋谷に配置され、警察車両の赤色灯があちこちで点滅している。日本が初戦を勝利で飾り、熱狂するサポーターたちの姿をフォトレポートでお届けする。

渋谷駅前のスクランブル交差点といえば、映画〈ロスト・イン・トランスレーション( Lost In Translation, 2003)〉によって海外でも広く知られるようになった〈世界一忙しい交差点〉。いちどに3000人以上の歩行者が横断する光景を写真撮影する訪日外国人も多く、今では日本屈指の観光スポットになっている。

6月19日(火)21時前、スクランブル交差点周辺には、サッカー日本代表のユニフォームを纏った群衆が詰めかけていた。毎度、W杯日本戦では、渋谷駅前のスクランブル交差点はサポーターでごった返す。スリや痴漢などの行為も問題視されており、この日もロシアW杯〈日本VSコロンビア戦〉で、興奮したサポーターたちのトラブルや事故を防ぐために、数百人の警察官が配置され、警察車両の赤色灯もあちこちで点滅していた。

先日の対コロンビア戦は、実力的に日本が不利との前評判から、「あまり盛り上がらないのではないか?」との声もチラホラ挙がっていた。しかし、コロンビアのC・サンチェス(Carlos Alberto Sánchez Moreno)が香川真司のシュートをハンドで防ぎ、W杯史上2番目に早い、開始3分でレッドカード1発退場をくらう。日本にペナルティーキックが与えられ、香川真司が先制点を決めると、ノートパソコンやスマートフォンで試合を視聴していたサポーターたちの「ニッポン!」コールがスクランブル交差点にこだました。その後、前半40分にフアン・キンテロ(Juan Fernando Quintero Paniagua)がフリーキックでシュートを決め、1-1の同点にはなったが、予想外の展開で前半戦は終了した。

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後半戦が始まると、さらに警察官の数は増え、渋谷は緊迫した雰囲気に包まれた。警察官たちは交通整理のために黄色いテープを使用して、スクランブル交差点の斜め通行を規制した。

そして後半30分、本田圭佑の放ったコーナーキックを、大迫勇也がヘディングでゴールし、日本は勝ち越し。そのまま、コロンビアの反撃を凌ぎ、日本は2-1で、記念すべきロシアW杯初勝利を飾った。

試合終了間際から、スクランブル交差点には、熱気を帯びたサポーターが集まりだしていた。DJポリスの「立ち止まらないで下さい!」という音割れした声、警察官のホイッスル、会場では使用できない酔っ払いのブブゼラの音が、けたたましく鳴り響いた。日本人だけでなく、外国人も日の丸を身につけているのが印象的だった。信号が青に変わると、熱狂したサポーターたちによる〈凱旋行進曲〉の合唱が始まり、真っ正面からぶつかるように、ハイタッチを求め合う。通行の妨げるほどの熱狂に、怪訝な表情を浮かべる人もいた。「サポーターの頑張り方、間違えてるでしょ」

私はカメラマンの「リュックに掴まっててもいいから」という言葉通り、リュックに抱きついて、転ばないように頑張った。決死の思いで道路を渡り切ったとき、隣の若者が「もう1回渡ろうぜ!」と息巻いていたのが、信じられなかった。

コロンビアの選手が退場させられたとはいえ、日本はW杯初戦で見事に勝利を飾った。さらに21回を数えるW杯史上、初めてアジア出場国が、南米出場国に勝った試合でもあった。そんな歴史的瞬間をオカズに狂喜する渋谷をフォトレポートでお届けする。すっかり忘れていたが、これは週末ではなく、火曜日の夜の光景だ。日本がW杯で好成績を残せるように祈るが、私はなるべくW杯日本戦の日程は、渋谷に近付かないようにしたい。