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高性能ドローンの未来〈虐殺ロボ〉

劇中に登場するような高性能ドローンは、今のところ開発されていないが、自律型殺人ロボットが登場するのは、それほど遠い未来ではないだろう。遠隔操作が可能なドローンは、10年以上前から、中東やアフリカの戦場で利用されている。

2017年11月10日、殺人ロボット反対運動で有名なAI監視機関〈Future of Life Institute〉は、高性能ドローンが人間を殺す未来を描いた、悪夢のような短編映画を公開した。

タイトルは『Slaughterbots』〈虐殺ロボ〉だ。自律型兵器の危険性を訴える目的で製作された同作品は、ドラマ『ブラック・ミラー』(Black Mirror)のような、ディストピア的近未来を描いている。

『Slaughterbots』は、IT企業のCEOらしき男性が、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)風に、観客に製品をプレゼンテーションするシーンから始まる。新技術を搭載したドローンの発表は、一見当たり障りないように思える。しかし、CEOが、自律型ドローンでターゲットの頭蓋骨に〈成型爆薬〉を打ち込み、人間を牛のように殺す方法を実演するあたりから、雲行きが怪しくなる。

観客は、CEOの言葉を鵜呑みにし、さらに、CEOは、小型殺人ドローンの性能を証明する動画を公開する。

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「兵器が自主的に判断するとどうなるか観てみましょう」とCEOが続け、背後の巨大スクリーンには、ドローンが大勢の人間を処刑する様子が流れる。「処刑されたのはみんな悪人ですので、ご心配なく」

次に続くのは、この小型武装ドローンが搭載技術を駆使する、非常に不吉な近未来の描写だ。CEOの言葉を借りれば、「SNSアプリで使われるカメラ、携帯電話内蔵の顔認識システム」が人間の生殺与奪権を握るのだ。

劇中に登場するような高性能ドローンは、今のところ開発されていないが、自律型殺人ロボットが登場するのは、それほど遠い未来ではないだろう。遠隔操作が可能なドローンは、10年以上前から、中東やアフリカの戦場で利用されている。米国のハッカーたちは、市販ドローンに銃を取り付け、ISは同じドローンを空爆に使用している。2016年7月には、米ダラス警察がロボット爆弾で銃撃犯を爆殺した。ロシアと米国は、遠隔操作可能もしくは完全自律型の戦車を開発中だ。

今のところ、主導権は人間が握っているので、引き金を引くか否か、ドローンのカメラが映す人物を生かすも殺すも人間次第だ。しかし、これらのシステムの自律が進み、機械が自主判断を下せるようになる未来は、想像に難くない。

〈Future of Life Institute〉は、『Slaughterbots』が描く最悪の未来を避けるべく、自律型兵器の早期禁止を呼びかけており、運動に賛同する署名者は、2万人を超えた。スティーヴン・ホーキング(Stephen Hawking)博士やイーロン・マスク(Elon Musk)など、一流の科学者や大企業の代表も同団体に賛意を示しており、殺人ロボットの禁止を求める国連宛ての書簡に署名した。

自動システムがカメを銃と誤認するなど、これまでの事例を踏まえると、早期禁止が実現するよう願わずにはいられない。